「子どもには、できる限り多くの学びの機会を与えたい」
「就職のことを考えると、学習には力を入れたい」
このように思い、子どものために学資保険に加入しているご家庭も多いでしょう。
今回の記事では、自己破産における学資保険の扱いについて解説します。また、その他の生命保険や国民健康保険の扱いにも触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。
【結論】解約返戻金が20万円以下なら解約する必要なし!
自己破産では、20万円以上の財産は換価処分のために手放さなければなりません。そのため、保険の解約返戻金も財産とみなされ、学資保険解約の必要が出てきます。
もちろん、解約返戻金が20万円以下であれば、学資保険を解約する必要はありません。
自己破産とは債務整理方法の一つで破産法において認められている、借金の支払い義務をなくすための申立・手続きです。 自己破産する事によって債権者から請求される督促や催告などが止まり、さらに(厳密には自己破産申立てを行い、免責許可決定が出た[…]
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自己破産後の「学資保険」の取り扱い
前述の通り、解約返戻金が20万円以上の学資保険は解約の必要があります。
なお、契約者貸付を利用して返戻金を20万円未満にすれば、解約を回避することも可能です。また、自由財産の拡張申請をすることで解約を避けられる可能性があります。
ここからは、学資保険の解約が必要な理由から、解約せずに済む方法まで、順を追ってみていきます。
解約返戻金が20万円以上だと解約が必要になる
自己破産すると、20万円以上の財産は破産財団に組み入れる必要があります。
解約返戻金のある学資保険も、破産財団組み入れの対象となり、学資保険の解約返戻金が20万円を超える場合には、解約して債権者に平等に分けることになります。
「契約者貸付」を行って解約返戻金を20万円未満にする
返戻金が20万円を超えている場合には、契約者貸付を利用して解約返戻金を20万円未満に抑えることで解約を免れることができます。
多くの保険会社では契約者貸付制度を設けており、契約中の保険を担保として保険業者から貸付が受けられます。保険によっても異なりますが、一般的な借入上限は解約返戻金のおよそ7~8割です。
契約者貸付を利用すると、解約返戻金と借入金額が相殺されます。
自由財産を拡張して差し押さえられないようにする
自己破産後に生活が立ち行かなくなれば意味がありません。そこで、生活の再スタートに必要な生活必需品や99万円以下の現金などは、自由財産として手元に残せる決まりになっています。
自由財産の拡張は、破産者の申し立てもしくは裁判所の判断で決定されます。生活に必要不可欠だとして自由財産の拡張を申し立てれば、学資保険を解約せずに済む可能性があるのです。
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自己破産後の「生命保険」の取り扱い
自己破産での生命保険の扱いは、どのタイプの保険に入っているか、誰が支払っているかによって異なります。
ここでは、掛け捨て型、積立型に加入しているケース、親が生命保険料を支払っているケースの3パターンを例に挙げて解説していきます。
ケース1:「掛け捨て」の場合
掛け捨て保険は解約しても返戻金は生じないため、財産にはカウントされません。そのため、自己破産をしても解約せずにそのまま契約を続けられます。
掛け捨て型は積立型よりも保険料が安く、家計への負担も少なく済む特徴があります。しかし、解約返戻金はなく、多くの場合で契約者貸付は利用できないため、万一の出来事に対応しにくい一面もあると覚えておきましょう。
ケース2:「積立」の場合
積立型の生命保険とは、払い込んだ保険料の一部が積み立てられ、将来受け取ることができたり、引き出したりできます。
積立型の生命保険では解約返戻金が受け取れますが、契約期間が長期に渡ることも少なくありません。そのため、解約返戻金は20万円を超える可能性が高いと考えてよいでしょう。
解約せずに済む方法を後ほど詳しく解説しますので、ぜひご参照ください。
ケース3:生命保険を親が払っている場合
生命保険の支払者が親になっているケースもあります。
これについては、契約者が自分でも、生命保険について知っていたか知らなかったかで扱いが変わります。
債務者が契約者の場合
まず、債務者が生命保険の契約者であり、支払い自体は親が行っている場合、解約返戻金が実質的に破産者本人の財産であるかどうかの判断は、単にその名義だけによらず、実質的に名義人の財産と認められるかどうかも加味されます。
