妊娠はおめでたいことですが、借金を抱えている状態だと「子どもが生まれる前に返済できるだろうか」、「出産費用や育児費用をどう工面すればよいのか」と不安で押しつぶされそうになるかもしれません。
しかし、落ち着いて現状を把握し、利用できる制度を知ることで解決策は見つかります。今回は、借金を抱えたまま妊娠した時の対処法や活用すべき補助制度について解説します。
借金があるのに妊娠した場合にすべきこと
妊娠が分かったら、まずは冷静に現状を確認することが大切です。感情的になったり問題から目を背けたりするのではなく、具体的な収支状況を把握し、必要に応じて周囲に助けを求めましょう。
家計状況を把握し返済計画を見直す
妊娠が判明したら、出産・育児にかかる費用を含めた上で借金返済が可能かどうか判断しましょう。月々の収入から固定費や生活費を引いた金額で、借金返済に回せるお金がどれくらいあるのか計算します。
実際に家計の収支を把握することで、「思ったより心配ないかもしれない」と分かることもあれば、「このままでは返済が厳しい」と気づく場合もあります。どちらにせよ、現状を正確に知ることが第一歩です。
収支状況を確認したら、妊娠中から産後までの返済計画を立て直すことが大切です。妊娠・出産にかかる費用や産後の収入減少も考慮し、無理のない返済計画を立てましょう。
配偶者や家族に相談し援助を求める
借金のことを配偶者に伝えていない場合は、早めに相談することが大切です。隠し続けることで関係が悪化するリスクもありますし、何より解決に向けた協力体制を築けません。
今後子どもを育てていくパートナーとして、しっかり話し合い、完済に向けた対応を一緒に考えることが大切です。二人で向き合うことで、精神的な負担も軽減されるでしょう。
配偶者だけでなく、親や兄弟姉妹などの親族に援助を求めることも選択肢の一つです。特に高金利の借金がある場合は、家族からの援助で一括返済することで、長期的な負担を減らせる可能性もあります。
返せない場合は債務整理を検討する
援助を受けても返済が難しい場合は、債務整理を検討しましょう。債務整理とは、借金を整理して返済負担を軽くする手続きです。
債務整理には、任意整理・個人再生・自己破産などの方法があります。借金の金額や返済能力などの状況に応じて、状況に合った方法を選択可能です。特に、妊娠・出産という大きなライフイベントを控えている場合は、将来を見据えた判断をしなければいけません。
弁護士や司法書士などの専門家に相談すれば、自分の状況に最適な債務整理の方法を提案してもらえます。相談には費用が必要になりますが、長期的には大きなメリットがあるケースも多いです。
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妊娠後に借金を放置するリスク
妊娠を機に、借金返済を先延ばしにしたくなる気持ちは理解できます。しかし、将来の生活を守るためにも借金問題から目を背けず、早めの対処が必要です。
借金額が増加し返済がさらに困難になる
借金を滞納すると、遅延損害金(延滞金)が発生します。遅延損害金は、通常の金利よりも高く設定されているため、返済が遅れれば遅れるほど借金の総額が増加してしまいます。
また、滞納情報は個人信用情報機関に記録され、ブラックリストに載るので注意が必要です。信用情報に傷がつくと、一定期間(5年程度)はローンが組めなくなったり、クレジットカードが作れなくなったりします。
妊娠中に滞納すると、出産後に必要になる可能性がある住宅購入や車の購入にも影響するでしょう。子どもの将来のためにも、信用情報を守ることが大切です。
裁判や財産差し押さえのリスクがある
借金の督促を放置し続けると、一括請求の内容証明郵便が届きます。それも無視すれば、裁判を起こされる可能性も十分考えられるでしょう。裁判で負けると、財産の差し押さえに発展するケースもあります。預金口座や給与の差し押さえは、日常生活に大きな支障をきたすでしょう。
給与が差し押さえられた場合、勤務先にも借金の事実が知られてしまうことになります。家族関係だけでなく、職場での信用問題にも発展しかねません。
母体へのストレスにより健康リスクが高まる
借金によるストレスは、妊婦に大きな精神的負担をかけます。ストレスによって過度の緊張がかかることで、妊娠中の体調が悪化する可能性も考えられます。母体の健康は胎児の発育にも影響するため、心身ともに安定した状態を保つことが大切です。
産前産後は健康な妊婦でも、うつ状態になりやすい時期です。借金問題で精神的にダメージを負う前に、なるべく早い解決を目指しましょう。心の健康を守ることは、赤ちゃんにとっても大切なことです。
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妊娠中、出産後に利用できる補助制度
借金返済と出産・育児を乗り切るには、公的な補助制度を活用するのがおすすめです。国や自治体が提供している制度をうまく利用して、経済的な負担を軽減しましょう。
