「毎月の住宅ローン返済に追われながら、他の借金返済にも苦しむ」という状況から抜け出す道があるのをご存知でしょうか。
債務整理の一つに、借金を大幅に減額してくれる個人再生という手続きがあります。その個人再生にある住宅ローン特則と呼ばれる制度を利用すれば、マイホームを手放すことなく借金問題を解決できる可能性が広がります。
本記事では、長年築いてきた生活基盤を守りながら、新たな人生のスタートを切れる、この個人再生の住宅ローン特則について解説します。
住宅ローン特則とは?
住宅ローン特則は個人再生の一つの特則で、住宅ローンを返済中の方の経済的な再建を目指す人々の味方となる制度です。民事再生法第196条以下「住宅資金特別条項」に基づく個人再生手続きです。
個人再生では通常、全ての借金が減額対象となりますが、住宅ローンまで対象となると担保権を行使されてしまい、結果的にマイホームを失います。
住宅ローン特則を利用すれば、住宅ローンだけは通常通りの返済を続けられ、住宅を守ることが可能です。一方、他の借金が大幅に減額されるので、住宅を守りながら債務整理ができる制度として、住宅ローン返済中の人に注目されています。
住宅ローン特則が利用できる条件
住宅ローン特則が利用できる条件は、次の3つです。
- 自分の居住用不動産のための住宅ローン
- 住宅ローン以外の担保権がないこと
- 代位弁済から6ヶ月が経過していないこと
利用条件の1つ目は自分の居住用の不動産のための住宅ローンが対象です。賃貸物件のような投資用物件を購入した場合には利用ができません。物件に住宅ローン以外の債務の担保権が設定されていると利用できません。
たとえば不動産担保ローンが2番抵当権についているような場合には、特則の適用は認められません。代位弁済後の申立ては6か月以内が期限であり、期限を過ぎると特則が使えなくなるため注意が必要です。
住宅ローン特則の必要書類
住宅ローン特則の手続きには住宅ローン関連の書類として次のものが必要です。
- ローン契約書や抵当権設定契約書のコピー
- 返済計画表
- 不動産登記事項証明書
書類準備の段階から専門家のサポートを受けることで、スムーズな手続きにつながります。
裁判所から追加書類を要求されることもあります。不備があると手続きに支障が出るため、専門家のアドバイスを受けながら準備することをお勧めします。経験豊富な司法書士なら必要書類の準備から申立てまで、一貫したサポートを提供できます。
住宅ローン特則を利用するメリット
住宅ローン特則の最大のメリットはマイホームを守れる点です。住宅ローン以外の借金だけを減額できるため、住居という生活基盤を維持したまま再出発が可能です。
長年住み慣れた地域での生活を続けられる意義は計り知れません。たとえば、近隣住民との関係や地域コミュニティとのつながりを維持できることは、引っ越しを余技なくされ新しい生活を強いられるよりもはるかに安心感につながります。
特に、子どもがいる場合、引っ越しをしないで済むので教育環境を変えることなく、学校や習い事も継続でき、子どもの心の安定も守れます。
さらに住宅ローン特則を利用すると、将来の資産形成にもつながります。住宅の所有権を維持できるので、完済すればその不動産は負担のない所有物となります。賃貸住宅に移る場合と比べて、長期的な経済的メリットも期待できます。
住宅ローン特則を利用するデメリット
住宅ローンの返済期間が延びる可能性があります。また、再生計画案の審査は非常に厳格であり、安定した収入がないと個人再生が認められにくいです。
そのため、返済計画の作成には慎重な検討が必要です。収入の見通しや生活費の見直しなど、将来を見据えた綿密な計画が求められます。
さらに、手続きも複雑で専門知識が必要です。手続きを誤って住宅が維持できなくならないように、司法書士などの専門家に相談しながら進めることが賢明です。司法書士への費用の支払いが発生しますが、確実な手続きのために必要不可欠であるといえます。
手続き期間中は適切な行動を取る必要があり、疑問におもったことは司法書士が適切に対処してくれます。
債権者からの督促や差押えのリスクもある一方、司法書士に依頼すると、貸金業法第21条第1項9号の規定によって、本人への特則が止まり、適切な手続きが期待できるために差し押さえのリスクも低減します。
\LINEで気軽に相談可能!/
住宅ローン特則に関するよくある質問
住宅ローン特則について寄せられる疑問点を解説します。制度の理解を深めることで、より適切な判断が可能になります。正しい知識を持つことが、成功への第一歩となるのです。
住宅ローン特則は誰でも利用できるか?
利用には一定の条件を満たす必要があります。安定した収入があり、住宅ローンの返済を継続できる見込みがあることが重要です。
単に特則を利用したいという希望だけでは認められません。そのため、返済能力がないと判断されると、住宅ローン特則の利用は認められません。
返済能力については、収入状況や返済履歴などを総合的に判断されます。将来的な収入見込みも重要な判断材料となります。生活費と返済額のバランスを考慮した計画が求められます。
住宅ローンを滞納している場合は、どうなるのか?
住宅ローンを滞納している場合でも、住宅ローン特則の利用自体は可能です。ただし、上述したように、住宅ローンを滞納した結果、保証会社が代位弁済してから6ヶ月が経過すると、住宅ローン特則は利用できません。
住宅ローン特則の手続きに少なくとも1~2ヶ月程度は必要なので、住宅ローンを滞納している場合にはなるべく早く手続きを始めましょう。また、他の債務は減額されても、住宅ローン自体は減額されないので、滞納分はきちんと解消する必要があります。
住宅ローン以外の借金がない場合は利用できないのか?
住宅ローンだけの場合は個人再生自体が利用できません。個人再生は住宅ローン以外の債務について減額をするもので、それ以外の借金がない場合には利用に適しません。
住宅ローン返済に苦しむ場合に、他の債務がないのであれば、住宅ローンの返済自体について適切な方法を検討する必要があります。返済条件の変更や借り換えなど、状況に応じた選択肢を検討しましょう。
ケースによっては住宅を持ちつづけること自体が不適切といえるので、不動産を売却して収支の状況にみあった住宅に引っ越すことも考える必要があります。
この場合、不動産の売却にあたっては、担保権者との交渉しながら売却を行う任意売却という制度によるので、専門の業者に依頼することになります。
住宅ローン債権者も借り手の状況を理解した上で、柔軟な対応を検討してくれる場合があるので、諦めることなく支払う方法がないかを確認しましょう。
\LINEで気軽に相談可能!/
まとめ
住宅ローン特則は債務整理をしながらマイホームを守れる心強い制度です。ただし、利用条件や手続きは複雑で、専門的な知識が必要になります。
一歩間違えると特則が認められず、結果的にマイホームを失うリスクもありますが、正しい知識と適切なサポートがあれば、必ず道は開けます。
当事務所では住宅ローン特則に関する相談を随時受け付けていますので一人で悩まず、まずは専門家に相談することから始めてみましょう。経験豊富な司法書士が親身になって解決策を提案させていただきます。
借金問題は必ず解決できます。新たな人生のスタートを、専門家と共に切り開いていきましょう。明るい未来は、最初の一歩を踏み出すところから始まるのです。
借金返済にお困りなら今すぐご相談ください
当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています(司法書士業務の範囲内に限る)。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。
当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています(司法書士業務の範囲内に限る)。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。