借金問題で悩む生活から抜け出すための第一歩が任意整理です。終わりが見えない借金返済に区切りをつけ、完済にたどり着いた時に手にする書類が「完済証明書」になります。
借金完済の証となるこの書類は、新しい生活を歩み出す際に必要になることも。今回は完済証明書の基本知識から入手方法、活用シーンまで詳しく解説します。
任意整理の完済証明書とは?
債務整理を終えた人が直面する問題のひとつが「完済の証明」。完済したにもかかわらず、手元に証拠がないと不安を感じる人も多いものです。完済証明書は、そうした不安を解消するために不可欠な重要書類といえるでしょう。
完済証明書の概要と役割
完済証明書とは、借金完済の事実を証明する書面です。主に債権者側から発行される書類で、借金の返済義務をすべて果たしたという事実が証明されます。
将来、支払済みの借金について請求があった場合でも、完済証明書があれば債務が存在しないことを明確に示せる点が大きな利点です。
信用回復の第一歩を踏み出すためにも、完済証明書は欠かせない存在といえるでしょう。金融機関と新たな取引を始める際にも、過去の借金問題が解決済みであることを示す有力な証拠となります。
紛失や破損に備えて複数部数を保管しておくと安心です。原本はもちろん、コピーを取って別の場所に保管することで、不測の事態に対応できます。
完済証明書が発行されるタイミング
返済計画に基づく支払いが完了した時点で、債権者から完済証明書が発行されるのが一般的。最近では電子化が進み、オンラインで完済証明書を受け取れる金融機関も増加傾向にあります。
支払い完了から発行までの期間は金融機関によって差がありますが、最終支払いから1週間から10日程度かかることが多いようです。
支払方法によっても発行のタイミングは変わるため注意が必要です。口座振替での支払いの場合、入金確認から証明書発行までに若干時間がかかることもあります。振込による一括返済の場合は、比較的早く発行される傾向があります。
完済証明書が発行されない場合
金融機関によっては、完済証明書という形式での発行を行わないケースもあるようです。代わりに「契約終了通知書」や「金銭消費貸借契約書」の原本が返送されることもあり、実務上はこれらの書類も完済の証明として同等の効力を持つとされています。
書類の形式は異なっていても、債務が完済済みであることを示す証拠として十分な効力があるのでご安心ください。必要な場合は債権者に連絡を取り、どのような形式で完済証明が可能か確認するとよいでしょう。
債権譲渡が行われている場合は特に注意が必要です。元の債権者ではなく、現在の債権者から証明書を取得する必要があります。債権譲渡の経緯が不明な場合は、法律の専門家に相談してみましょう。
金融機関が既に廃業している場合や、債権が他社に譲渡されている場合など、通常の方法では完済証明書の入手が困難なケースもあります。そのような場合は、取引履歴や振込記録など、支払いを証明できる書類を丁寧に保管しておくことが大切です。
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完済証明書を入手する方法
借金完済後の安心を確実なものにするために、完済証明書の入手方法を把握しておくことは大切です。状況に応じて最適な入手方法を選択できるよう、具体的な手順を見ていきましょう。
完済と同時に届く場合
司法書士や弁護士に任意整理を依頼している場合、完済証明書は依頼した専門家の事務所に届くことが一般的です。専門家が代理で受け取り、安全に保管してくれる利点があります。
直接支払いを行っている場合は自宅に郵送される形ですが、プライバシーへの配慮から送付先の変更も可能です。事前に債権者側と相談することで、希望する送付先への変更に対応してもらえます。
職場や自宅以外の住所を送付先として指定することも可能です。ただし、確実に受け取れる場所を選ぶ必要があります。不在時の受け取りに備えて、配達時間の指定や転送サービスの利用も検討するとよいでしょう。
債権者へ請求する方法
自動発行されない場合でも、債権者への請求により完済証明書を入手できる場合があります。請求の際は本人確認のため、身分証明書や契約番号などの提示が求められます。
正確な情報を準備しておくことで、スムーズな発行手続きが可能です。金融機関によっては発行手数料が必要となる場合もあります。事前に必要書類や手数料の有無を確認しておくことで、余計な手間や時間のロスを防げるでしょう。
