借金問題で悩む多くの方が「借金は返さなければ」と考えながらも、元金に加えて膨らんでしまった遅延損害金にも苦しんでいます。債務整理の1つである任意整理を行うことで、遅延損害金が免除される可能性が高いことをご存知でしょうか?
借金返済が滞ると、日々増え続ける遅延損害金の負担は非常に重くなります。しかし、適切な手続きを踏めば、遅延損害金が免除されるケースがほとんどです。
今回は、遅延損害金の基本的な知識から任意整理で遅延損害金が免除される可能性、任意整理が適している人・適していない人まで、司法書士の立場から分かりやすく解説します。
遅延損害金とは?
借金の返済が遅れると発生する遅延損害金。一体どのようなものなのか、発生の仕組みや計算方法など、基本的な知識を理解しておくことが問題解決の第一歩です。
まずは、遅延損害金について詳しく解説します。
遅延損害金の概要
遅延損害金は「遅延利息」「延滞利息」などとも呼ばれます。
通常の利息は借りたお金の対価として支払うものですが、遅延損害金は約束した返済日を守れなかったことによるペナルティとして支払う利息です。
債務者は、遅延損害金の支払いを拒否することはできません(民法419条3項)。つまり、一度契約で決められた遅延損害金は必ず支払う義務があるのです。
遅延損害金の利率
遅延損害金の利率には「法定利率」と「約定利率」の二つがあり、法定利率は現在年3%です。法定利率は特に契約で定めがない場合に適用される利率で、民法で定められています。
消費者契約法上では、遅延損害金の利率の上限は年14.6%と定められており、クレジットカードの支払いなどの金銭消費貸借以外の契約に適用されます。金銭消費貸借契約の場合は、利息制限法により年20%が上限です。
したがって、消費者金融やカードローンなどで契約した場合、最大で年20%の遅延損害金が発生する可能性があります。返済が遅れてしまうと、この高い利率によって雪だるま式に借金が膨らんでいきます。
遅延損害金の発生時期と計算方法
遅延損害金は、支払い期日の翌日から発生することが特徴です。例えば5月10日が返済期限の場合、5月11日から遅延損害金が発生し始めます。遅延損害金は、借金の返済が遅れるほど増えていきます。
遅延損害金の計算式は「遅延損害金=元金残高×遅延損害金の利率(年利)÷年間日数×遅延日数」です。年間日数は、通常365日で計算されることが多いです。
遅延損害金が発生すると、放置するほど借金総額は膨らみ、返済が困難になっていくという悪循環に陥るでしょう。遅延損害金による借金の増額を防ぐためにも、少しでも早く専門家に相談しなければいけません。
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任意整理で遅延損害金を免除できるか?
借金問題を解決する第一歩として、まずは任意整理を検討しましょう。任意整理は債務整理の中でももっとも利用者が多い手続きです。
任意整理を行うことで、遅延損害金が免除されれば借金の総額を減らせます。次の項目では、実際に遅延損害金が免除される可能性や債権者が応じる理由について解説します。
任意整理による遅延損害金免除の可能性
任意整理をすることで、遅延損害金はカットできる可能性が高いでしょう。
任意整理は債権者と債務者が交渉し、将来の利息をカットした上で分割返済の合意を目指す手続きです。任意整理の交渉時は、既に発生してしまった遅延損害金も交渉の対象です。
司法書士による任意整理の統一基準によると、「和解案の提示にあたっては、それまでの遅延損害金、並びに将来の利息は付けないこと」と記載があります。
任意整理の手続きが始まると、すぐに債権者への支払いがストップし、そこからは交渉によって遅延損害金をカットすることが可能です。
債権者が遅延損害金カットに応じる理由
債務者が任意整理をした場合、債権者は遅延損害金カットに応じるケースが多い傾向にあります。自己破産になれば元金さえも回収できなくなる可能性が高いため、元金だけでも回収しようという現実的な判断が働くのです。
債権者にとっても、遅延損害金の返済を強要してしまうと、交渉が決裂して債務者が返済履行不能に陥る危険があります。債務者が自己破産してしまうと貸金業者側の損失が大きくなるため、遅延損害金カットに応じることで、相応のメリットがあるのです。
遅延損害金カットの成功率を高める方法
遅延損害金カットの成功率を高めるためには、借金問題に強い司法書士に相談するのがおすすめです。司法書士に依頼することで、遅延損害金カットの成功率が高まるでしょう。司法書士は法律知識を持ち、交渉の経験も豊富であるため、適切な交渉が期待できます。
特に、取引期間が長かったり(十分利息の回収ができている)、残金を一括返済できる場合は、遅延損害金のカットに応じてもらえる可能性が高いです。一括返済の場合は債権者にとって回収コストが低減されるため、交渉が有利に進むことが多いでしょう。
