実際のところ、このような事例も決して少なくはありません。非現実的だと感じる方もいるでしょうが、これは私たちのすぐ近くで起きている出来事なのです。
闇金業者による不正な取引に口座が利用されてしまうと、ご自身の日常生活が一変する恐れもあります。
今回の記事では、闇金と口座凍結の関係を詳しく解説するとともに、口座凍結の解除方法についてもご紹介します。
もしもの事態で焦ることなく冷静に対応するためにも、覚えておくと安心です。
【そもそも】口座凍結とは何か
まずは、口座凍結とはどのようなものか、口座が凍結される理由や闇金と口座凍結の関係についても解説していきます。
口座凍結ってどういう状態?
口座凍結とは、金融機関が特定の条件下で口座の取引を一時的に停止する措置のことです。
この状態になると、口座からの引き出しや振り込み、給与の受け取りなどができなくなります。
闇金取引が原因で口座が凍結されるケースも
口座が凍結される理由のひとつに、闇金が関わっていることをご存じでしょうか。実は、闇金と関わりを持ってしまうと、口座凍結されることがあるのです。
闇金業者からの借金の返済に使った口座を不正な取引に利用されてしまうと、口座が凍結される可能性が高いと考えてよいでしょう。
闇金に自分の口座を知られること自体が、大きなリスクとなります。
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口座凍結されてしまう理由は?
口座が凍結される理由はいくつかありますが、ここでは主に闇金との関わりによって口座が凍結されるケースについて解説します。
闇金取引に巻き込まれた場合、ご自身の口座が犯罪に利用されている可能性があると思ってください。
具体的には、闇金業者が利用する「客振り」手法に利用されたり、口座売買を行ってしまった場合です。
犯罪に利用された
闇金業者は、借金の取立てや返済のために他人の口座を利用します。
ご自身の口座が犯罪に関与しているとみなされてしまうと、口座凍結の対象となります。これは本人が取引に関わっていなくても同様です。
闇金業者に口座情報を知られたり、無断で取引に利用されたりすることがリスクとなってしまうため、できるだけ闇金業者との関わりを避けましょう。
闇金業者が利用する「客振り」手法に利用された
最近はこのケースが比較的に多いと言っても良いでしょう。一般的に闇金業者は、違法操業を行っていることを重々承知の上で悪事を働いています。
そして、一般的に闇金業者は逮捕されるのを避けるため、無鉄砲に活動するわけではありません(もっとも、中にはそういう業者もいるかもしれませんが…)。
基本的には継続的かつ反復して、可能な限り長い期間闇金としてのビジネスを維持するという原則で動いています。足がつかないようにという部分に対しては徹底的に対策を練っているのです。
その中の1つに返済用の口座を自分たちの口座ではなく、全く無関係な人物の口座にするという方法があります。
この時に使われるのが、闇金被害者の方の口座です。つまり、闇金としては多重債務者の方から申し込みを受け付け、融資を行う際に振込先口座の情報を受け取るわけですから、これを悪用するということになるのです。
この時に出てくるテクニックが、今回ご紹介している「客振り」ということになります。
「客振り」とは、闇金業者が他人の口座に無断で返済金を振り込む手法です。
これにより、ご自身の口座が他の被害者の返済金の受け皿となり、犯罪収益を受け取る形になってしまいます。
これが発覚すると、ご自身の口座が凍結されるリスクがあります。このような事態を防ぐためには、闇金業者との関係を断ち切ることが大切です。
闇金から言わば「借金のカタ」として口座を売買させられた
多重債務者の方も何も、最初から銀行口座を売り飛ばすことを考えているわけではないでしょう。
闇金からいわば強制的に、つまり借金の「カタ」として口座売買をさせられてしまったというケースが最近は極めて多い状況です。
というのも、闇金からすれば銀行口座を買い受けることは商売においての仕入れとさせて変わりありませんし、こうした銀行口座は闇金からしていくらあっても良いものになります。
ちなみに、最近は昔ながらの闇金業者というよりも、ソフト闇金やSNS闇金といった新型闇金に分類される業者がこのような形で返済が追いつかなくなった多重債務者あるいは闇金被害者の方を最大限に利用しようとして、このような持ちかけを行うことがあります。
ソフト闇金は元々闇金よりもソフトな対応を行う違法金融という立て付けで営業しているケースが多いものですから、返済ができなければ
「代わりに銀行口座を買い取ってやる」
「今すぐにでも銀行口座を可能な限り用意しろ」
「買い取った金額は振り込むか返済額から天引きしてやろう」
などと言って、ソフトな対応をしているように見せかける舞台装置として使われることもあります。
ただし、言うまでもなく、これは口座の売買という違法な行為で極めてリスクの高いことを多重債務者の方に強制してやらせていることになります。
当然、違法です。
さらに恐ろしいことに、従前からご紹介している通り口座売買を行った側も罪に問われる可能性があることは忘れてはなりません。
なお売買された口座は、闇金業者が他人の口座を使って犯罪収益(つまり利息)を移動させる方法のひとつとして利用されます。
ご自身の口座が犯罪に利用されると、その結果、口座が凍結されることがあります。
口座売買は「詐欺罪」や「収益移転防止法違反」にあたる犯罪行為であるため、絶対に関与してはいけません。
多重債務状態にある方が金策をしようとすると、時間が逼迫していたり、信用情報の問題があるなどして、どうしてもグレーゾーンな領域の方法でお金を用意しなければならないというケースもあるでしょう。 その中で手を染めてしまいがちな方法が「口座の売買[…]
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口座が凍結されるとどうなる?
