借金問題で個人再生を検討している方の中には、「副業をしているけど個人再生はできるのだろうか」と不安を抱える人も多いでしょう。
結論から言うと、副業をしていても個人再生は可能です。むしろ、収入増加は返済能力の証明になるため、手続きにプラスに働くことがほとんどです。ただし、副業の種類や収入状況によっては注意すべき点があります。
手続きをスムーズに進めるためには、副業と個人再生の関係性を正しく理解しておくことが大切です。今回は、副業をしながら個人再生を行う際のポイントや影響について、詳しく解説していきます。
副業と個人再生の関係
個人再生は、継続的な収入があることを前提とした債務整理の一種です。副業による収入があることは基本的に問題ありませんが、いくつか押さえておくべきポイントがあります。
副業の種類や収入状況によって、個人再生にどのような影響があるのか見ていきましょう。
副業をしていても個人再生は可能
個人再生は副業をしていても申立て自体に問題はなく、むしろ収入増加はプラスに働く場合が多いです。
個人再生の重視すべき要件は「将来において継続的または反復して収入を得る見込みのある者」であり、基本的に雇用形態は問われません。個人再生の審査では、申立人が将来的に返済計画を実行できるかどうかが重要なポイントになります。
副業で収入が増えることは個人再生にプラスの方向に働き、マイナスになることはありません。就業時間が長くなることで健康面への懸念が生じる可能性もありますが、無理のない範囲で副業を行い、本業と両立できていることを示せれば、生活再建への意欲として評価されることもあります。
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副業によって個人再生の返済額が増えるケース
個人再生の返済額は、債務総額と保有している財産の合計金額によって決まります。これは「清算価値保障の原則」が関係しているのです。この清算価値保障の原則は、もし自己破産をしていたら処分される財産の価値と同じくらいの金額は、個人再生でも最低限返さなければならないというルールです。
たとえば、100万円の財産があり借金が500万円あった場合、自己破産ではその100万円の財産を手放すことになります。個人再生の場合は、その100万円を「最低限返すべき金額」として計算し、それ以下の金額しか返さないというのは認められません。
つまり、借金額に応じた最低返済額と、持っている財産の価値を比べて、どちらか高い方を返す必要があるのです。認可決定までに副業によって持っている財産価値が増加した場合、返済額が増えるケースもありえるのです。
しかし実際は、毎月数万円程度の収入を副業で稼ぐ程度であれば何も問題は生じません。生活費や必要経費に充てられる金額は、返済額の計算からは除外されます。副業による収入で生活が楽になるのは、むしろ個人再生を成功させるためにはプラスになるでしょう。
認可決定前の副業は継続可能だが収入報告が必要
個人再生の認可決定前に副業を継続することは可能ですが、すべての収入を裁判所に報告しなければなりません。副業による収入も含めて毎月の収入・支出を記録し裁判所へ提出する必要があるのです。
その後は、実際の返済がスタートすることになりますが、収入についてはしっかりと管理しておく必要があります。なぜなら、副業の収入を前提とした返済計画が組まれているため、副業収入がなくなってしまえば手続きを継続できなくなる恐れがあるためです。
副業の種類によって個人再生への影響が異なる
アルバイトなど出費をほとんど伴わない副業は、個人再生にプラスに働くことが多いです。時間を提供して対価を得るタイプの副業は、安定した収入源として評価されます。
例えば、飲食店でのアルバイトやコンビニでのパート勤務、配送ドライバーなどは、比較的安定した収入が期待できる副業と言えます。ただし、健康に悪影響を及ぼすような長時間労働は避けるべきです。無理のない範囲で行うことをを心がけましょう。
一方で、FXやバイナリーオプションなどの投資系副業は裁判所から不適切と判断されるケースが多く、手続きに支障が出るおそれがあります。これは、投機的な性質を持つ副業は、安定した収入源とは見なされにくいためです。
また、ネットビジネスやアフィリエイト、転売ビジネスなどは、収益が不安定になりがちです。初期投資が必要なものや収益化までに時間がかかるものは、個人再生中の副業としては適さない場合があります。
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副業をしながら個人再生を成功させるポイント
