奨学金を借りて大学へ進学し無事卒業したものの、返済に苦しんでいる方も少なくありません。そんななか、自己破産という選択肢を考える人もいるでしょう。
でも、自己破産すると奨学金はどうなるのでしょうか?保証人への影響は?
この記事では、奨学金と自己破産の関係について詳しく解説します。ぜひ最後までお読みください。
自己破産したら奨学金はどうなるか
自己破産を決意した場合、気になるのは奨学金の扱いでしょう。特に、自分が大学時代に借りた奨学金がどのように処理されるのか知りたいのではないでしょうか。
ここからは、奨学金の返済義務について詳しく解説していきましょう。
奨学金の返済義務について
奨学金も借金の一つであるため、自己破産を申請した場合、もちろん免責対象となります。
日本学生支援機構のデータによれば、平成24年から28年の間に実施された自己破産で免責となった奨学金は8108件ありました。この数字は、実際に多くの人が奨学金返済において自己破産を選択していることを示しています。
奨学金だけを外して自己破産できるのか
奨学金だけを自己破産の対象から外すことは法律上認められていません。自己破産申請は、全ての債務を対象とする必要があるため、任意に特定の債務だけを除外することはできません。
このため、自己破産を検討する際には、全ての債務について総合的に判断する必要があります。
特定の借金だけを対象から外したい場合は、別の債務整理方法を検討するのがおすすめです。奨学金も含めた全債務を一括して整理する仕組みが自己破産であり、部分的な債務整理ではない点を理解しましょう。
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連帯保証人、保証人への影響
自己破産によって奨学金の返済免責を受けた場合でも、連帯保証人や保証人には大きな影響があります。特に、奨学金を借りる際に立てた連帯保証人や保証人がどのような責任を負うのか、しっかりと理解しておく必要があります。
連帯保証人と保証人の違い
日本学生支援機構から人的保証制度を選んで奨学金を借りている方は、父母・親戚等に連帯保証人と保証人を引き受けてもらっているので、まず、連帯保証人と保証人の違いについて理解しておきましょう。
このため、主たる債務者である奨学金を借りた人が自己破産した場合、連帯保証人に対してすぐに請求が行われるかもしれません。
保証人は、一度奨学金を借りた人の返済不能が証明された後に責任が生じるため、連帯保証人よりもやや負担が軽くなるものの、依然として大きな責任がのしかかります。
人的保証と機関保証の違い
奨学金の保証には、人的保証制度と機関保証制度の二つの形態があります。人的保証制度は個人が保証人となる形式で、父母・親戚等に連帯保証人と保証人になるケースが一般的です。
一方で、機関保証制度は保証会社などの法人が保証人となる仕組みです。日本学生支援機構の場合、人的保証制度か機関保証制度を選択でき、保証料を支払うことで個人保証のリスクを軽減できます。
機関保証制度は万が一の際も家族や友人に直接的な負担をかけることがなくなりますが、保証料というコストが発生する点に注意が必要です。
連帯保証人、保証人への影響
主たる債務者(奨学金を借りた人)が自己破産をした場合、連帯保証人や保証人は奨学金の返済義務を負います。
特に連帯保証人は、残債務全額を請求される可能性があります。保証人も主たる債務者(奨学金を借りた人)の資産状況を確認した後に請求されることが多いです。
日本学生支援機構と交渉することによって、返済の分割払いを認められるケースもありますが、その具体的な分割方法や条件は個別の状況によって異なります。負担が増える可能性が高いため、保証人側にも十分な備えと理解が必要となるでしょう。
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奨学金返済が困難な場合の対応策
奨学金の返済が困難になってしまうことは誰にでも起こり得ます。そんなとき、どのような対応策があるのかを知っておくことで、不安を軽減しながら解決できるでしょう。
ここでは、返還猶予制度や減額返還制度、さらには奨学金の借り換えについて詳しく解説します。
返還猶予制度の利用
一定の条件を満たすことで、奨学金の返済を一定期間猶予する「返還猶予制度」は、多くの奨学金借受人にとって救済となる手段です。
例えば、日本学生支援機構(JASSO)では、収入が一定額以下の場合、最長10年間まで返還を猶予できる制度が用意されています。申請には、所得証明書やその他の必要書類の提出が求められます。
緊急時や収入が大幅に減少した場合、この制度を活用することで一時的に返済の負担を軽減できるでしょう。自分の状況に合わせて適切な対応策を選ぶことが大切です。
減額返還制度の利用
収入が減少した場合、奨学金の返済額を一定期間減額できる「減額返還制度」があります。例えば、収入の減少が一時的であったり、予期せぬ事態が発生した場合には、この制度を利用すると良いでしょう。
具体的には、日本学生支援機構(JASSO)では、所定の収入基準以下であることを証明する手続きが求められ、収入減少の証明には、給与明細や職場からの書類などが必要です。
ただし、減額された返済額であっても、将来的には返済義務があるため、しっかりと計画を立てることが欠かせません。
奨学金の借り換え
高金利の奨学金を抱えている場合、他のローンと同様に「奨学金の借り換え」を検討することも一つの方法です。民間金融機関が提供する借り換えローンを利用することで、金利を下げられる可能性があります。
奨学金の借り換えを行うと、月々の返済負担を軽減することが可能です。また、金利が低くなると総返済額も減少するため、長期的なメリットがあります。
ただし、借り換えには新たな審査と契約手続きが必要となりますので、条件をしっかり確認したうえで判断することが重要です。
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まとめ
自己破産をすると奨学金も免責の対象となりますが、連帯保証人や保証人への影響は避けられません。自分は自己破産をすることによって奨学金を返済しなくて良くなりますが、連帯保証人や保証人が代わりに全額を返済しなければならなくなるかもしれないのです。
また、奨学金だけを除いて特定の債務だけを自己破産することはできないので、連帯保証人や保証人のことをふまえた慎重な判断が求められます。
返済が困難な場合は、返還猶予制度や減額返還制度の利用を検討するのも一つの手段でしょう。また、奨学金の借り換えも選択肢の一つとなります。
しかし、所得を証明する書類を提出する必要があったり、新たに審査を受けなければならなかったりと、対応策にも一長一短があります。迷う場合は法律の専門家のアドバイスを受けると良いでしょう。
借金問題は自力解決が難しい場合もあるため、司法書士や弁護士事務所への相談も視野に入れてみてはいかがでしょうか。他の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
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