借金問題に悩んでいるアルバイト勤務の方は、「正社員でないと個人再生はできないのではないか」と不安に思われている方も多いでしょう。
結論から言うと、アルバイトやパート勤務でも個人再生は可能です。大切なのは雇用形態ではなく、安定した収入があるかどうかです。
借金問題は抱え込まず早めに専門家に相談することが重要。今回は、アルバイトでも個人再生ができるのか、どのような条件が必要なのかについて司法書士目線で詳しく解説します。
アルバイトでも個人再生できる?
個人再生は、裁判所が開始の決定をする手続きになります。裁判所は返済計画の実行可能性を重視するため、収入の安定性や継続性が審査のポイントです。アルバイトでも収入が安定していれば問題ありませんが、いくつか注意点があります。
アルバイトやパート勤務でも個人再生は可能
個人再生手続きを利用する際に、雇用形態についての明確な規定はありません。正社員である必要はなく、アルバイトやパート勤務、契約社員などの雇用形態でも、個人再生を申し立てることが可能です。
裁判所が重視するのは雇用形態よりも「継続的または反復して収入を得る見込み」があるかどうかです。長期間同じ職場で勤務しているアルバイトであれば、安定した収入があると判断され、個人再生が認められる可能性が高くなります。
個人再生には継続的な収入が必要
個人再生とは、法律に則って裁判所に返済不能の申立てを行い、返済額を減額して、原則として3年間(最長5年間)で債務を返済していく手続きです。
アルバイトであっても継続して働ける環境にあり、分割返済を遂行できるだけの安定した収入を得ている状態であれば、個人再生手続きの利用は十分可能です。
裁判所が審査する際には、過去の給与明細や雇用契約書、勤務状況などを確認しながら、今後も継続して収入を得られるかどうかを判断します。
アルバイトの方は特に、長期間にわたって同じ職場で働いている実績や、今後も継続して勤務できる見込みを示す資料を準備しておくことが重要です。
個人再生の種類によって認められる可能性が異なる
個人再生手続きには「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類があります。どちらも個人再生手続の一種で、住宅ローンを除く借金総額が5,000万円以下であり、毎月安定した収入があれば手続きが可能です。
2つの違いとしては、収入に関する条件があげられます。給与所得者等再生は小規模個人再生よりも収入面の要件が厳しく定められています。毎月の変動幅が大きい場合、具体的には2年間の収入変動幅が年収の5分の1以下でないと手続きができません。
小規模個人再生は、給与所得者等再生と比べると収入条件は優しいため、安定した収入を継続できる見込みがあれば、アルバイト等でも利用しやすいといえます。
もう一つの相違点として、債権者同意の必要性があげられます。給与所得者等再生の場合は債権者の同意は必要ありませんが、小規模個人再生の場合、手続きのために債権者の同意が必要です。債権者に反対されてしまうと小規模個人再生の手続きができなくなる点は、注意すべきでしょう。
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アルバイトで個人再生が認められないケース
アルバイトでも個人再生は可能ですが、すべてのケースで認められるわけではありません。ここでは個人再生が認められない可能性が高いケースを紹介します。自分の状況に当てはまるかどうか確認しましょう。
短期や不定期のアルバイトを繰り返している場合
短期のアルバイトや不定期な勤務形態の場合、継続的に収入を得る見込みがあるとは認められない可能性が高いです。裁判所は再生計画が確実に遂行できるかどうかを重視します。
例えば、短期間でアルバイト先を転々としているケースでは、安定した収入が見込めないと判断されることがあります。継続的な収入の見込みが立たないと、再生計画の実行可能性に疑問が生じるからです。
有期契約のアルバイトで、契約終了後の収入見込みが立っていない場合も注意が必要です。再生計画期間中の収入が確保できない可能性があると判断され、再生計画が認可されないことがあります。
収入が少なすぎて返済計画を立てられない場合
収入が少なすぎて再生計画で定められた返済額を3〜5年で完済できない場合は、個人再生が認められない可能性があります。返済計画の実行可能性が低いと判断されるためです。
月々の返済額が毎月の収入額に対して多すぎる場合も、再生計画案に無理があると判断され不認可となることがあります。返済と生活維持のバランスが取れていることが重要です。
