住民税の支払いを、つい後回しにしがちな方は多いのではないでしょうか。しかし、住民税の支払いを延滞していると、最終的には財産が差し押さえられるリスクがあります。
今回は、住民税を滞納するとどうなってしまうのか、そして万が一滞納してしまった場合の対処法について一緒に見ていきましょう。
住民税を払わないとどうなる?
住民税の滞納が長くなればなるほど問題は大きくなります。場合によっては、家族や職場にまで影響することも。住民税を含めた税金問題は、一度こじれると解決が難しくなります。早い段階でしっかり手を打つことが肝心です。
延滞税が発生する
住民税を期限までに支払わないと、翌日から自動的に「延滞税」が発生します。延滞税は納付が遅れるほど高くなり、市町村によって若干の違いはあるものの、滞納期間に応じて引き上げられていきます。
元々の税額に加えて延滞税がどんどん積み上がっていくため、気づいたときには支払総額が大幅に膨らんでいることもあるでしょう。地方税延滞金とも呼ばれるこの追加負担は、放置すればするだけ増えてしまうため注意してください。
督促状や催告書が届く
住民税の納期限から約20日が経過すると、自治体から「督促状」が送付されます。それでも払わずにいると、さらに「催告書」が届くことになります。恐ろしいのは、これらの通知は法的にも効力を持っていることです。
催告書も無視してしまうと、次は「差押え予告書」が発行されます。この予告書を無視すると、いよいよ財産の差押えへと進んでしまうのです。
通知は本人だけでなく、同居している家族、給与の差し押さえに発展した場合は、勤務先にも届くこともあります。周囲の人に「税金滞納者」と思われてしまうのは大変な苦痛です。特に職場に知られてしまえば、会社での評価にも影響しかねません。
財産の差し押さえが行われる
督促状や催告書をそのままにしておくと、自治体は財産を差し押さえる権限を行使します。差押えの対象となるのは給料や預金口座が主で、勤務先へもその通知が送られます。給与の差押えは手取りの4分の1が上限とされていますが、生活にはかなりの影響が出ることでしょう。
不動産や車両などの資産も強制的に換価され、滞納している住民税の支払いに充てられることになります。何が差し押さえの対象になるかは、自治体の判断によります。滞納税額が少額でも差押えが行われるケースもあるでしょう。
事業者の場合は、事業用の口座が差し押さえられると、資金繰りが立ち行かなくなります。取引先への支払いができなくなるなど、事業に致命的な打撃を与えられることも珍しくありません。
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住民税を払えない場合の対処法
経済的な理由で住民税を払えない状況に陥っても、自治体には、そうした困りごとに対応するための制度がちゃんと用意されています。ひとりで悩みを抱える前に、まずは自治体の窓口へ相談してみましょう。
分割納付を相談する
一括で納税できない場合は、自治体の相談窓口で、分割納付の相談をしましょう。「こんな状況なんです」と、今の収入と支出のバランスをきちんと伝えられれば、無理のない支払い計画を一緒に考えてもらえます。
自治体によっては、毎月の最低納付額が設定されていたり、分割回数に上限が設けられている場合があります。分割納付が認められれば、延滞税を抑えたり、差し押さえを避けられたりと、大きなメリットがあるでしょう。
納税の猶予を申請する
災害や病気、失業など収入が激減した場合は、「納税の猶予」を申請できるかもしれません。これには「徴収猶予」と「換価の猶予」の2種類あり、一定の要件を満たせば、最長1年間の納税猶予が認められます。
猶予期間中は延滞税が軽くなったり、場合によっては免除されたりすることも。申請には、給与明細や収支の見込み表などの提出が求められるので、準備には少し手間がかかるかもしれません。一般的に審査には1~2週間ほどかかります。
減免申請を行う
住民税の負担そのものを軽くする「減免申請」も選択肢のひとつです。低所得だったり生活に困っていたりする方に対して、住民税の一部、あるいは全部を免除してくれる制度です。
対象になるのは、生活保護を受けている方や災害の被災者だけではなく、失業や事業の不振などで急に収入が減った方も含まれます。
免除要件や申請期限は自治体ごとに異なりますが、たいていは「前の年に比べて収入が大幅に下がったかどうか」がポイントになります。年度の途中でも申請を受け付けてくれるところもあるので、「もう手遅れかも…」とあきらめる前に、まずは相談してみましょう。
減免が認められれば、その分の税金はもう支払う必要がなくなりますし、あとから「やっぱり払って」と言われることもありません。全額免除になることは珍しいかもしれませんが、たとえ一部だけでも負担が減るのは大きいでしょう。
