借金返済に行き詰まり、自己破産を考えている方も多いのではないでしょうか。手続きにどのくらいの時間がかかるのか、気になりますよね。
自己破産の申立てから免責決定までの期間は、ケースによって異なるうえ、手続き中はいくつかの制限もあります。
この記事では、自己破産の流れと注意点について詳しく解説していきます。ぜひ最後までお読みください。
自己破産申立から免責決定までにかかる期間
自己破産の手続きには、同時廃止と管財事件といった異なる方法があり、それぞれ流れと期間が異なります。ここでは、自己破産申立から免責決定までの期間について詳しく見ていきましょう。
同時廃止で手続きした場合の期間と流れ
同時廃止の場合、手続きの期間は申立てから約6〜8ヶ月程度で終了します。この手続きは財産がほとんどない場合に適用され、比較的わかりやすい手続きで進行するのが特徴です。
手続きはまず、自己破産の申立てから始まり、同時に免責の申立てが行われます。その後、裁判所が破産手続開始決定を出し、直ちに破産手続きを終了。
次に裁判所が債権者に意見を求め、その後、場合によっては免責審尋(裁判官と申立者との面談)が行われます。最終的に免責許可決定がされ、その確定をもって手続きがすべて終了です。
管財事件で手続きした場合の期間と流れ
管財事件の場合、手続きの期間は申立てから約5〜9ヶ月程度ですが、ケースによっては1年程度かかることもあります。財産がある程度ある場合に適用され、手続きが複雑になるのが特徴です。
まず自己破産申立てを行い、続いて免責の申立てが行われます。その後、裁判所が破産手続開始決定を出し、破産管財人を選任。管財人は財産の管理と換価(財産を処分してお金に換えたり、未回収の債権を回収する)を行い、債権者集会が開かれます。
必要に応じて免責審尋(裁判官と申立者との面談)が行われ、破産手続終結決定とともに免責許可決定が出されます。そして最終的に免責許可決定の確定をもって手続きは終了です。
同時廃止か管財事件かの決定
自己破産手続きが同時廃止か管財事件かは、裁判所が債務者の財産状況を確認して決定します。原則として、処分してお金に換えることができる財産が20万円を超える場合は管財事件となります。
財産の有無やその価値に応じて、どちらの手続きが適用されるかが決まるため、あらかじめ法律の専門家に相談することが重要です。裁判所の判断によっては、手続きが複雑になり、期間も長引く可能性があるでしょう。
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自己破産をスムーズに進めるために
自己破産の申立ては人生の中でも大きな決断となります。だからこそ適切な専門家のサポートを得ることで、新たな人生への確かな一歩を踏み出すことができるのです。債務問題からの解放は、精神的な重荷からの解放でもあります。
ここでは自己破産をスムーズに進行するために、また円滑な手続きのために必要不可欠な要素について、詳しく解説していきます。
同時廃止事件が選ばれることもポイント
破産手続きにおいて、同時廃止事件が選択されるか否かは非常に重要な分岐点となります。破産管財人による財産の換価や配当手続きが不要となる同時廃止事件では、手続期間の大幅な短縮が期待できます。
現代社会において、経済的に困窮し、自己破産を申し立てるほどの状況にある給与所得者の多くは月収のほとんどを生活費として費消しており、換価できる資産をほとんど保有していません。このような実態を踏まえ、裁判所も柔軟な運用を行っているのです。
社会・経済システムの変容に伴い、財産の蓄積が困難な時代となっている点も、同時廃止事件が選択される背景として挙げられるのかもしれません。
ただ同時廃止が認められるかどうかは、専門家による事前の財産評価と適切な申立準備が鍵を握ります。
生活必需品や仕事に必要な道具など、差し押さえが禁止される財産についても、専門家の適切な判断が必要となりますから、事前に相談した相手の「良し悪し」で同時廃止を受けられるかどうかが決まってくるといっても決して過言ではないでしょう。
専門家を選ぶ際のポイント
先述のとおり、破産手続きを担当する専門家選びは、手続全体の成否を左右する重要な判断となります。一部の事務所が行う広告の華々しい謳い文句に惑わされることなく、慎重な検討が必要です。
実際には法的な専門知識はもちろんのこと、依頼者の心情に寄り添える姿勢も重要な選定基準となります。債務問題は単なる金銭的な問題ではなく、人生の様々な局面に影響を及ぼす深刻な課題だからです。
自己破産に関する実績があるか
破産実務は法律の専門家であっても、相応の経験と知識が求められる分野です。特に自己破産に関する豊富な実績は、手続きの円滑な進行に直結します。一般的な法律事務とは異なり、債務者の生活再建支援という観点からの実務経験が重要となります。
破産手続きでは、予期せぬ事態が発生することも少なくありません。そうした場面での適切な対応力は、豊富な実務経験に裏打ちされたものといえるでしょう。専門家の実績は、単なる取扱件数だけでなく、様々な状況への対応力という観点からも評価する必要が出てくるわけです。
話しやすいか