銀行口座が凍結されると、さまざまな影響が及ぶ可能性があります。
同一名義の口座がすべて凍結の対象になるほか、新規の口座開設も難しくなってしまいます。
また、実際の運用上では、このような行為が行われていると最初に感知するのは金融機関となるでしょう。
具体的には、闇金対応を行っている弁護士や司法書士から情報提供があり、金融機関が口座を即座に凍結するといったパターンが1つあります。
また、もう1つのパターンとして、警察や裁判所などの捜査機関などがこのような事案を検知し、刑事事件の捜査対象として銀行口座の凍結や銀行口座を保有している人物の調査を金融機関側に対して働きかけることがあります。
後者のパターンにおいては、金融機関側も捜査協力という大義名分がありますので、個人情報は適法に明らかにされてしまうことになると思っていただいて結構です。
こうした内容についてより深く掘り下げて見ていきましょう。
売り渡していない他金融機関含めて同一名義の口座がすべて凍結される
自分が売り渡した口座だけでなく、同じ名義で管理されている他の口座も凍結されることがあります。このとき、他の銀行や金融機関で管理している預金も影響を受けるため、注意が必要です。
口座凍結により、給与受け取りに使っていた口座も使えなくなってしまいます。残高としてあるはずの貯蓄も使えず、その時手元にある現金だけで生活しなければならないとなると、不安になるのは当然です。
また、光熱費や家賃などを口座引き落としにしている場合、引き落とし不能となります。滞納を繰り返すと信用情報も悪化するため、将来的な借り入れにも影響を及ぼすことがあるでしょう。
こうしたことが起こる理由として、一般的に金融機関は危険な状態にある銀行口座の名義人について、ある程度情報共有を行っていることが挙げられます。
具体的には、金融庁や預金保険機構を経由した情報共有が行われ、それぞれデータベース化されたネガティブ口座情報が存在します。
これらに銀行口座の凍結処理が行われた際には、情報提供が行われるのです。
また、他の金融機関に対しても情報照会を行うことができるため、基本的に一つ一つの事案について個別に調査や審査を行うのではなく、犯罪収益の移転を迅速に防止する観点から、名義人の口座は口座売買の対象であったかどうかにかかわらず全て凍結される可能性があります。
また闇金被害者の方が口座売買を持ちかけられた場合、給与口座とは無関係の銀行口座をわざわざ開設してまで口座を売り飛ばすことがあるかもしれませんが、これは残念ながら無駄足と言わざるを得ません。
一つの銀行口座でこうした事案が発生すると、他の金融機関についても一元的に情報共有を行い、該当する名義人の口座があれば全て凍結される可能性が高いのです。
昨今、金融機関のモラルが問われる中、コンプライアンスの観点から疑わしい取引に対して罰する精神が強まっています。したがって、他の金融機関の口座についてもすぐに凍結される可能性があると考えられます。
新規口座開設ができなくなる
口座が凍結されると、一時的に新しい銀行口座の開設ができなくなることがあります。口座の開設ができなければ、日常生活や仕事にも大きく影響が出るでしょう。
こちらについては、そんなに銀行口座の凍結情報などが共有されるものではなかろうとお考えになる方も一定数いらっしゃいます。
しかし、最近はここまで述べてきた通り、銀行側もコンプライアンスの強化や様々な情報共有制度があることから、銀行口座開設の申し込みがあった後、マネーロンダリング防止の観点も手伝って、以前にも増して強固な口座開設審査を行います。
現在の体制上はこうした口座開設審査において各金融機関に委ねられているというのが正確なところですが、内部ではこのような複数の観点から口座開設審査を行っている可能性が高いと言わざるを得ません。
それを証拠に、社会通念上公知となっている情報からすれば、以前にもまして銀行口座の開設が厳しくなっていたり、仮に問題なく銀行口座の開設ができたとしても、開設できるまでの期間が極めて長くなっているといったケースもあります。
これはいわゆる状況証拠的に考えれば、銀行口座の開設審査において以前よりも複数の観点でチェックが走っていることを表しています。
「ちょっと諸事情があって、しばらく給料は手渡しでお願いします」などと従業員が言ってきたら、会社側はどう感じるでしょうか。
手渡しでの支払いを会社が拒むことはできないにしても、なぜ急に口座が使えないのだろうかと不思議に思うものです。