請求方法は金融機関によって様々です。電話での申請が可能な場合もあれば、書面での請求が必要な場合もあります。インターネットバンキングのマイページから申請できる金融機関も増えています。
複数の債権者がいる場合は、それぞれに個別に請求しなければなりません。債権者ごとに必要書類や手続き方法が異なる場合があるため、早めに確認しておくと安心です。
発行までの期間と注意点
請求から発行までは通常1週間程度かかります。郵送での受け取りを選択した場合は、さらに配送期間が加算されます。
発行までの期間は金融機関の営業日数で計算されます。土日祝日や年末年始などの休業日は日数に含まれないため、余裕を持った請求が必要です。特に年度末や連休前は混雑が予想されるため、通常よりも時間がかかるケースが多いようです。
書類の内容は発行時に必ず確認すべきポイント。記載内容に誤りがある場合は、すぐに金融機関に連絡して訂正を依頼するのが大切です。名義や金額、完済日などの基本情報は特に注意深く見ておきましょう。
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完済証明書が必要になるケース
完済証明書は様々な場面で活用される重要書類の1つです。将来の不安をなくすためにも、どんな場面で必要となるのか理解しておくべきでしょう。
住宅ローンや大口融資を受ける際
マイホーム購入のための住宅ローンなど、高額な融資を申し込む際には、他の借入金がないことの証明を求められる場合があります。過去に債務整理を経験している場合、完済証明書は特に重要な判断材料です。
住宅ローンの審査では、過去5年から7年程度の借入履歴をチェックするのが一般的。この期間内に債務整理を行っていた場合、完済証明書の提出は必須となることが多いようです。完済証明書があれば、返済能力と信用力の回復を示すことが可能になります。
大口融資の審査では過去の借入状況だけでなく、返済姿勢も判断基準となるのが通常。契約通りに返済を完了した証拠としての完済証明書は、プラスの影響を与えるでしょう。
新たな借入時の信用確認
新規の借入申請時には必ず信用情報がチェックされることになります。過去の借金が完済済みであることを示すためにも、完済証明書の提示が有効です。
また、金融機関は信用情報機関のデータだけでなく、実際の完済証明書も重視する傾向にあります。信用情報の更新には時間がかかることもあるため、完済証明書があれば最新の状況を正確に示すことが可能です。
カードローンやフリーローンなどの無担保融資でも、過去の返済履歴は重要な審査ポイント。完済証明書の提出により、新規借入の承認率向上が期待できるでしょう。
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その他の利用シーン
完済証明書は信用情報の回復期間中にも重要な役割を持っています。個人事業主として独立する際の創業融資申請や、不動産取引における審査でも役立つ場面が多いでしょう。
相続手続きの場面でも、被相続人の債務が完済済みであることを示す証拠として求められることがあります。将来の様々な経済活動に備え、大切に保管しておくことが賢明といえるでしょう。
その他にも、生活保護を申請する際は、借金の有無について確認されます。なぜなら、生活保護費は借金の返済に充てることができないため、借金がないことを証明しなければならないのです。そんなときに完済証明書があれば、スムーズな申請が可能となるでしょう。
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まとめ
借金の完済を証明する完済証明書は、新しい生活を送るうえで必要になる場面があります。発行は自動的という債権者もいれば、一定の時間かかるケースもあるため、必要になる前から余裕を持った準備をしておくのが理想的です。
当事務所では任意整理後の完済証明書取得に関する相談も随時受け付けています。一人で悩まず、専門家のサポートを受けながら確実な方法で入手することが、安心への近道になるでしょう。
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当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています(司法書士業務の範囲内に限る)。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。
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