自己破産とは債務整理方法の一つで破産法において認められている、借金の支払い義務をなくすための申立・手続きです。
自己破産する事によって債権者から請求される督促や催告などが止まり、さらに(厳密には自己破産申立てを行い、免責許可決定が出た場合)、免責によって債務そのものが消滅する、極めて効力の高い債務整理方法です。
そこで今回は、自己破産するときの子供への影響について詳しく解説していきます。
【概説】自己破産すると子供への影響はあるのか?
まず初めに、自己破産すると子供への影響があるのかについて説明します。
ただし、子の生活全般においてはやはり、少なからず影響が出ることは必至といえ、これを完全に避けることはやはり難しいものがあります。
これだけでは分かりづらいので、もう少し詳しく解説します。
まず冒頭に述べたように、子の「財産」に直接影響することは原則としてないと言えます。
その他、生活のうえでは次の章で解説しますが、やはり一定の影響を受けることがあり、具体的には引っ越しの必要が出てきたり、子供が学生の場合には状況に応じて転校の必要性が出てきてしまうこともあり得ます。
このように、自己破産することで、子供への影響はゼロではないため、考えておくべきことはあります。
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自己破産するときに子供に与える影響まとめ
自己破産するときに子供にはどのような影響があるのでしょうか?
具体的には影響の大きさ順に、以下のようなものがあります。
- 学費滞納による強制退学の可能性
- 進学時の入学金・授業料等の免除申請が必要になる可能性
- 引っ越しに関する問題
- クレジットカード(家族カード)利用停止の可能性
- 賃貸契約の保証人等に関する問題
- 携帯電話の解約などに関する問題
- 親の破産情報がネットに公開される可能性
では、それぞれ順に解説していきます。
学費滞納による強制退学の可能性
まず、学費滞納によって強制的に学校を辞めさせられる可能性があることです。
これは公立校では原則ありませんが、私学の場合は可能性としてはやはり、現実的に起こりうる問題の最たるものと言ってよいでしょう。
私学の場合は授業料が高額ということもあり、特に私立高校の場合、年間100万円以上の学費がかかることも珍しくなく、また、大学になるとさらに高額な学費が必要となります。
そのため、どうしても家計が苦しいという家庭も多く、そのような場合、学費の支払いが困難になり、結果として学校側から自主退学を迫られるケースもあります。
教育ローンを組んでおくという方法もありますが、これも自己破産直前の状況では、やはり種々の要素からして好適な方法ではないケースが一般的です。
こうしたことが自己破産によってやはりどうしても加速しますので、状況によっては親の自己破産後に学費の納付が困難となり、結果的に学校に通えなくなるという事態に陥る可能性も決して低くはないのです。
なお、この場合でもお子様が機関保証を利用して奨学金を借りたり、あるいは親自身が自己破産で免責を受けた後、新規に得た所得財産(新得財産といいます)で支払いをすることも可能ですし、場合によっては分割払いも可能だったりする場合もあります。
よって、一概に100%退学・転学が必要ということでもないことに注意が必要です。状況を見極めつつ、計画を立てましょう。
進学時の入学金・授業料等の免除および納付猶予申請が必要になる可能性
次に、進学時の入学金や授業料などの免除申請が必要になる可能性があります。
例えば、私立大学に進学する際に、入学金として30~50万円のお金が必要なところもあれば、授業料だけで10数万かかるようなところもあるわけです。
こういった場合に、自己破産してしまうと、当然、入学金や授業料などが払えないために、入学できないということになってしまいます。
引っ越しに関する問題
次に、引っ越しに関する問題があります。
こうしたところから、自己破産の当事者は引っ越しもやむなしと最初から覚悟ができていでしょう。
しかし、お子様にとっては納得できない理由によって引っ越しや転校を迫られるケースもあります。やはり子への影響が大きい要素といって過言ではないでしょう。
クレジットカード(家族カード)利用停止の可能性
親の名義で契約し、子供が使える家族カードを与えていた場合、当然ながら親(親会員)が自己破産すると家族カードも使えなくなります。
この場合は子供が自分の裁量で契約している各種サブスクリプションサービス(月額制動画配信サイト、音楽配信サービス、電子書籍など)についても、利用できなくなる可能性が出てきます。
賃貸契約の保証人等に関する問題
