借金問題を解決するための法的手段として、自己破産という選択肢があります。自己破産の手続きを進めていく中で重要なのが「免責審尋」です。
本記事では、免責審尋の基本的な内容から流れ、よく聞かれる質問、注意点まで詳しく解説します。免責審尋を無事に乗り切り、借金から解放される手助けができれば幸いです。
自己破産の免責審尋とは?
免責審尋は、破産手続きの中でも特に重要な場面です。裁判官が破産者に直接質問し、免責(借金を免除すること)してよいかを判断する手続きになります。
免責が認められれば借金の返済義務が法的になくなりますが、審尋でうまく答えられないと、免責不許可となって返済義務が残る可能性があります。免責を受けるためにも、正しい知識を持って臨むのがよいでしょう。
免責審尋の概要
自己破産の手続きの最終的な目標は、免責許可決定を受け、借金の返済義務をなくすことにあります。
手続きとしては「破産手続き」と「免責手続き」の2つに分かれており、免責審尋は「免責手続き」に含まれます。2つは別々の手続きと考えると理解しやすいでしょう。
免責審尋には、破産者本人が裁判所に出頭する必要があります。代理人のみの出席は認められていません。
免責審尋の有無は裁判所ごとに運用が異なります。必ず行う裁判所もあれば、基本的には行わない(対面はせず書面のみ)という裁判所もあります。裁判所によって異なるので、依頼した専門家に確認するとよいでしょう。
自己破産の「同時廃止事件」とは
自己破産には「同時廃止事件」と「管財事件」の2種類があります。同時廃止事件とは、破産手続きの開始決定と同時に手続きを終了(廃止)する簡易的な破産手続きのことです。
この手続きが適用されるためには、高額な財産を持っていないこと、免責不許可事由がないことなどの条件を満たしている必要があります。
同時廃止事件では、破産者が特に財産を処分して債権者に配当する必要がないため、手続きがスムーズに進みます。同時廃止事件の場合、裁判所によっては免責審尋が省略されることもあります。
自己破産の同時廃止とは、破産手続きが開始されるものの、債権者への分配が不要な場合に手続きが速やかに終了する方法です。 多くの人がこの制度に直面する際、複雑な手続きや費用の不安を抱えているでしょう。「手続きは面倒で、費用も高いのでは?」[…]
自己破産の「管財事件」とは?同時廃止事件との違い
管財事件とは、破産者が一定以上の財産を保有している場合や、免責不許可事由が疑われる場合に適用される破産手続きです。
管財事件では、裁判所が破産管財人を選任し、破産者の財産を調査・管理・処分して、債権者に配当する手続きが行われます。そのため、同時廃止事件に比べて時間と費用がかかります。
免責審尋では、破産管財人が免責に関する意見書を提出し、裁判官はその意見を参考にして免責の判断を行います。そのため、免責審尋での質問は比較的簡潔になる傾向があります。免責審尋の時間は一般的に5〜10分程度ですが、複雑な事情がある場合は長引くかもしれません。
管財事件では、破産管財人が選任されるため、破産管財人への費用が最低でも20万円程度かかるほか、手続きが長引くことがデメリットといえます。また、破産者の財産が詳細に調査されるため、同時廃止事件よりも負担が大きくなることが特徴です。
「自己破産の管財事件」とは、借金を抱えて支払いが困難になった場合に、裁判所が管財人を選任し、財産の整理や配分を行う手続きです。 この手続きは、通常の自己破産よりも複雑で時間がかかることが多いため、手続きを進める前に流れや費用について把[…]
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免責審尋の流れ
免責審尋は、シンプルな流れで進行します。基本的な流れを知っておくと安心して臨めるので、よく覚えておきましょう。
免責審尋はどのように進むのか
免責審尋は、破産手続きが終了した後に行われます。日程は裁判所から通知され、指定された日時に破産者本人が裁判所へ出向きます。司法書士に事前の打ち合わせなどでフォローしてもらい、不安にならずに落ち着いて臨みましょう。
免責審尋には「集団審尋」と「個別審尋」の2つの方法があります。集団審尋は、規模の大きい裁判所や債権者数が多い場合などで行われることがあります。一方、個別審尋は、規模の小さい裁判所や免責不許可の可能性がある場合などに実施されるケースが多くなっています。
免責審尋の準備
免責審尋に臨む際は、事前に準備をしておくことが大切です。司法書士としっかり相談し、回答内容を検討しましょう。
免責審尋では、裁判官が破産者の生活状況や反省点について質問します。借金を作った理由、現在の生活状況、今後の生活設計など、質問内容は多岐にわたりますが、隠さず正直に答えましょう。
免責審尋の結果は、免責許可決定の判断に大きな影響を与えます。想定される質問に対する回答を事前に準備しておけば、当日もあわてることなく対応できるでしょう。
免責審尋の日程
免責審尋は、破産手続開始決定日から2~3か月後に指定されます。正確な日時は裁判所からの通知で確認しておきましょう。
