借金問題解決のために個人再生を選び、認可決定を得たものの、その後の返済が厳しくなってしまった場合、自己破産への切り替えを検討することがあるでしょう。
景気変動や雇用環境の変化など、将来の見通しが立てにくい現代社会では、一度決めた返済計画が破綻することもあり得ます。
今回は、個人再生認可決定後に自己破産する際の移行方法について詳しく解説します。
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個人再生認可決定後に自己破産できる?
個人再生の認可決定後、計画通りの返済が難しくなった場合、次の選択肢として自己破産を検討する人もいるでしょう。
個人再生と自己破産はどちらも債務整理の手法ですが、仕組みや効果に大きな違いがあります。個人再生から自己破産へと移行するには、いくつかの手続きと条件が必要です。
個人再生認可決定後に自己破産できるか
個人再生の認可決定後でも、自己破産する場合は、単に申立てをすればよいというわけではありません。
自己破産を選ぶには、支払い不能状態であることを証明する必要があります。単に「返済が難しい」だけでは不十分で、客観的に返済能力がないと判断される状況でなければなりません。
返済が不可能になったり、何らかの理由で計画が取り消されたりした場合に、自己破産の検討が可能になります。
返済の遅れがあっても、債権者が取消の申立てをしない限り、自己破産手続きに進むことはできません。法的には、有効な再生計画がある間は、新たな債務整理手続きへの移行が制限されるからです。
再生計画の取消と自己破産の関係
再生計画が取り消されると、自己破産を検討できるようになります。ただし、支払い不能状態と認められなければ、自己破産の申立ては認められません。再生計画の取消は主に債権者からの申立てや裁判所の判断によって行われるものです。
個人再生手続きが終了していない場合に自己破産申請できるか
個人再生手続きが終了していない場合でも、自己破産を申請することは可能です。しかし、自己破産の申請を行う場合、個人再生手続きが一旦中止され、再生計画が無効になるかもしれません。
具体的には、自己破産が認められると、個人再生の手続きが終了するため、再生計画に基づく返済が免除され、債務整理の方向が変わります。自己破産を選択する理由としては、個人再生の返済負担が続かない、または再生計画に従った返済が難しいといった場合が考えられます。
個人再生と自己破産はそれぞれ異なる手続きであり、自己破産を申請する前に、どちらが自分にとって最適かをよく考慮することが大切です。
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個人再生認可決定後に自己破産する場合の注意点
自己破産は債務免除という強力な手段ですが様々な制約も伴います。個人再生から自己破産へ移行する際には、いくつかの重要な注意点があるので、確認していきましょう。
免責不許可事由に該当する可能性
給与所得者等再生を選択している場合、再生計画認可決定から7年間は免責不許可事由に該当します。つまり、期間中は自己破産による免責が得られない可能性が高いのです。
免責不許可事由があるため、再生計画の遵守が非常に重要です。返済が難しくなった場合でも、債権者と交渉して計画変更を検討することも一つの方法でしょう。
ハードシップ免責確定後も7年間は免責不許可事由に該当します。これは、病気や事故などやむを得ない事情で再生計画の履行が困難になった場合に認められる免責ですが、受けた後も自己破産の制限は続くことに注意が必要です。
借金問題でお困りの方のために、法的な解決手段としてまず「個人再生」という制度があります。その中でも、生活再建を実現する制度として「給与所得者等再生」と「小規模個人再生」というものが存在します。 両制度は、利用できる条件や手続きの流れに[…]
再生計画取消の手続き
自己破産へ移行するには、債権者や裁判所との交渉が必須です。再生計画の取消は通常、債権者からの申立てで行われるため、債務者自身が取消を求める場合には、債権者の理解と協力が必要になるでしょう。
再生計画の取消が難しい場合、自己破産への移行も難しくなることがあります。債権者が再生計画の継続を望み、取消に同意しない場合、自己破産への道は閉ざされることもあるのです。
支払い不能状態の証明方法
自己破産申立ての前提条件は支払い不能状態にあることです。認められなければ自己破産はできないため、財務状況の証明が必要になります。
支払い不能状態とは、債務を一般的かつ継続的に支払えない状態のことです。一時的な資金不足ではなく、継続的に返済能力がないと認められる必要があるのです。
支払い不能状態を証明するには、収入と支出のバランス、資産状況、債務総額などを詳細に示すことが求められます。専門家のサポートを受けることで、適切な証明が可能になります。
支払い不能状態の認定は自己破産手続きの重要要件です。裁判所は申立人の財務状況を詳しく審査し、本当に支払い不能状態か判断することができます。
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個人再生と自己破産の違い
個人再生と自己破産はどちらも債務整理の主要な方法ですが、仕組みや効果、メリット・デメリットに大きな違いがあります。