法律の知識が乏しい一般人が自分で交渉した場合、任意整理は失敗に終わる可能性が高いです。司法書士に限らず、貸金業者側もいわば交渉のプロでもあるため、素人が交渉しても不利な条件で和解させられてしまう恐れがあります。
昨今は初回相談を無料で実施している司法書士事務所が多いので、まずは相談から始めてみてはいかがでしょうか。
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任意整理が適しているケース、適していないケース
任意整理は全ての借金問題に適しているわけではありません。どのような状況の人に任意整理が向いているのか、または向いていないのかを知っておきましょう。
次の項目で、任意整理が適しているケースと、適していないケースを解説します。
任意整理が適している具体的なケース
毎月の返済額が大きくなりすぎて払えない場合、任意整理により将来利息カットと3~5年程度の長期分割が可能です。毎月の返済額が収入に見合った金額に減額されることで、生活を立て直しながら借金を返済していくことができるでしょう。
また、一括請求を受けてしまい残金が払えない場合でも、任意整理によって再度分割払いに戻せる可能性があります。支払いが遅れたことで一括返済を求められても、任意整理の手続きを取ることで無理のない分割返済に変更できるのです。
さらに、「リボ払い」のように利息ばかり払っていて元金が減らない場合、任意整理で将来利息をゼロにして完済を早めることができます。高金利の借金では、返済額の大部分が利息に充てられてしまうことがあります。任意整理で将来利息がカットされれば、支払ったお金が全て元金返済に充てられるため、完済を早めることが可能です。
任意整理が適していないケース
生活保護を受給している場合は、支給されたお金を借金返済に充てることは適切ではありません。生活保護費は最低限の生活を送るためのものであり、借金返済に充てることは制度の趣旨に反するとされています。生活保護を受給していて、借金の返済が困難な場合は、任意整理よりも自己破産が適しています。
また、借金額が大きすぎる場合は、任意整理での解決が難しい可能性が高いです。目安として、任意整理による分割返済期間は5年程度が上限と考えられており、5年でも返済が難しい場合は、他の債務整理方法を検討すべきでしょう。
さらに、保証人や担保を立てている債務がある場合や、分割払いで購入した商品がある場合は任意整理に向いていません。任意整理をすると保証人に迷惑がかかる可能性があり、また購入した商品は引き渡さなければならなくなる場合もあります。
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任意整理と他の債務整理方法との比較
任意整理は自己破産と異なり、持ち家や自動車などの資産に影響を与えないことがメリットです。自己破産では、原則として資産が処分されてしまいます。対して、任意整理では資産を手元に残したまま債務整理ができます。
任意整理ができるかは、返済できる経済的な余力が十分にあることが重要です。任意整理を行う場合、現在の債務総額を60回の分割で返せるかどうかが目安となります。例えば300万円の借金があれば、毎月5万円程度の返済ができる収入があるかどうかが判断基準です。
任意整理は、他の債務整理と比べると従来の生活への影響が小さい手続きと言えるでしょう。信用情報機関には事故情報として登録されるため、5~10年程度はクレジットカードの作成などができなくなりますが、日常生活や仕事への影響を最小限に抑えられるでしょう。
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まとめ
遅延損害金は借金返済が滞ると発生し、元金と同様に返済義務があります。しかし、任意整理の手続きを取ることで、遅延損害金が免除される可能性が高いです。
任意整理は、将来利息のカットと無理のない返済計画の交渉ができる債務整理方法です。しかし、全ての人に適しているわけではありません。経済的な余力があり、資産を残したい人には適していますが、借金額が多すぎる場合や生活保護受給者には不向きです。
ライタス綜合事務所では、遅延損害金の免除を含む任意整理に関する相談も随時受け付けています。借金問題は一人で抱え込まず、まずは当事務所に相談されてみてはいかがでしょうか。早期の対応が借金問題を解決する上で重要です。
借金返済にお困りなら今すぐご相談ください
当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています(司法書士業務の範囲内に限る)。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。
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