【危険】個人情報がネット上の公的な記録に残り就職・結婚等で障害になるケースも
金銭的な被害はまだしも、こちらのリスクがあるため銀行口座の凍結は何としても避けねばなりません。
とりわけ、闇金絡みでの銀行口座凍結は今後の生活において取り返しのつかないダメージを与えることがあります。
2008年より、預金保険機構では「振り込め詐欺救済法に基づく公告」というものを行っており、これは一定の年数の間、闇金関連あるいは特殊詐欺もしくは還付金詐欺等で犯罪収益の受け皿として使われた銀行口座を公開する公的に認められた制度です。
開示される情報としては、
- 口座の凍結があった年月日
- 口座が凍結された際に銀行口座に入っていた金額(1円単位)
- 口座凍結に至った理由(闇金、特殊詐欺、など)
- 銀行名
- 支店名
- 口座番号
- 名義人
までセットで一定期間開示されることになります。
なおこれは公示であり、政令としてこの情報公開が認められて(定められて)いることから、民間レベルで削除要請等を行うことは一切不可能となっています。
この情報はネット上でいつでも・どこでも・誰でも確認しうるものであり、最近では一般企業とフリーランスの方の業務委託契約の審査において活用されたり、また就職においてもこうしたネガティブ情報がないかどうかのチェックを自主的に行っている採用担当者や人事部員がいても全く不思議ではないのです。
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口座凍結解除の具体的な手順は?
闇金からの口座凍結によるトラブルを解決するためには、まずは凍結された口座の解除を行う必要があります。
順を追って詳しく解説していきます。
1.凍結理由を確認する
まずは、自分の口座がなぜ凍結されたのかを確認しましょう。
金融機関から通知があった場合は、通知の内容をよく読み、凍結理由を把握する必要があります。通知がない場合や内容が不明な場合は、金融機関に問い合わせて確認しましょう。
2.銀行に連絡して凍結解除の依頼を出す
凍結理由がわかったら、銀行に対して凍結解除の手続きを依頼します。
ただし、闇金業者との関わりが原因で凍結された場合には、銀行だけでは解決が難しいというのが実情です。
3.所轄の警察署や法律の専門家(司法書士)に直接口座凍結解除を依頼する方法もアリ
闇金による口座凍結などの問題を法的に解決するためには、司法書士や弁護士への相談がベストです。
所轄の警察署にも相談することができますが、専門的な知識を持つ司法書士のほうが、適切な対処法を提案してくれるでしょう。
4.口座凍結解除に必要な書類を揃える
口座凍結解除の手続きには、いくつかの書類が必要になります。例えば明細書や通帳など、闇金業者との取引の経緯が分かるものが求められます。
また、警察や司法書士との連携もスムーズに行えるよう、必要な書類を整理しておくことが大切です。
これらの手続きを経て、口座凍結解除が行われます。
口座凍結解除の手続きは複雑で時間がかかることもありますが、適切な対処を行っていれば解決することができます。
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闇金との関係を断ち切る
まず、闇金問題を解決するためには、闇金業者との関係を完全に断ち切ることが大切です。
これができないと、口座凍結のリスクは常にあります。
ここでは、闇金との取引を避けるための予防策や注意点を具体的に紹介します。
金利や返済条件をよく確認する
闇金業者は、往々にして違法な金利や複雑な返済条件を設定しているものです。
契約を結ぶ前に、金利や返済条件をよく確認しましょう。また、消費者金融や銀行などの正規の金融機関を利用することが安全です。
とはいえ、金銭的に余裕がない状況で冷静に判断できる人は少ないでしょう。闇金を利用してしまった、もしくはその可能性がある場合には、すみやかに専門家に相談することをおすすめします。
借入れの目的や返済計画を考える
多数の消費者金融からの借入で自転車操業状態に陥り、その結果闇金を利用してしまう人も存在します。こうなると、債務から抜け出すことは大変厳しいと言わざるを得ません。
闇金に頼らずに借金問題を解決するためには、借入れの目的を改めて考える、返済計画を練り直すなど根本的な部分から見直す必要があります。
自分の返済能力を把握し、必要以上に借り入れないように注意しましょう。
闇金に知られている口座を解約する
