経済が低迷する現代社会において、経済的にやむにやまれぬ事情から、闇金からの借金に手を出してしまう人があとを絶ちません。闇金の利息は法外なものがほとんどであり、結果返済できなくなるケースもしばしばです。
そこで今回は、闇金から提案される元金和解の危険性や元金和解を持ちかけてくるときのケースについて詳しく解説し、元金和解を提案された時の正しい対処法について手順を追って説明していきます。
【結論】闇金との和解＝弁護士や司法書士などのプロに相談しましょう
結論として、闇金と和解しようとする場合、自分だけでやろうとせず、弁護士や司法書士などの専門家に相談することが大切です。
闇金との和解は、本来はゼロ和解（元金も利息も払う必要がなく返ってくること）も状況によっては可能なものです。しかし、自力で和解しようとすると、これを実現するのはかなり困難です。
特に、闇金側はある程度法律論に長けており、債務者個人にはあまり法律的な知識がないことをいいことに、元金で和解しようとするケースが多く見られます。
後述しますが「闇金側が提案してくるタイプの元金和解」については、闇金の根本的な問題を解決するものではありません。それどころか、新たなトラブルの火種になりかねません。
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闇金が元金和解を提案してくる理由
闇金から「元金だけ返せば良い」という和解案を提示されると、多くの被害者は救われたと感じるものです。しかし実態は全く異なります。闇金が元金和解を持ち出すということは、単なる金銭回収以上の目的が隠されている場合がほとんどです。
表面上は親切に見える提案の背後には、実は新たな搾取の罠が仕掛けられています。ここからは、闇金が元金和解を提案してくる本当の理由と、危険性について解説します。
最後の最後まで被害者から搾取するため
闇金が元金和解を提案したり、応じたりするような素振りを見せる場面は、被害者が支払いの限界に達したと判断した時点であることが多いです。闇金は返済が滞りがちになった状況を「この客はそろそろ限界だな」と冷静に分析して全額回収は難しいと判断し、戦略を切り替えているに過ぎません。
「あと20万円払えば全て帳消しにする」といった提案は、実は最後の一滴まで搾り取るための罠です。被害者が家族や友人に頼み込んで工面したお金も、闇金にとっては回収対象でしかないのです。
元金和解と称して「最後の支払い」を迫ってくる場合でも、実際に和解が成立する保証は全くありません。支払い後も「手数料が別にかかる」「処理費用が必要」などと言って、更なる請求が続くケースが非常に多く見受けられます。
嘘をついて被害者を陥れたり、約束を破ったりするのは闇金のよくある手口です。決して信用してはいけません。
お金以外のものを提供させるため
元金和解の条件として、金銭以外のものを要求されることも少なくありません。印鑑や友人の連絡先、身分証、戸籍謄本などの個人情報は、闇ルートに流すことで換金できる貴重な「商品」となります。
最近特に目立つのが、ソフト闇金や「新型闇金」による口座売買の持ちかけです。「借金をチャラにする代わりに銀行口座を売ってほしい」といった提案は、実は犯罪への加担を強いるものです。
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女性の場合は性的搾取に繋がることも
女性の被害者に対して、闇金業者が元金和解の名目で性的行為や管理売春まがいの行為を強要するケースも報告されています。直接的な金銭回収が難しくなった場合の「代替手段」として持ち出されることが多いです。
被害者から直接的に搾取することが難しい場合、闇金業者は「紹介するから風俗店で働け」と持ちかけ、給料の一部を搾取したり、風俗業界のスカウトから紹介料・前受金（通称バンス）を取ることで利益を得ようとします。
一度こうした搾取の構図に取り込まれると、抜け出すのは簡単ではありません。また精神的なダメージも大きく、長期間にわたって苦しむ方も多くいるのが現実です。
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闇金が元金和解してくるケース
結論から言えば、闇金が提案する元金和解には乗ってはいけません。
闇金から借金をしていて返済が滞ってしまった場合、あるいは債務者側から弁護士や司法書士への相談も匂わせながら和解を図ろうとした場合、闇金側から「元金和解」を提案してくるケースがあります。
もちろんそれは、債権者のためを思ってのことではなく、闇金側は債務者からのさらなるお金の絞りとりを狙ってのことです。また、闇金側からの和解案に乗ることは、「この被害者は自分たちの要求どおりに動かせる」と闇金業者から漬けこまれることに繋がる恐れがあります。