欠席した場合、免責不許可になる可能性があるため、正当な理由がない限り出席する必要があります。どうしても出席できない場合は早めに裁判所に連絡し、対応を相談してください。
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免責審尋で聞かれる質問の内容
免責審尋で何を聞かれるのか気になる方も多いでしょう。実際によく聞かれる質問と、それに対する適切な答え方を知っておくと安心です。
質問内容
免責審尋で聞かれる質問は多岐にわたります。借金の経緯や理由、反省点、現在の生活状況などです。「なぜ借金をしたのか」「なぜ破産するに至ったのか」といった基本的な質問から始まることが多いでしょう。
また、今後の生活の再建計画についても尋ねられることがあります。「今後どのように生活していくつもりか」「二度と借金をしないためにどうするか」などの質問に対して、具体的に答えられるようにして下さい。
免責不許可事由についても、あらためて尋ねられることがあります。ギャンブルや浪費による借金などの心当たりがある場合は正直に答え、反省の態度を示しましょう。
特定のケースでの質問
ギャンブルや浪費が原因の場合、特に厳しく追及されることがあります。パチンコや競馬などのギャンブルが原因の場合、「今後はギャンブルをしないのか」「どうやってギャンブルを辞めるのか」といった質問が多いようです。
このような場合でも、反省の態度を示すことにより、免責が認められる可能性が高まるでしょう。重要なのは、過去の過ちを正直に認め、今後の改善策を示すことです。
絶対にやってはいけないことは、嘘をついたり、事実を隠したりすること。裁判官は多くの破産者を見ています。嘘は必ず見抜かれるでしょう。
裁判所による判断基準
裁判所は、破産者の態度や生活状況を総合的に判断し、免責を判断します。真摯に反省しているか、今後の生活再建が見込めるかが重要なポイントになります。
債権者からの意見も参考にされることがあります。債権者から「免責すべきでない」との意見が出されていると、それに対する説明を求められる場合があるので対応を考えておきましょう。
裁判官によって判断が異なることもありますが、基本的には法律に基づいた公平な判断がなされると思ってよいでしょう。
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免責審尋を受ける際の注意点
免責審尋を受ける際には、いくつかの注意点があります。当日のスムーズな進行のためにも覚えておきましょう。
服装や持ち物
免責審尋の服装は、特に指定はありませんが、地味で清潔感のある服装が無難です。スーツでなくても構いませんが、派手な服装や露出の多い服装は避けるべきです。裁判所という場所柄、常識的な服装を心がけましょう。
必要な持ち物は、裁判所からの指示は特にありませんが、念のため、身分証明書や印鑑などを持参するとよいでしょう。また、破産手続きで裁判所に提出した書類一式も持参すると、裁判官からの質問にも答えやすくなります。
免責審尋では遅刻厳禁
免責審尋では遅刻は厳禁です。遅れたり出席しなかったりすると、免責不許可になる可能性があります。裁判所は時間に厳格なので、余裕を持って行動しましょう。
どうしても出席が難しい場合は、必ず事前に裁判所や司法書士に連絡を入れて、日程変更を相談してください。急な病気や事故などの場合は、診断書などの証明書類を用意するとよいでしょう。
裁判所の場所や行き方も事前に確認しておきましょう。初めて行くという方も多いと思います。想定以上に時間がかかることがあるので気をつけましょう。
免責審尋での態度
免責審尋では、誠実で真摯な態度が求められます。態度が悪いと免責の判断に影響を与える可能性があります。質問されたら、裁判官の目を見て丁寧に答えましょう。
司法書士に相談している場合は、事前に準備をしておくことが望ましいです。想定問答を作り、練習しておくと本番であわてずに済みます。緊張するのは当然です。あまり気負いすぎず、正直に答えることを心がけましょう。
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まとめ
自己破産における免責審尋は、破産者の借金を免除するための重要な手続きです。免責審尋では、借金の経緯や反省点、生活状況などを質問されますが、事前に準備をしていれば問題なく通ることがほとんどです。
服装や持ち物、時間厳守といった基本的なマナーを守り、誠実な態度で臨みましょう。嘘をつかず、正直に答えることで、裁判官からの信頼を得ることができます。
当事務所では、自己破産に関する相談も随時受け付けており、免責審尋についても詳しく説明します。不安や疑問がある方は一人で悩まず、まずは相談してみてはいかがでしょうか。経験豊富な専門家が、あなたの新しい生活のスタートをサポートします。
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