自己破産で退職金は没収って本当?ケース別のポイントを解説します

自己破産で退職金は没収って本当?ケース別のポイントを解説します

昨今の経済情勢の悪化や長引く新型ウイルス禍などを背景に、これまでであれば安定的な状況に置かれることの多かった会社勤めの人の中にも、多額の借金を抱えるケースが増えてきています。

借金問題を抱える人にとっては、債務整理で生活の再建を図るという選択肢があります。そんな債務整理の手段の中でも、自己破産は、基本的には借金はすべて免責となるため、よく注目されます。

しかし、自己破産にはデメリットもいくつかあります。

会社勤めの人にとっては、「自己破産によって退職金が没収されるのでは?」という点は大きな不安点であると思われます。

では、実際のところはどうなのでしょうか?

そこで今回は、自己破産によって退職金が没収されるのかどうかについてや、自己破産後の退職金の取扱、自己破産しても没収されない退職金の種類、そして自己破産後に退職金を没収されないようにする方法について解説していきます。

また、自己破産申立時に必要となる、退職金の算出方法についても説明していきます。

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【結論】ほとんどの場合、退職金は没収されない!

【結論】ほとんどの場合、退職金は没収されない!

結論としては、退職金は差し押さえの対象外になる場合がほとんどです。その理由は、自由財産の拡張によるものです。

生活に最低限必要な財産は処分が不要という決まりがあり、このような財産のことを自由財産といいます。具体的には、破産手続き開始後に得た財産、法律で差押が禁止されている財産、99万円以下の現金などが該当します。

しかし、破産者の生活状況など個別の事情によっては、法律で定められた自由財産ではないが、必要となる財産も存在します。

そのような財産については、裁判所は破産者の申立てもしくは裁判所の判断で、自由財産として認められることもあります。これを自由財産の拡張といいます。

退職金についてこの「自由財産の拡張」が認められる可能性が高いというわけです。そのため、ほとんどの場合、没収されないということになります。

ただし、無条件に認められないため、退職金の計算や申請は必要となってくる点には注意しましょう。

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自己破産後の退職金の取扱

自己破産後の退職金の取扱

自己破産後の退職金の取扱は、既に受け取っているかどうかで扱いが変わってきます。基本的には、受け取っていない退職金の3/4は自由財産として扱われるようになっています。

没収の対象になる退職金の額は事例によって異なります。考えられる3つの事例ごとに確認すると以下のようになります。

  • すでに退職金を受け取っている場合:全額
  • 退職したがまだ退職金を受け取っていない場合:受け取り予定額の1/4
  • まだ在職中でまだ退職金を受け取っていない場合:受け取り予定額の1/8

以下、順を追って詳しくみていきます。

ケース1:退職金を受け取っている場合

既に退職金を受け取っている場合、預貯金や現金と同様に扱われます。そのため、破産開始時点で残っている退職金の全額が没収の対象として扱われます。

ただし、退職金を含めた現金や預貯金が20万以下の場合、没収の対象とはなりません。これは処分すべき財産がないと判断され、管財事件とならず、同時廃止となるためです。

ケース2:退職後、退職金を受け取っていない場合

退職後、退職金を受け取っていないケースでは、退職金の1/4が没収の対象となります。例えば、退職金が400万円の場合、100万円が没収されます。

ただし、退職金の1/4が20万円未満となる場合、没収の対象となりません。つまり、退職金の金額が80万円未満の場合、没収の対象となりません。

ケース3:在職中で、退職金を受け取っていない場合

在職中で、すぐに退職の予定がない場合、すなわち退職金を近々受け取る予定のない場合は支給見込み額の1/8が没収の対象となります。

支給見込み額の1/8が20万円以上の場合は没収の対象となりますが、他の資産と合わせて99万円以下であれば、自由財産となり全額残すことが可能です。

法律上では、ケース2のように、受け取っていない退職金の1/4が没収の対象となります。しかし、すぐに退職の予定がない場合には、退職させてから没収する代わりに、その半額である1/8を没収することで調整しています。
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【補足】「没収」=「財団組入」の意味

破産管財人に管理・処分される破産者の財産の総体を「破産財団」と呼びます。

破産者の資産が没収され、破産財団に組み入れられることを「財団組み入れ」と表現します。財団組み入れになった財産は、管財人が金銭に替え、債権者への返済に充てられます。これは、破産者が勝手に財産を処分できないようするためです。

破産財団に組み入れられる財産は,以下の要件を満たすものです。

  1. 財産であること

    この財産とは、金銭や物に限られません。債権や特定の権利のような観念的なものであってもお金に換えることができれば「財産」に含まれます。例えば、営業ノウハウ等、換金できるものであれば財産に含まれる、というわけです。

    逆に、物であっても換金できないものは財産には含まれません。

  2. 破産手続開始時に破産者が所有していること

    たとえ換金可能な財産であっても、所有者が破産者出ない場合は没収されません。それが、たとえば家族の名義であっても、没収はできません。

  3. 差押えが可能であること

    強制執行と同様、差押えが可能なものでなければ、没収されません。差押えが不可能なものはそもそも没収そのものができないからです。

  4. 自由財産ではないこと

    自由財産とは、上でも述べたように、生活に最低限必要な財産のことであり、具体的には、破産手続き開始後に得た財産、法律で差押が禁止されている財産、99万円以下の現金などが該当します。