子供が一人暮らしをしている場合、親の自己破産によって賃貸契約の保証人を変更する必要が出てくるケースもあるでしょう。
この場合、現実的には家賃保証会社から即座に「あなたの親が自己破産したので保証人を変更してください」と即座に連絡が来ることはまずありませんが、親の自己破産が知れ渡った段階で、保証人の変更を求める旨の通知がくることはあり得る話です。
携帯電話の解約などに関する問題
携帯電話については、ほぼどの年代でも問題になりえます。
携帯キャリアに対して分割料金の未納がある状態で親が自己破産をすると、携帯キャリア各社も手続き上は債権者となりますので、場合によっては親回線が契約解除にされてしまうこともあります。
親の破産情報がネットに公開される可能性
生活そのものに与える影響としてはさほど大きくありませんが、子の心情に及ぼす影響はやはり大きいものとして「親の破産情報がネットに公開される」というものがあります。
どうしても避けられないものとはいえ、懸念すべき内容です。
まず大原則として自己破産すると官報に掲載されますので、これにより自己破産をした親の氏名、住所が一般に公開されてしまいます。
基本的に官報は定期的に発行されるものであり、実物の破産情報も新聞の3行広告のように文字も小さく、また複数の破産者の氏名が同時に掲載されること、さらにそもそも官報は一般的な社会生活においてまず目にしないものでもありますから、一般の人が自己破産者の名前を知る機会はそう多くはないはずなのです。
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親の自己破産、子への影響を最小限に留めるための方法は?
まず初めに、親の自己破産は子供にとって必ずしも良いことばかりではありません。
自己破産をすることで、子供は親が借金を返さなくても済むという安心感を得る反面、親が自己破産をしたことで、子供自身の将来に少なからず影響が出る可能性が高くなります。
- 必要に応じて過不足なく説明する
- 信頼できる司法書士に相談する
- そもそも自己破産が最適解かどうか再考するor相談する
順に説明していきます。
必要に応じて過不足なく説明する
お子様がまだ未就学などであれば自己破産手続きについて説明しても理解が厳しいでしょうから、こういった場合は端的に生活に影響する部分のみを説明することが好適と言えます。
高校生以上になってくると生活に影響する部分もあり、また親御さんが思っている以上に成熟しているものですから、経緯から含めて説明してあげるとよいでしょう
信頼できる司法書士に相談する
信頼できる司法書士に相談することで、子供への影響を可能な限り最小化して自己破産することもできるでしょう。
特に子供の将来に関わる問題ですから、専門家の意見を聞くことは必須と言えます。
借金返済に追われ、どうにもならなくなってしまった場合に考える選択肢に「自己破産」があります。自己破産をすれば、借金を全てなくすことが可能で、そこから生活を再建することも可能です。 しかし、自己破産をするためには手続きをして裁判所の許可を得[…]
そもそも自己破産が最適解なのか再考するor相談する
自己破産以外の選択肢がないのか、あるいは別の解決方法があるのではないかなど、まずは一度、冷静に考えてみることが大事です。
中には借金=自己破産しかない!と考えてしまい、他の解決策を考えようともせず、そのまま自己破産してしまう方もいらっしゃいます。
しかし、本当にそれでよいのでしょうか。
また、自己破産以外にも債務を減らすための方法が残されている可能性も高く、まずは借金問題に詳しい専門家を交えつつ、再度検討することをおすすめします。
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まとめ
今回は「親の自己破産で子供に与える影響」について解説しました。
しかしお子様の生活全般に影響を与える可能性はありますし、子の人生に大きな影響を与える可能性は十分にあるといえます。
そのため、自己破産する前にはお子様とよく話し合っておく必要があります。自己破産後もお子様が納得できるようにフォローをしてあげましょう。
また、状況によっては自己破産以外にも任意整理であったり、あるいは違法金融業者からの督促にお悩みであれば自己破産ではなく違法金融対応という枠組みの中で裁判所を経由せずに督促をストップし、生活を再建出来るケースも意外と多いものです。
自己破産以外でも様々な選択肢があることを忘れないようにしましょう。こうした選択肢については、まずは専門家に相談することをおすすめします。
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