ここでは、「元金和解」を持ちかけてくる時によく見られるケースを3つ紹介します。
ケース１：「元金だけ返金すれば水に流す」
例えば、闇金業者はこんなことを持ちかけてきます。
確かに、闇金業者の貸付は年率が高く、その多くは法外なものです。結果として、利息の金額が元金以上になるケースも少なくありません。
そのような背景から、利息を支払わずに済むと聞いて、闇金業者のこのような提案に応じてしまう債務者があとを絶ちません。しかしこのような提案をされても、確実に和解できるとは限りません。
例えば、元金をきちんと払ったのに、「届いていない」と嘘をつかれたり、元金を払い終えても、勝手に銀行口座へお金を振り込まれて、勝手に借金を繰り返される、といったケースが見られます。
ケース２：「元金を分割返済すれば許す」
闇金業者から元金和解を提案された時に、「いますぐ元金を払えないから無理だ」と断ろうとしたとします。そのような時に闇金側は次のような提案をしてくるケースがあります。
確かに、手持ちのまとまったお金がなくても元金和解ができるならば、この提案に乗ろうと思う債務者もいるかもしれません。しかしこれは、闇金業者との関係が長期化することに繋がるだけであり、それはとても大きなデメリットです。
しかも、仮にこの提案に乗ったとしても、元金だけ返済するという約束を破られて、途中から結局利息を請求されるケースや、返済途中で口座にお金が勝手に振り込まれて、借金が増額され、いつまでも返済が終わらないといったケースが数多く発生しています。
「闇金業者は約束を守らないもの」……これを忘れないようにしましょう。
ケース３：「元金と違約金返済でチャラにする」
闇金業者が提案してくる元金和解では、次のようなことを言われるケースがあります。
利息という言葉が消えてホッとする債務者もいるかもしれませんが、これはただ利息を違約金と言い換えただけに過ぎません。さらに、後から違約金を繰り返し請求される恐れもあります。債務者がこの提案にのるメリットは皆無です。
また和解の条件として、違約金といった金銭ではなく、本人確認書類や印鑑、銀行口座などを請求してくる場合もあります。これらは、身分証明証の偽造や、振り込め詐欺などのための口座への利用といった、犯罪に悪用される可能性があります。決して闇金業者に個人情報を手渡してはいけません。
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闇金と「独力で元金和解」するのが危険な理由
上でも簡単には触れましたが、闇金と「独力で元金和解」することは、その提案の内容がどのようなケースであっても危険な行為であり、避けるべきです。
ここでは、闇金と「独力で元金和解」することが危険である理由について解説していきます。主な理由は3つです。
理由１：その後も取り立てが続く可能性が高い
闇金と自力で元金和解をしてしまうと、その後も取り立てが続く可能性が高くなります。
なにがしかの提案をすれば、あるいは取り立てをすれば、この債務者からは金を搾り取れると判断した闇金は、たとえば、口座に勝手に入金するなどして、高金利での追加融資などを仕掛けてきます。あるいは、元金が振り込まれていないといった嘘をついて、元金を繰り返し回収しようとします。
なにがしかの言いがかりをつけて、利息の取り立てを復活させるかもしれません。こうして、なかなか抜け出せない借金の連鎖に陥ってしまうのです。
理由２：優良顧客として別の闇金に情報を売られる
闇金で自力で元金和解したとします。すると、その会社はあなたの情報を別の闇金会社に売るケースが出てきます。これは、上でも述べたようにあなたが闇金にとっての「優良顧客」であると判断されたからです。
つまり、お金を払う意思がある債務者、あるいはお金を搾り取ることができる債務者、もっと平たくいってしまえば「闇金業者にとってのいいカモ」と見做された、ということです。闇金業者は、いわゆる反社組織や闇金業者同士でネットワークを形成しているものです。そんな関連する別の闇金に、「いいカモ」の情報として売られる、というわけです。
こうして、闇金の負の連鎖からなかなか抜け出せなくなってしまうのです。
理由３：追加の借入を提案される
闇金で自力で元金和解をすると、元金和解を成立させる条件として、追加融資を持ち出してくるケースもあります。「元金さえ払ったらチャラにはするが、その代わり少額でいいから追加で金を借りるのが条件だ」……こういった感じです。
常識的に考えれば、ここで闇金から追加融資を受けることは真っ先に断るべきです。しかし、債務者の多くはお金に困っています。そこを漬け込むような甘言を弄して、闇金側は追加融資を勧めてきます。
理由４：詐欺に巻き込まれたり犯罪に加担させられる
元金和解やさらには「ゼロ和解」（1円も返さず和解すること）の条件として、闇バイトへの参加を要求されることがあります。これは借金問題からの解放を餌に、新たな犯罪への加担を強いる極めて悪質な手口です。