「話しやすいかどうか」。一見すると関係なさそうですが、非常に大きく関係します。破産手続きでは、債務者の財産状況や収入状況、さらには借金を抱えるに至った経緯など、プライバシーに深く関わる事項の「開示」(=つまびらかな相談)が必要となります。
だからこそ相談者の心理的負担に配慮しつつ、必要な情報を適切に聴取・ヒアリングできる専門家との出会いが望ましいといえるのです。
初回相談の段階から、専門家の対応や姿勢を慎重に観察したいところです。真摯に耳を傾け、適切なアドバイスを提供できる専門家との信頼関係こそが、手続きを進める上での大きな支えとなるでしょう。
説明がわかりやすいか
専門家の説明は、相談者の理解度に合わせて適切になされるべきです。法律用語を多用せず、破産手続きの流れや必要な準備について具体的かつ平易な説明ができる専門家との信頼関係構築が重要なのです。
破産手続きは複雑な法的手続きですが、それは決して理解不能なものではありません。むしろ、依頼者自身が手続きの内容を理解し、主体的に取り組むことが重要であり、これがあることでより確実な生活再建につながるのです。専門家には、そうした依頼者の理解を支援する役割も(本来は)求められます。
対応が早いか
破産手続きでは、債権者からのアクションという要素があるため、時として緊急対応を要する事態も発生します。そのため、依頼者からの連絡に迅速に応答し、必要な法的措置を講じることができる体制が整っているかどうかは、重要な選定基準となります。
また、依頼者からの質問や相談にも、できる限り速やかな対応が望まれます。そもそも、債務問題を抱える方の不安や焦りというものは、計り知れません。そうした心理状態に配慮し、適切な情報提供とサポートを行える体制が整っているかどうかも、重要なポイントとなるでしょう。
通いやすい立地
手続期間中は、必要書類の提出や面談など、複数回の来所または打ち合わせが必要となります。特に給与所得者の場合、仕事との両立を考慮し、通勤経路や勤務時間との関係で通いやすい事務所を選択することが鍵となります。
近年では、オンライン相談に対応する事務所も増えていますが、重要な局面では対面での相談が必要となる点に留意が必要です。また、裁判所への出頭が必要な場面もあるため、裁判所との位置関係も考慮に入れると良いでしょう。
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自己破産の期間を左右する要因
破産手続きの期間は、様々な要因によって変動します。世間一般に広く認識されている標準的な期間は、あくまでも一般的なケースを想定したものです。
実際の手続期間は、個々の事案における具体的な事情によって大きく異なることがあります。
債務の規模、債権者の数
債務総額が高額で、債権者が多数に及ぶ場合、手続期間の長期化は避けられません。特に、債権者との連絡調整や債権の確定作業に時間を要することがあります。住宅ローンの債務整理など、高額債務案件では、より慎重な審理が必要となります。
また、債権者の中に外国の金融機関が含まれる場合や、保証会社が介入している場合なども、手続きが一層「複雑化」する要因となります。グローバル化が進む現代社会では、債権債務関係も国際化しており、そうした状況への対応も必要となってきています。
裁判所の混雑状況
各地方裁判所における破産事件の処理状況も、手続期間に影響を与える重要な要因です。
都市部の裁判所では事件数が多く、審理に時間を要する傾向があります。一方、地方の裁判所では比較的スムーズな処理が期待できますが、管轄区域が広いため、遠方からの出頭を余儀なくされる場合もあります。
裁判所の人的体制や、個々の裁判官の方針なども、手続期間に影響を与える要因となります。近年では、裁判所のデジタル化も進められていますが、破産手続きにおいては依然として紙媒体での書類提出が原則となっています。
免責不許可事由の有無
破産法は、浪費や賭博、詐害行為など、一定の事由がある場合に免責を許可しない旨を定めています。このような事由の有無について慎重な審理が必要となる場合、手続期間は必然的に長期化します。
特に、債務者の行為が免責不許可事由に該当するかどうかの判断が微妙なケースでは、より詳細な審理が行われることになります。そのため、事前に専門家による詳細な聴き取りと、適切な対応策の検討が必要不可欠となり「長期戦覚悟」の様相を呈することになるのです。
弁護士、司法書士の対応
依頼を受けた専門家の経験と実務能力も、手続期間に大きな影響を与えます。特に申立書類の作成や必要書類の収集、裁判所からの追加的な照会への対応など、実務面での円滑な処理こそが手続期間の短縮につながります。
専門家の迅速かつ適切な対応は、依頼者の精神的負担軽減にも寄与するものです。特に、申立ての初期段階での適切な対応は、その後の手続きをスムーズに進める上で重要な意味を持ちます。
近年の司法実務では、債務者の早期の経済的再生を重視する傾向が強まっていますが、しかし、それは決して手続きの軽視を是認・肯定するものではありません。結局は最後までしっかりと「面倒を見てくれる」事務所に依頼すべきという結論に帰するわけです。
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自己破産手続き中にしてはいけないこと