債務者の生活を維持しつつ、再生計画に従った返済を行うためには、十分な収入が必要です。生活に支障をきたすような無理な返済計画は認められません。最低限の生活費を確保した上で返済計画を立てる必要があります。
収入の変動幅が大きい場合
アルバイトは病気などで欠勤が続けば収入が大きく減少するリスクがあり、収入の安定性が低いと判断されやすいです。特に、シフト制のアルバイトは月ごとの収入変動が大きくなりがちです。
収入の変動が大きい場合、裁判所から「再生計画が遂行される見込みがない」と判断される可能性があります。安定した収入を証明するために、過去の給与明細や確定申告書などの資料を準備することが重要です。
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アルバイトで個人再生が認められない場合の対処法
アルバイトで個人再生が認められない場合でも、諦める必要はありません。状況を改善するための対処法がいくつかあります。ここでは個人再生が認められない場合の対応策について解説します。
再生計画案を見直して再申請する
個人再生が認められなかった場合、再生計画を立て直して再度申し立てることが可能です。裁判所からの具体的な却下理由を参考に計画を修正しましょう。
月々の返済額を少なく設定したり、返済期間を最長の5年に伸ばしたりするなど、より実現可能な計画に調整することが必要です。無理のない返済計画を立案することが重要になります。
裁判所から個人再生を却下された場合、理由を確認することに問題はありません。もし改善できる内容であれば、時間をおいてから再度申し立てするのも良い方法でしょう。
安定した職を見つけてから再申請する
現在不安定な雇用状況にある場合は、より安定した職を見つけてから再度個人再生を申し立てる方法も検討できます。正社員でなくても、長期的に働ける環境を探すことが重要です。
例えば、週3日のアルバイトから週5日の契約社員に雇用形態を変更してもらえれば、収入の安定性は大きく向上します。正社員への登用制度がある職場であれば、そのチャンスを活かすのも良い方法です。
同じ勤務先での勤務期間が長いほど、裁判所から「継続して収入を得られる見込みがある」と判断されやすくなります。少なくとも半年以上は同じ職場で働いていることが望ましいでしょう。
複数のアルバイトを掛け持ちしている場合は、できるだけ1つの職場での勤務時間を増やし、収入の中心を明確にすることも有効です。メインの収入源が安定していれば、副業的な収入の変動は大きな問題にならないことが多いです。
安定した収入を得られる状態になってから個人再生の申立をすることで、認可される可能性が高まります。一時的な対応ではなく、長期的な視点で雇用状況を改善することが大切です。
短期や季節限定の仕事ではなく、継続的に働ける環境を優先しましょう。就職活動のサポートをしてくれる公的機関や民間のサービスを活用するのも有効な手段の一つです。
他の債務整理手続きを検討する
個人再生が難しい場合、任意整理や自己破産など、他の債務整理手続きを検討することも選択肢となります。それぞれのメリット・デメリットを理解して、自分の状況に合った方法を選ぶことが大切です。
任意整理は裁判所を通さずに債権者と直接交渉するため、収入の安定性についての厳しい審査はありません。ただし、元金の減額が少ないため、個人再生を検討していた方には負担が大きく感じられるかもしれません。
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借金の金額が大きく、個人再生でも返済が困難な場合は、自己破産を選択した方が良いケースもあります。自己破産では原則として借金が全額免除されますが、一定の財産が処分されるなどのデメリットもあります。状況に応じて適切な手続きを選ぶことが重要です。
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まとめ
アルバイトでも安定した収入があれば個人再生を行うことはできます。重要なのは雇用形態ではなく、継続的な収入が見込めるかどうかです。短期や不定期のアルバイト、収入が少なすぎる場合、収入の変動幅が大きい場合は認められにくい傾向があります。
個人再生が認められない場合は、再生計画の見直し、より安定した職を探す、他の債務整理手続きを検討するなど、別の方法で対処することも可能です。
当事務所ではアルバイトの方の個人再生に関する相談も随時受け付けています。借金問題でお悩みの方は、まずは当事務所にご相談ください。個々の状況に適した、具体的な解決策をアドバイスさせていただきます。
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