自分に合った方法を選ぶには、それぞれの特徴を理解することが大切です。ここでは、両者の違いを詳しく解説します。
個人再生のポイントと特徴
個人再生は借金を減額し、一定期間で返済する方法です。債務総額が5000万円以下の場合に申立てが可能で、住宅資金特別条項を利用すればマイホームを残したまま債務整理ができます。
最大の特徴は財産処分が基本的に行われないこと。自宅や車などの財産を保持したまま債務整理ができる点が大きなメリットになります。
一方、デメリットは減額後の借金も返済し続けなければならないことです。安定した収入がなければ再生計画の履行は難しくなるでしょう。
借金問題に悩む方にとって、個人再生は有効な解決策の一つです。しかし、その仕組みや手続きについて、十分に理解していない方も少なくないのではないでしょうか。 この記事では、個人再生の概要から具体的な手続き、そしてメリット・デメリットまで、[…]
自己破産の仕組みと特徴
自己破産は借金を完全に免除する方法です。裁判所に破産を申し立て、免責決定を受けることで債務から解放されます。
最大のメリットはほぼすべての債務が免除される点です。借金の返済義務がなくなり、経済的に新しいスタートを切れます。
一方で、特定の資格制限や財産処分が伴うデメリットも。破産者は一定期間、弁護士や税理士、警備員といった特定の職業に就けなくなります。
生活に必要な財産以外は処分対象です。高価な家具や宝飾品、不動産などは破産管財人によって換価され、債権者への配当に充てられます。
自己破産は強力な債務整理手段ですが、生活や社会的制約も考慮する必要があります。デメリットを十分理解した上で申立てを検討することが重要でしょう。
皆さんは自己破産という手続きをご存じでしょうか?この記事では、自己破産の仕組みから手続きの流れ、生活への影響まで、司法書士の視点から解説します。 借金問題でお悩みの方はもちろん、債務整理の知識を深めたい方にとっても参考になる情報をお届[…]
個人再生と自己破産の比較
個人再生と自己破産の違いについて表にまとめました。
比較項目 | 個人再生 | 自己破産 |
---|---|---|
概要 | 借金を減額し、一定期間で返済する方法 | 借金を完全に免除する方法 |
要件 | ・債務総額が5000万円以下 ・安定した収入がある ・ギャンブルや浪費による債務でも適用可能 | ・支払い不能状態にある ・免責不許可事由に該当しない |
財産の処分 | ・財産の処分は行われない ・自宅や車を残すことができる | ・高価な財産が処分される可能性あり |
返済義務 | ・減額後の借金を返済する必要あり ・債務をゼロにすることができる ・資格制限 | ・特になし ・特定の職業・資格に制限あり |
メリット | ・財産(自宅や車など)を手放さずに済む ・借金が大幅に減額される ・資格制限がない | ・借金が完全になくなる ・返済の必要がなくなる ・再出発がしやすい |
デメリット | ・減額後の借金を返済しなければならない ・信用情報に事故情報が残る ・安定した収入が必要 ・手続きが複雑で時間がかかる | ・特定の職業・資格に制限がある ・財産が処分される ・信用情報に事故情報が残る ・特定の条件下では免責が得られない場合がある |
向いている人 | ・安定した収入がある人 ・財産を残したい人 ・資格制限を避けたい人 | ・返済能力がない人 ・処分される財産が少ない人 ・債務を完全になくしたい人 |
個人再生と自己破産はそれぞれ異なる特徴を持っています。どちらの方法が最適かは、現在の収入状況や保有財産、将来のキャリアプランなど、個人の状況によって大きく異なるでしょう。
最適な債務整理方法を選ぶには、まず専門家に相談し、自分の状況に合った方法を選ぶことが望ましいです。
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まとめ
法的に言えば、個人再生認可決定後に自己破産を行うことは可能です。しかし、再生計画の取消や支払い不能状態の証明など、いくつかの条件をクリアする必要があります。
特に、給与所得者等再生を選択している場合は、認可決定から7年間は自己破産の免責が得られにくいため注意が必要です。
法的制約を理解し、自分の状況に合った対応を検討しましょう。個人再生と自己破産はどちらも有効な債務整理手段ですが、それぞれ異なるメリットとデメリットがあります。財産状況や収入、将来の展望に合わせて、最適な方法を選択することが重要です。
当事務所では個人再生後の状況変化や自己破産への移行についての相談も受け付けています。一人で悩まず、まずは専門家に相談してみませんか。
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当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています(司法書士業務の範囲内に限る)。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。
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