副業をしながら個人再生を成功させるには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。ここからは、具体的な成功のポイントをまとめました。適切な副業選びや収入管理を行い、個人再生を円滑に進めるためのコツを見ていきましょう。
黒字を維持できる副業を選択する
副業で継続的に黒字を維持できるかどうかが個人再生を成功させる重要なポイントです。収支がマイナスになる副業は、返済能力を低下させると判断される可能性があるでしょう。副業を始める前に、必要経費や初期投資についてもしっかり計算しておくことが重要です。
投資額が大きい副業は、回収まで時間がかかる場合もあり、個人再生中は避けた方が無難かもしれません。また、在庫を抱えるビジネスは、市場の変動で損失が出るリスクも考慮しなければいけません。
黒字を維持するため、副業は本業への影響、健康への配慮、安定性、将来性などを総合的に判断し、無理なく続けられるものを選ぶことが大切です。個人再生の成功には、安定した収入基盤の確保が不可欠だということを念頭に置いておきましょう。
副業による収入を適切に管理・報告する
副業の収入も含めたすべての財産を裁判所に報告する必要があり、在庫商品や売掛金も時価で計上しなければなりません。具体的な管理方法としては、エクセルなどの表計算ソフトを使用することをおすすめします。
日付、内容、金額を細かく記録し、過去の履歴を確認できるようにしておくと管理がしやすくなります。また、経費の計上方法については専門家に相談し、適切な処理を行うことも重要です。不明瞭な経費計上は、後から問題になる可能性もあります。
副業の収支を明確に管理し、必要な書類(給与明細など)をすべて提出できるよう準備することも重要です。できれば、副業用の通帳を別に作り、収支の流れを明確にしておきましょう。裁判所から追加資料の提出を求められた場合にすぐに対応できるよう、領収書や振込明細などの証拠書類は必ず保管することも忘れてはいけません。
個人再生では継続的かつ定期的な返済が必要なため、収入の変動があっても計画的な貯蓄と返済が求められます。本業と副業の収入を合わせて、無理のない返済計画を立てることが成功するためには必要です。
基本的には専門家の指示に従う
個人再生を成功させるには弁護士や司法書士に相談・依頼し、専門家のサポートを受けることが最善の方法です。
専門家への相談は定期的に行い、状況の変化があれば速やかに報告しましょう。特に収入面での大きな変動(昇給や減給、副業の状況変化など)は、返済計画に影響する可能性があるため、必ず伝えるべき事項です。
弁護士や司法書士、再生委員からの指示に従わないと、後々トラブルになったり失敗する原因になったりします。指示に疑問を持った場合は、勝手な判断で背くのではなく、直接理由を尋ねるべきです。
疑問点は早めに解消し、専門家と協力して手続きを進めていくことが肝要です。個人再生は法的な債務整理手続きなので、法律の専門家のサポートなしに進めるのは難しいと言えます。費用面で迷うこともあるかもしれませんが、失敗するリスクを考えれば、専門家への依頼は必要な投資と捉えるべきでしょう。
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まとめ
副業をしていても個人再生は十分に可能であり、むしろ収入増加によって返済能力が高まるため、プラスに働くことが多いといえます。ただし、副業の種類や収入状況によっては注意すべき点もあるので、専門家のアドバイスを受けながら進めることが重要です。
個人再生を成功させるポイントは、黒字を維持できる副業を選ぶこと、収入を適切に管理・報告すること、そして専門家の指示に従うことです。これらの点をしっかり押さえておけば、副業を続けながらでも無理なく個人再生を進めていくことができるでしょう。
当事務所では個人再生に関するご相談も随時受け付けています。副業と個人再生の両立でお悩みの方は、まずはお気軽に当事務所へご相談ください。個々の状況に最適なアドバイスをさせていただきます。
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当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています(司法書士業務の範囲内に限る)。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。
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