被害者は詐欺行為の片棒を担がされたり、最悪の場合は強盗の実行犯として捨て駒にされるリスクもあります。警察の捜査が進めば当然逮捕される可能性が高く、被害者のはずが「加害者」として社会的制裁を受けることになります。
こうした犯罪への加担を強いられた場合、たとえ脅されて行ったとしても、法的に免責される保証はありません。金銭負担以上のリスクを背負わされることになるため、闇金からの無謀な要求には絶対に応じないようにしてください。
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闇金から元金和解を求められた場合の正しい対処法
それでは、闇金から元金和解を求められた場合には、債務者はどのような対処をすれば良いのでしょうか。
ここでは、闇金から元金和解を求められた場合の正しい対処法について解説していきます。正しい対処法は、以下の4つのステップを踏んでいけば実行できます。
STEP1:独断で決めない、払わない
闇金側から元金和解を持ちかけられた場合に取るべき最初のステップは、「独断で決めない」「どういう名目であれお金を決して払わない」ということです。
繰り返しになりますが、闇金側が提案してくる内容によって、債務者が有利になることはありません。しかし、法律の素人である債務者はそれらの判断が的確にできません。独断で決めても、プラスになることはありませんし、だからこそ闇金側は仕掛けてくるわけです。
債務者の経済的な将来に大きな影響を与える決断ですから、まず司法書士や弁護士といった法律のプロに相談せずに決断してはいけません。
STEP2:闇金からの借入額や相手先情報、利息などをまとめておく
次に、闇金から借りた融資に関連する情報をまとめます。
特に相手先の情報については、闇金というものの特質上、会社名や代表者名や連絡先などの正確な情報は掴みにくいかもしれません。
それでも、些細な情報でもあれば、専門家にとっては後々の交渉に有意義なものとなります。
STEP3:闇金に強い司法書士へ相談する
3つ目は、「司法書士に相談する」です。
司法書士とは、司法書士法によれば「専門的な法律の知識に基づき、登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする国家資格である」とあります。
また、法務省のサイトに掲載されている「司法書士の業務」によれば、「法務大臣から認定を受けて簡易裁判所における民事訴訟などにおいて当事者を代理する業務も」行えるとあります。
つまり司法書士が当事者である債務者の代理となって、問題解決に当たることができるというわけです。
この時、司法書士ならば誰でもいいというわけではありません。いわゆる、闇金問題に強い司法書士を選ぶことで、問題解決の可能性は高まります。
なお、司法書士に相談するときは、STEP2で集めた情報をすべて持っていくようにしましょう。闇金問題に強い事務所であれば、相談料は無料のケースがほとんどです。
最近話題のソフト闇金やLINE闇金、先払い買取や後払いツケ払い現金化業者は、総称して闇金と呼んで差し支えありません。言うまでもなく違法金融業者であり、弁護士や司法書士が介入することで、取り立ての停止を手始めにトラブルを解決へ導くことが可能で[…]
STEP4:司法書士が闇金業者と和解交渉を行う
最後のステップは、司法書士に闇金業者と和解交渉をしてもらうことです。
司法書士に相談をして、司法書士から提案された解決案に納得をしたら、司法書士に正式に交渉を依頼します。そこからは債務者は特に何かする必要はありません。司法書士に完全に任せる形になります。
ここで登場する「元金和解」は法律のプロが介入した結果の和解条項のひとつであり、本来はゼロ和解を勝ち取るべきところではありますが、状況によっては危険を一日も早く脱するためには元金和解もやむなし、というケースが最近は往々にしてあります。
闇金問題に強い司法書士ならば、それまでの交渉実績を活かし、時には警察や金融機関とも連携を取りながら、闇金業者と和解交渉を進めていきます。また、状況によってはゼロ和解の実現も見えてきます。
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まとめ
今回は、闇金から提案される元金和解の危険性や元金和解を持ちかけてくるときのケースについて、まず解説しました。そして、元金和解を提案された時の正しい対処法についての手順も説明してきました。
闇金側からの元金和解の提案だけでなく、闇金からお金を借りてしまったことで、様々なトラブルに巻き込まれ、どうしたらいいかわからなくなることは多々あります。
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