出産育児一時金で出産費用を軽減できる
健康保険や国民健康保険の被保険者は、出産時に出産育児一時金として1児につき50万円を受け取れます。双子の場合は100万円、三つ子なら150万円となります。妊娠週数が22週未満の場合は、一児につき48.8万円の支給です。
出産育児一時金は、医療機関への直接支払制度を利用して出産費用に充てられるのが一般的です。出産費用が50万円未満だった場合は、差額が戻ってきます。出産費用の大部分をカバーできる制度なので、必ず確認しておきましょう。
出産・子育て応援給付金で妊娠期から支援が受けられる
2023年1月から始まった「出産・子育て応援給付金」は、妊婦や子育て中の家庭に寄り添った制度です。経済的な支援と心理的なサポートの両面から、妊婦をバックアップします。
この制度では、区市町村に妊娠届を提出した妊婦さんに50,000円が支給されます。出産後にも同額の給付があるため、合計で10万円の支援が受けることが可能です。
給付は、現金や5万円相当のクーポン券として受け取ることができ、子育て関連用品などに使用できます。両親学級や産前・産後ケアなどニーズに応じた支援も充実しているので、積極的に活用しましょう。
育児休業給付金で産後の収入を確保できる
雇用保険の加入者は育休中に、休業前の給料に応じた育児休業給付金を受け取れます。会社員として勤務している場合は、産後の収入源として活用できるでしょう。
育児休業給付金は、母親の場合1日あたり休業前の賃金日額の67%(支給日数181日以降は50%)が支給されます。支給対象期間は、出生後8週以降から子どもが1歳になる誕生日の前日までです。保育所に入れないなどの理由があれば、最長2歳まで延長できます。
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借金がある状態で妊娠して不安な場合の相談先
借金と妊娠の両方に対処するのは、決して簡単ではありません。
しかし、専門家や公的機関に相談することで、解決策が見つかることも多いです。適切な相談先を知り、積極的に助けを求めましょう。
司法書士・弁護士に相談して債務整理を検討する
妊娠中に借金の返済ができなくなった場合は、司法書士や弁護士などの専門家に相談して債務整理を検討すべきです。債務整理は法的な手続きなので、専門知識を持つプロに依頼するのが安心でしょう。
司法書士や弁護士に債務整理を依頼すると、手続きを代理で行ってくれるため負担が少なくなります。妊娠中の体調管理を優先できるのはメリットとして大きいのではないでしょうか。
債務整理の手続きを始めれば、借金の返済は一時的に不要になり、早い段階で督促が止まります。精神的な安定を取り戻し、出産に向けた準備に集中できるでしょう。
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自治体の多重債務相談窓口を利用する
自治体の窓口では、借金問題の解決方法や各種支援制度について相談できます。自治体によっては、妊娠中の方向けの特別な支援情報も得られる可能性があります。
公的機関の相談窓口は無料で利用できるケースが多く、安心して相談できるでしょう。費用面で余裕がない場合は、まず公的機関を訪ねるのがおすすめです。
金融機関に返済条件の見直しを相談する
妊娠中は返済が難しくなる可能性があるため、早めに金融機関に相談し、返済条件の見直しを検討しましょう。多くの金融機関は、事情を説明すれば柔軟に対応してくれる場合があります。
返済期間を延ばすことで、毎月の返済額を抑え、妊娠中でも無理なく返済できる可能性があります。分割払いの回数を増やすことで、1回あたりの負担を減らすことが可能です。
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まとめ
借金がある状態での妊娠は不安も大きいですが、適切な対処法を知り、利用できる制度を活用すれば乗り越えられます。まずは現状を正確に把握し、配偶者や家族と相談しながら返済計画を立て直すことが大切です。
返済が難しい場合は債務整理を検討し、出産育児一時金や出産・子育て応援給付金、育児休業給付金などの補助制度も積極的に活用しましょう。
当事務所では、借金と妊娠に関する相談も随時受け付けています。将来の親子の生活を守るためにも、まずは一人で悩まず専門家に相談されてみてはいかがでしょうか。
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当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています(司法書士業務の範囲内に限る)。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。
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