闇金からの振り込みを受けているなど、取引履歴のある口座は即座に解約することが重要です。これにより、闇金との取引を完全に遮断することができます。
たとえ現時点では問題がなくても、違法な取引に利用されると銀行口座が凍結される可能性があることを忘れてはなりません。口座凍結は、日常生活や仕事にも深刻な影響を及ぼします。
使っていない口座を解約する
定期的に利用している口座であれば、身に覚えのないタイミングでの引き落としや残高の変動についても比較的短期間で気づくことができます。
しかし、いわゆる「休眠口座」では不自然な出入金に気づきにくく、口座が悪用されてしまうリスクが高まります。
利用していない口座は解約し、犯罪者による不正な取引を未然に防ぎましょう。
【おすすめ】司法書士に債務整理を依頼する
借金問題の解決には、信頼できる司法書士に債務整理を依頼することがおすすめです。
彼らは、適切な解決策を提案してくれるだけでなく、闇金業者との交渉や解決にも対応してくれます。
債務整理の方法
債務整理には、任意整理、個人再生、自己破産の3つの方法があります。
それぞれの方法で異なる手続きや条件がありますので、詳しくは専門家に相談して適切な方法を選びましょう。
任意整理
任意整理とは、債務者が借金問題を解決するために債権者と交渉し、借金の減額や利息のカット、返済条件の見直しなどを取り決める方法です。
任意整理は裁判所を介さずに行われるため、個人の信用情報が公的な記録として残ることはありません。
個人再生
個人再生は、一部の負債を返済することで債務整理を行う方法です。
裁判所の審査を経て債務整理を進めるため、債権者の同意が必要になります。
自己破産
自己破産は、借金返済が困難な状況にある個人が、裁判所を通じて債務を免責してもらう手続きです。
自己破産を申し立てると、債務を一部または全額免除することが可能となります。債務から解放される反面、信用情報などへの影響も大きいことが特徴です。
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口座凍結・凍結解除に関するよくある質問
口座凍結や凍結解除に関する疑問や悩みがある方は、以下のよくある質問を参考にしてください。
ご自身の状況に応じた解決策を見つけることができるでしょう。
口座凍結解除の手続きは、難しい手続きなのか?
まずは、どうして凍結したのか、その理由を確認しましょう。
金融機関や司法書士等の法律の専門家に相談し、必要な書類をそろえることが重要です。
口座凍結を解消した後に、再度凍結される可能性はある?
口座凍結が解除された後でも、再び闇金業者との関わりがある場合や、他の犯罪に巻き込まれるリスクがある場合は、再度口座が凍結される可能性も否定できません。
口座凍結を防ぐためには、闇金業者との関わりを完全に断ち切り、使っていない口座は速やかに解約することが有効です。
金銭管理の改善など、根本的な部分から見直していくことも重要と言えます。
凍結解除までにはどれくらいかかる?
凍結解除の手続きを始める前に、まずは金融機関や法律の専門家に相談し、適切な手続きや必要な書類を確認しておくことが重要です。
自力での凍結解除は難しい?
特に、闇金業者との問題が絡んでいる場合は、情報が十分でないと解決が難しくなってしまうでしょう。
そこで、司法書士や弁護士といった法律の専門家に相談し、適切な手続きや対策を踏むことが望ましいです。専門家の力を借りれば、円滑に口座凍結を解除できる可能性が高まります。
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まとめ
この記事では、闇金と口座凍結の関係性や口座凍結が起こる具体的な理由、そして、その解除方法について詳しく解説しました。
特に、闇金に巻き込まれ、口座が凍結されるという事態になってしまった方にとっては、解除手続きが非常に重要です。
その際、必要な手順や書類、法的な手続きを進める方法について理解していただけると思います。
また、いかに闇金との関わりを避け、万が一の口座凍結を未然に防ぐかという予防策についても述べました。闇金とのトラブルに巻き込まれないため、あるいはすでに関係を持ってしまっている場合でも、接触を断ち切るための具体的な手段はしっかりと講じるべきです。
当事務所は、債務整理だけでなく闇金、違法金融対応にも強い司法書士事務所です。
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