「自己破産すると将来の年金がもらえなくなるの?」
と不安に思っている方は少なくありません。
本記事では、自己破産手続きにおける年金の取り扱いについて、受給中の年金や将来の年金受給権、未納の年金保険料がどうなるのかを司法書士の視点から徹底解説します。
自己破産を考えている方が安心して決断できるよう、わかりやすく説明していきますので、ぜひ最後までお読みください。
自己破産しても年金は受給できるか?
破産手続きで多くの方が不安に思うのが年金の問題です。結論から言えば、公的年金は自己破産しても受給できます。ただし、民間の年金保険については注意が必要です。
公的年金は自己破産後も受給可能
国の制度として運営される公的年金制度から支給される年金は、自己破産しても全額受給できます。これは老後の生活を支える基盤として法律で守られているためです。
国民年金や厚生年金などの老齢年金だけでなく、病気やけがによる障害年金、家族を亡くした際の遺族年金も同様に保護されています。年金額がいくら高額でも破産管財人が差し押さえることはできません。月額50万円の年金を受給している方でも、全額が保護されます。
年金は生活に必要不可欠な財産として位置づけられており、将来の受給権も保障されています。むしろ破産後の生活再建の重要な収入源といえるでしょう。
皆さんは自己破産という手続きをご存じでしょうか?この記事では、自己破産の仕組みから手続きの流れ、生活への影響まで、司法書士の視点から解説します。 借金問題でお悩みの方はもちろん、債務整理の知識を深めたい方にとっても参考になる情報をお届[…]
私的年金の扱いと注意点
民間の保険会社と契約している個人年金保険は、公的年金とは異なり資産として扱われ、破産手続きで影響を受ける可能性があります。
解約返戻金が20万円を超える場合は、破産管財人から解約を求められることが多いです。20万円以下であれば、裁判所の判断で継続できる場合もあります。
判断基準には保険の種類、契約時期、支払済保険料総額などが含まれます。破産管財人との協議で一部解約などの調整も可能です。
一方で企業年金や確定拠出年金(いわゆる401k)は、公的年金に準ずる制度として保護されます。会社を通じて加入している年金は、破産しても受給資格を失うことはありません。退職金も同様の扱いとなり、破産手続きの対象外となります。
年金受給口座の変更が必要な場合
破産手続き中に借入のある銀行口座が凍結されると、そこに振り込まれる年金が使えなくなり、生活が困難になる可能性があります。特に給料振込口座は差し押さえリスクが高いので注意が必要です。
対策としては、借入先と関係のない金融機関に新しい口座を開設し、年金の受取口座を変更することをおすすめします。この変更手続きには1〜2ヶ月かかることがありますので、早めに対応するとよいでしょう。
手続き方法や適切な時期については司法書士に相談するのがおすすめです。なお、口座開設時に破産手続き中であることを申告する必要はありませんが、虚偽の申告は避けるようにしてください。
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自己破産で年金の支払い義務はどうなるか?
破産すると借金は免除されますが、年金保険料については別途考える必要があります。将来の受給に関わる重要な問題なので、しっかり理解しておきましょう。
年金保険料の支払い義務は免除されない
国民年金や厚生年金の保険料は、「非免責債権」に該当し、自己破産しても支払い義務が継続します。税金などと同様、免責されない債務です。
滞納すると延滞金が発生し、将来の年金受給額が減少するリスクがあります。支払いが困難な場合は、市区町村窓口で免除申請や納付猶予制度を利用しましょう。全額免除が認められれば支払いが不要になります。
申請には所得証明書、離職証明書、破産手続き中の場合は破産申立書の写しなどの書類が必要です。免除が認められると将来の年金額は減額されますが、未加入期間として扱われるよりは有利です。
年金担保貸付制度利用者への影響
年金担保貸付(年金を担保にした借入)を利用している場合、この借入金も非免責債権となり、破産しても返済義務は残ります。返済額は引き続き年金から天引きされます。
この制度は2022年3月で新規受付を終了しました。しかし、以前からの利用者には影響が続きます。返済負担が重い場合は、専門家に相談して返済計画の見直しを検討しましょう。年金受給額の範囲内で返済額の調整が認められることもあります。
滞納リスクとその対応策
年金保険料の滞納を続けると、最終的に差し押さえなどの強制徴収措置を受けることがあります。税金の滞納と重なると、給与や預貯金、動産の差し押さえなどより厳しい対応を受ける可能性もあるでしょう。
分割払いなど柔軟な支払い方法について、役所の担当者と相談することができます。毎月の収支状況や家族構成などを説明し、実情に合った支払いプランを設定してもらうことが可能です。収入が不安定な場合もその状況を伝えれば、適切な対応を検討してもらえます。
滞納が長引くほど問題解決は難しくなります。早めに行動して、破産手続きと同時に年金保険料の問題も解決していくようにしましょう。
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自己破産すると受給中の年金はどうなるか?
既に年金を受給している方にとって、破産手続きが年金受給に与える影響は重大な関心事です。受給中の年金種別によって対応が異なります。
公的年金受給中でも影響なし
国民年金や厚生年金などの公的年金は、破産しても影響を受けません。毎月の給付額が減額されることもなく、老後の生活を支える収入源として全額が保護されます。
障害年金や遺族年金についても同様です。生活の基盤となる年金受給権は法律で保護されており、破産管財人が差し押さえることはできません。破産手続き中も、通常どおり受給を継続できます。高額な年金を受給している場合でも同様です。
私的年金受給中の場合の注意点
個人年金保険からの受給中の場合、解約返戻金の額によっては契約解除を求められる可能性があります。解約返戻金が少額の場合は、裁判所が認めれば継続することも可能です。生活状況や年齢などを考慮して、個別に判断されます。
保険の種類や加入時期によって取り扱いが異なるため、一概には判断できません。例えば終身年金保険と定期年金保険では、解約返戻金の計算方法が異なります。専門家のアドバイスを受けながら、慎重に判断することが重要です。
差し押さえ例外ケースへの対応
公的年金は原則として差し押さえ禁止財産ですが、税金の滞納がある場合には例外的に差し押さえられることがあります。また借入のある銀行口座が凍結されると、一時的に年金の引き出しができなくなる可能性もあります。
過去の事例では、所得税の滞納により年金の一部が差し押さえられたケースがありました。このような事態を避けるためにも、税金の滞納問題は早めに解決しておきましょう。分割納付や徴収猶予制度の利用も検討すべきです。
預金口座の差し押さえリスクを回避するには、年金受給口座の変更も有効です。新しい口座は債権者との関係がない金融機関を選ぶと安全でしょう。専門家のアドバイスを受けながら、適切な対策を講じましょう。
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まとめ
破産手続きを行っても公的年金の受給権は守られます。ただし私的年金については個別の対応が必要です。年金保険料の未納問題や差し押さえリスクへの対策も重要です。
当事務所では司法書士業務の範囲内で債務整理全般に対応しています。任意整理、個人再生、自己破産、過払い金請求など、どの手続きが良いかは状況を見てご提案させていただきます。
年金に関する不安や疑問点についても、豊富な経験を持つ司法書士が丁寧にお答えします。一人で悩まず、まずは相談から始めてみましょう。
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当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています(司法書士業務の範囲内に限る)。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。
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