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自分に合った債務整理で借金問題を解決する
住民税の滞納だけでなく、他の借金も抱えている場合は、思い切って債務整理を検討してみてはいかがでしょうか。債務整理には任意整理、個人再生、自己破産などの方法があり、どの手続きが自分に合うのか、専門家に確認すれば安心です。
任意整理
任意整理は司法書士などの専門家が債権者と直接交渉し、将来利息や遅延損害金をカットする手続きです。クレジットカードが使えなくなるなど多少の制限はありますが、生活に必要な最低限の部分にはあまり影響しません。
住民税の滞納分は任意整理の対象外ですが、他の借金の返済額が減ることで、浮いたお金を税金の支払いに充てることができます。月々の返済額が抑えられれば、それだけ生活に余裕が出てくるでしょう。
交渉成立後は新たな返済スケジュールに沿って、無理のないペースで返していくことができます。税金の分割納付もあわせて進めていきましょう。
信用情報に一定期間記録が残るデメリットはあるものの、任意整理は社会的な影響も小さく済むことが多いので、生活の立て直しに適した手続きです。
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個人再生
個人再生は、裁判所を通じて借金を大幅に減らす手続きです。債務総額の5分の1程度(最大で10分の1)まで減額でき、その金額を原則3年、延長が認められれば5年で分割返済していきます。
住民税などの税金は減額対象外となるため、再生計画とは別に納付スケジュールを立てる必要はありますが、他の返済額が減ることで、税金を払えるだけの余裕が生まれます。
返済計画が裁判所に認められれば、債権者からの取り立てや差押えといった法的手段はストップされるので、精神的な負担も和らぐでしょう。
なお、住宅ローンがある場合でも、一定の条件を満たせば「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」を利用することで、マイホームを手元に残しながら借金問題を解決できます。
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自己破産
どうしても返済が難しいという深刻な状況の場合には、「自己破産」という選択肢もあります。これは裁判所に申し立てをして、返済能力がないと認められれば借金の支払い義務が免除される制度です。
デメリットとして、官報掲載や一定期間の資格制限などがありますが、それ以上に、借金の重圧から解放される安心感は大きいです。
自己破産が認められても、住民税などの税金については免除の対象にならないため、支払い義務は残ります。しかし、それ以外の借金が全てゼロになることで、その分の余力を税金の支払いに回せるようになるでしょう。
破産の手続き中であっても、支払う余力があるならば、税金の分割納付や納税猶予を相談することは可能です。きちんと自治体と向き合って支払う姿勢を見せることで、差押えなどの厳しい処分を避けられるケースもあります。
新しいスタートを切るための土台をつくる手段として、自己破産も考えてみてください。後ろめたいと感じる方も多いですが、法律で認められた手続きなので心配する必要はありません。
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まとめ
住民税の滞納は、延滞税が加算されるだけでなく、放っておけば督促や差押えといった厳しい措置に進んでしまうこともあります。
もし「どうしても納められない」と感じたら無理に背負い込まず、まずは分割納付や納税猶予、減免制度といったサポートを活用しましょう。そして、住民税以外にも借金を抱えている場合には債務整理を視野に入れて、自分にとってベストな方法を見つけてください。
当事務所では住民税の滞納問題に関する相談も随時受け付けています。一人で悩まず、専門家のアドバイスを受けながら解決の糸口を見つけてみてはいかがでしょうか。適切な対応で税金問題を解決し、安心した生活を取り戻すお手伝いをいたします。
借金返済にお困りなら今すぐご相談ください
当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています(司法書士業務の範囲内に限る)。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。
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