そのため、親が支払っていた生命保険であっても、その解約返戻金が実質的に破産者本人の財産であると判断された場合は、解約の必要が出てきます。
債務者が生命保険のことを知らない場合
親が、債務者の名義で保険を契約するケースもあるでしょう。
保険料の支払いをしておらず生命保険料控除などを申告したことがなければ、知らずに過ごしていても全く不思議ではありません。
実質的な契約者でないと判断されると、保険や解約返戻金は保険料を負担している人(この場合は親)の財産として扱われ、保険を解約する必要はなくなります。
解約するのは本人だから、親に解約したことはわからない
自己破産したことを親にバレたくない、と考える方もいるでしょう。
債務者名義の生命保険を親が支払っているケースでも、解約するのは債務者本人ですから、親に解約したこと自体はわかりません。解約自体からは自己破産の件はバレないといえます。
そもそも、自己破産を検討している段階で、すでに親が借金の保証人になっているケースも数多くあります。無用なトラブルを避けるためにも、自己破産を下手に隠さず、事情を伝えておくことをおすすめします。
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自己破産後に「生命保険」を解約するのを防ぐ方法
続いては、自己破産での生命保険解約を防ぐ方法を解説していきます。
前提として、解約返戻金が20万円未満の生命保険では解約の必要はありません。
解約返戻金が20万円を超える場合でも、保険の貸付制度を利用すれば受取額の調整が可能です。また、保険法の介入権を使って保険加入を継続する方法もあります。
方法1:「貸付制度」を使って返戻金を20万円未満にする
積立型の学資保険での解説でも触れた「契約者貸付制度」は、積立型の生命保険でも利用できます。
繰り返しになりますが、貸付制度による融資は解約返戻金と相殺されます。
この例のように解約返戻金の額が20万円未満になる場合には、加入中の保険を解約せずに済みます。
方法2:「介入権制度」を使って家族に返戻金を払ってもらう
既往歴や治療中の病気によっては、加入中の保険を解約した後の再加入が難しい方もいるでしょう。そのような時に、被保険者の利益を守るための制度が介入権制度です。
介入権制度では「保険金受取人」が解約返戻金相当額を支払うことで、保険の解約を防ぐことができます。
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自己破産後の「国民健康保険」の取り扱い
国民健康保険は、病院などでの治療費を負担してくれる制度です。
最後に、自己破産後の国民健康保険の取り扱いについて解説します。
差押禁止財産に該当するため差し押さえられない
国民健康保険は「差押禁止財産」に該当します。
自己破産したからといって、国民健康保険が使えなくなることはありません。必要に応じて高額療養費を受給する権利は保障されています。
国民健康保険は自己破産後も使用できる
自己破産の手続きを終えた後であっても、国民健康保険は利用できます。
自己破産前と変わらず一部負担での治療となるため、病気や怪我の治療費が高額になる心配はいりません。
税金や国民健康保険を滞納し続けると財産を強制的に換金されてしまう
自己破産しても、税金や国民健康保険などの「非免責債権」の支払い義務は残ります。
自己破産によって全ての債務が免責されたと勘違いして放置すると、滞納金が上乗せされてしまうのです。
各自治体や市役所に申請すれば、保険料の分納や免除を受けることができます。さらなる問題を防ぐためにも、支払えないからと放置せずにできるだけ早期に相談しましょう。
また、自己破産手続きを専門家に依頼している場合には、そちらにも合わせて相談・確認するのがおすすめです。
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まとめ
今回の記事では、自己破産での学資保険、生命保険、国民健康保険の扱いについて網羅的に解説してきました。
解約返戻金のある保険に加入している場合は、基本的に保険の解約が必要になります。
解約を避けたい方は、返戻金の金額を確認するとともに貸付制度を利用するなどの対策を取りましょう。
また、自己破産にあたってはほとんどの債務がゼロになりますが、国民健康保険の保険料や税金などは免責を受けられません。滞納がある場合は、こちらも合わせて支払っていく必要があります。
なお、自己破産は一般的な知識のみで乗り切ることが大変難しい手続きのひとつです。司法書士などの専門家に依頼して、確実に手続きを進めていくのが良いでしょう。
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