自己破産手続き中には、いくつかの行為が禁じられています。禁じられた行為を行うと、手続きが遅れたり、免責が認められなかったりする恐れも。以下に具体的な禁止事項を解説します。
財産の隠匿や処分
自己破産手続き中に財産を隠したり、無断で処分したりすることは厳しく禁止されています。財産の隠蔽・処分行為は違法となり、発覚した場合には免責不許可や詐欺破産罪に問われる可能性が高いです。
破産手続きが公正に進行するためには、正直にすべての財産を申告し、その管理を裁判所や破産管財人にゆだねる必要があります。
新たな借入れ
自己破産申立て後に新たな借入れを行うことも禁止されています。返済能力がないことを前提とした破産手続き中に、さらなる借入れを行うと、詐欺罪に問われる可能性があるのです。
新たな借入れを行うことで、手続きの進行に悪影響を及ぼし、免責が認められない可能性もあります。自己破産手続き中は、あらゆる借入れを避けてください。
虚偽の申告
収入や財産について虚偽の申告をすることは、絶対に避けなければなりません。嘘の申告をしていることが発覚すると、直ちに免責が不許可となる可能性があるのです。
正確な情報を提供することで、裁判所の信頼を得られ、手続きも円滑に進行します。偽りの情報を提供することは、破産手続きを複雑化させ、最悪の場合には法的な罰則を受けることにもなりかねません。
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自己破産手続き中に生活で制限されること
自己破産手続きを進めるにあたり、日常生活においていくつかの制限が課されることがあります。スムーズに手続きを進めるためには、どのような制約があるのか事前に理解しておきましょう。
クレジットカードの使用
自己破産を申立てた後は、クレジットカードを利用することが禁止されます。この措置は、破産者が借金を再び積み重ねることを防ぐために設けられたものです。
クレジットカードの使用を続けることで借金が増える可能性があり、それでは自己破産手続きの趣旨に反することになります。
破産申立後はすべての債権者に対して平等に対応する義務が生じるため、特定のクレジットカード会社への返済を優先させることも認められません。自己破産が完了するまでクレジットカードの利用は控え、現金やデビットカードを用いた支払いに切り替えましょう。
居住地の移動
自己破産手続き中は、裁判所の許可がなければ居住地を移動することができません。これは、手続きを円滑に進行させるために必要な管理措置の一つです。住居の移動が急に必要になった場合は、まず裁判所や弁護士に相談して許可を得ることが大切です。
手続きを怠り許可なく居住地を移動すると、場合によっては自己破産手続きが遅延する恐れがあります。特に、手続きに関する書類送達や調査などが迅速に行えなくなる可能性があるため、事前の相談と許可が必須です。
引越しを検討している場合は、手続きを着実に進めるためにも早めの対応を心掛けましょう。
高額な買い物
自己破産手続き中においては、生活に必要不可欠なもの以外の高額な買い物は控えるべきです。高額な支出が発覚すると、無駄な支出をしているとの見方をされ、その結果として手続きが不利に働く可能性があるのです。
必要な買い物がどうしてもある場合、例えば生活の必需品や修繕が必要なものなどは、事前に裁判所や弁護士に相談しておくと良いでしょう。
あらかじめ申告しておくことで余計なトラブルを避け、スムーズに手続きを進められます。自己破産手続き中は、節約を意識した生活を心掛けることが大切です。
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職業選択の制限
破産者は一定の資格や職業に就くことが法律で制限されています。例えば、弁護士、公認会計士、税理士などの専門職は、破産手続きが終了するまでは職業上の制限を受けることになります。
しかし、制限は一時的なものであり、免責決定が下された後は通常の職業に再び就くことが可能です。一時的な障害を乗り越えるためには、免責決定までの期間をどのように過ごすかがカギとなります。
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まとめ
自己破産の申立てから免責決定までの期間は、同時廃止の場合で約6〜8ヶ月、管財事件の場合で約5〜9ヶ月程度かかります。
手続き中は財産の隠匿や処分、新たな借入れ、虚偽の申告などは厳禁です。また、クレジットカードの使用や居住地の移動、高額な買い物にも制限がかかります。
自己破産は借金問題を解決する一つの方法ですが、手続きが複雑で制限も多いため、法律の専門家のアドバイスを受けるのがおすすめです。特に、闇金や違法金融からの借金の場合、自力での解決は非常に困難でしょう。
闇金や違法金融からの借金でお困りの場合は、法律の専門家への相談を検討してみてはいかがでしょうか。他の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
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