    これらは、破産手続開始後も破産財団に組み入れられない財産であり、破産者が自由に利用処分することができます。退職金もこれに該当するケースが多くみられます。

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自己破産しても没収されない退職金の種類

自己破産しても没収されない退職金の種類

自己破産しても差し押さえ禁止対象になる退職金も存在します。

その種類としては以下のようなものがあります。

  • 中小企業退職金共済制度に基づく退職金(中小企業退職金共済法20条)
  • 小規模企業共済制度による退職金(小規模企業共済法15条)、確定給付企業年金(確定給付企業年金法34条1項)
  • 確定拠出年金(確定拠出年金法32条1項)
  • 社会福祉施設職員等退職手当共済法に基づく退職金(社会福祉施設職員等退職手当共済法14条)

これらに該当する退職金は自己破産しても没収されません。

自分が受け取る予定の退職金が没収の対象になるのかについては、司法書士等の専門家に相談することをおすすめします。

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自己破産後に退職金を没収されないようにする方法

自己破産後に退職金を没収されないようにする方法

ここでは、自己破産後に退職金が没収されないようにする方法をご紹介します。

その方法は主に以下の2つですが、どちらの場合も、自己破産の手続きを依頼する法律の専門家に相談しておくことをおすすめします。

方法1:財産上限の超過分を現金で支払う

既に退職金を受け取っている場合、その退職金は現金や預貯金として扱われます。

自己破産手続き時、現金は99万円以下であれば没収の対象外となります。そのため、退職金と合わせて所有の現金が99万円以下になるように調整することで、退職金を没収の対象外とすることが可能となります。

また、財産上限の超過分を現金で支払うことで、退職金の没収を免れることが可能です。

方法2:自由財産の拡張を行う

今後の生活に必要最低限な財産を自由財産といいます。自由財産は債権者への返済に充てられず、手元に残すことができる財産です。元々、退職金を受け取る前であれば、退職金の3/4は自由財産として保護されています。

加えて、それ以外の部分についても、自由財産の拡張によって没収されない可能性があります。自由財産の拡張は破産者の申し立て、または裁判所の判断によって可能となります。

自由財産の拡張は、財産と現金を合わせて99万円以下であれば認められるケースが多いため、預貯金を調整して、合計額が99万円以下になるようにすることで、認められる可能性が高くなります。

ただし、合わせて100万円以上になると、認められない可能性が高くなります。法律上は認められる余地がありますが、通例として99万円を一つの基準として考えておくと良いでしょう。

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退職金金額の算出方法

退職金金額の算出方法

ここでは、退職金の金額の算出方法について解説します。自己破産申立の時に退職金の金額の申告が必要となるので、この算出方法は要チェックです。

退職金の算出方法や決まりは所属している会社によって異なるため、確認が必要です。

退職金の金額を算出する理由

退職金は、保有財産として自己破産申請時に申告する必要があります

また先に述べたように、退職直後、または在職中で退職金を受け取っていない場合には、退職金見込み額の1/4または1/8が没収の対象となります。

この計算のためにも、退職金の金額を算出しておく必要があります。

算出方法1:「退職金見込額証明書」の発行を勤務先に依頼する

基本的には、会社に退職金見込み額証明書の発行を依頼するのが良いといえます。

退職金の計算方法は勤務先によって異なりますので、勤務先の経理部や総務部などに依頼して、「退職金見込額証明書」を発行してもらうよう依頼しましょう。

退職金見込額証明書の発行で自己破産がバレるのでは?と心配な方もいるかもしれませんが、退職金見込額証明書は自己破産以外でも利用する機会があります。代表的なところでは、住宅ローンの審査などです。

ですから、退職金見込額証明書を発行してもらっただけで自己破産の件がバレることはないので心配しなくても大丈夫です。

もちろん、退職金見込額証明書の発行に際して、自己破産のために利用すると告げる必要はありません。

算出方法2:就業規則を確認する

通常、会社の就業規則には、退職金の算出方法について記載があります。

この就業規則を確認し、自身で退職金の見込み額を計算することができます。これは、退職金見込額証明書の発行をしてもらいにくい場合にも利用できる方法です。

また、企業によっては、退職金がもらえないケースもあります。これについても、就業規則で確認することが可能です。なお、就業規則が確認できない場合は、会社に確認が必要です。

繰り返しになりますが、自己破産申立の際には、退職金の金額を算出しておく必要があります。「退職金を確認できませんでした」は通用しませんので、注意が必要です。

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まとめ

まとめ

今回は、自己破産によって退職金が没収されるのかどうかについてや、自己破産後の退職金の取扱、自己破産しても没収されない退職金の種類、そして自己破産後に退職金を没収されないようにする方法について解説してきました。

自己破産申立時には退職金の金額を申請する必要があり、算出方法や決まりは所属している会社によって異なるため、確認が必要です。

自己破産による退職金の没収はできる限り避けたいところですが、これについての適切な判断はひとりでは難易度が高いといえます。

判断に迷った時には、自己破産に強い司法書士への相談をおすすめします。

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