学生時代の奨学金や生活費のためのキャッシングなど、様々な理由で借金を抱えたまま就職活動を行う人は決して珍しくありません。しかし、借金があることで就職に悪影響があるのではないかと心配になる方も多いでしょう。
今回は、借金が就職活動に与える影響、借金を抱えながらでも安心して職探しができるように注意点についても解説します。
借金と就職の関係
借金を抱えていることが就職活動にどのような影響を与えるのかは、多くの求職者が抱える重要な疑問です。ここでは、採用時の借金の扱いについて説明していきます。
借金が就職に直接的な影響を与えることはほぼない
学生時代の借金が就職活動に悪影響を及ぼすケースは極めて稀です。奨学金の返済が残っていたり、アルバイト代だけでは生活費が足りずにキャッシングを利用していたりする学生は多く存在するため、企業側もそれらを理由に採用を見送ることはありません。
そもそも企業が信用情報を無断で照会することは、個人情報保護法で禁止されており、求職者の同意なしに借金の有無を調べることはできません。信用情報にアクセスできるのは、正当な理由がある貸金業者や金融機関のみです。
債務整理のデメリットである官報掲載についても、一般企業の採用基準に影響することはありません。官報を日常的にチェックしている一般企業はほとんど存在しないため、採用担当者がその情報を把握する可能性は非常に低いといえます。
金融機関への就職は信用情報の調査が行われる可能性
ただし、銀行・クレジットカード会社は、本人同意の上で信用情報を確認することが可能です。金融機関は与信業務を行うため、従業員の管理能力や信用度を重視する傾向があります。そのため、採用プロセスの一環として信用情報の提出を求められる場合があるのです。
事故情報(2ヶ月以上の滞納)があると採用審査で不利になるリスクが存在します。長期滞納により信用情報に事故記録が残っている場合は、管理能力に疑問を持たれ、採用を見送られる可能性もあるのが現実です。
また、自社で取引履歴がある場合は、社内データベースで情報参照される可能性もあります。すでにその金融機関で口座開設やローン利用の履歴がある場合、社内システムで過去の取引状況を確認される場合があるため注意が必要です。
長期滞納による給与差押えで事実が発覚するリスク
すでに借金を長期間滞納していて、裁判所から判決などを取られている方は注意が必要です。なぜなら、給与の差押えは、裁判所から勤務先に通知が送られるため、借金の存在が会社に知られることになります。職場での信頼関係に影響を与える可能性もあるでしょう。
この懸念は就職後の話ではありますが、借金の長期滞納によってすでに裁判手続きにまで発展している方は、必要な対策を行わなければなりません。
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就職時の信用情報確認
企業が採用時に行う調査の範囲について理解することで、求職者は適切な対策を立てることができます。法的な制約や実際の調査手法について詳しく見ていきましょう。
一般企業は信用情報を照会できない仕組み
前述のとおり、一般企業は信用情報を照会することはできません。
信用情報の閲覧は本人の書面同意が必須となっており、「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に定められています。つまり、求職者が同意しない限り、企業が勝手に信用情報を取得することはできません。
身辺調査でも借金情報を直接確認する手段は限られるため、仮に調査会社を使った場合でも信用情報に直接アクセスされる心配はありません。
金融機関の採用時に行われる信用調査の実際
預金・貸付状況のヒアリングや信用情報提出を求められる場合があります。
銀行や消費者金融などの金融機関では、入社前に自社での取引履歴や他社での借入状況について確認されることが一般的です。
とはいえ、事故情報がある場合でも、採用可否は企業の判断基準によって決まります。信用情報に問題があっても、その理由や現在の状況を考慮して総合的に判断される場合も多く、必ずしも採用に影響するとは限りません。
反社チェックと身辺調査の実態
採用時には、暴力団関係や犯罪歴の有無を確認する調査が行われることもあります。
また、学歴詐称や職歴偽装を防ぐための調査が行われることもあるでしょう。履歴書に記載された学歴や職歴が事実と相違ないかを、卒業証明書や離職証明書などで確認します。
一方、借金についての情報は、基本的に調査対象外のため発覚リスクが低いといえます。一般的な身辺調査では金銭面の個人情報は対象外であり、借金の有無が明らかになる可能性は極めて低いのが実情です。
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借金を抱えたまま就職する場合の注意点
借金があっても基本的には就職に影響を与えることはありません。ただし、就職の前後では注意すべき点があるため、以下にて詳しく解説します。
返済計画を明確にすることが大切
前述したとおり、借金を滞納していると、いずれは給与差し押さえに発展するおそれがあります。借金を滞納しないためにも、返済計画を明確にすることが大切です。毎月の返済日を遅延しないよう家計管理を徹底することで、将来的な信用リスクを回避できるでしょう。
どうしても返済が滞りそうな場合は、債務整理を検討すべきです。司法書士や弁護士に相談して、適切な債務整理を検討することで、状況の悪化を防げます。
昨今は無料相談を実施している専門家の事務所が増えてきているため、お金をかけずに法的なアドバイスを得ることが可能です。積極的に活用していきましょう。
入社後の差押えリスク回避策
給与振込口座と返済口座を分けて管理することで、万が一の差押えリスクを軽減できます。
銀行口座の差し押さえというのは、相手に口座を把握されていない限り起こりえません。給与振込口座は、新規で作成するようにし、債権者側に知られないようにしましょう。
とはいえ、調査によっていずれは判明してしまうため、やはり借金の滞納問題は早期の債務整理で差押えリスクを根本解決することが最も確実な方法です。
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面接で自主申告する必要はない
履歴書の「賞罰」欄があります。賞罰欄とは、過去に逮捕歴などがある場合に記載すべき欄ですが、ここに債務整理歴を記載する必要はありません。
そもそも債務整理は犯罪ではないため、賞罰欄に記載すべき事項ではないのです。自己破産や個人再生を行った経験があっても、積極的に申告する必要はありません。
債務整理については、質問されない限り「積極的に情報開示する必要はない」というのが一般的です。稀なケースではありますが、面接官から直接借金の有無について質問された場合は正直に答えるのが無難です。それ以外では自分から話題にする必要はありません。
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まとめ
借金があることで就職活動に直接的な悪影響が出ることは、一般企業ではほとんどありません。企業が勝手に信用情報を照会することは法律で禁止されており、面接で借金について質問されることも稀です。
ただし、金融機関への就職を希望する場合は信用調査が行われる可能性があるため、事前に信用情報の状況を確認しておくことが大切でしょう。
最も重要なのは、借金を抱えたまま放置せず、計画的な返済を心がけることです。長期滞納により給与差押えが実行されると、職場に借金の事実が知られてしまうリスクがあります。返済が困難になった場合は、早めに専門家に相談して適切な対処法を検討するのがおすすめです。
当事務所では借金問題に関する相談も随時受付しています。就職活動中の借金の悩みや、返済計画の見直しについて、一人で悩まずにぜひ当事務所にご相談ください。
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当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています(司法書士業務の範囲内に限る)。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。
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