借金問題を抱えて個人再生を検討している方の中には、結婚前だったり、あるいは配偶者に内緒で手続きを進めたいケースもあるでしょう。実際のところ、個人再生と結婚はどう関係するのでしょうか。
「個人再生をすると、将来の結婚に影響するの?」「結婚後に個人再生をすると配偶者にばれる?」など、気になる疑問について詳しく解説します。
個人再生と結婚の関係
個人再生は借金問題を解決するための債務整理方法の一つですが、結婚生活においてはさまざまな影響を及ぼす可能性があります。とはいえ、法的な制限や不都合があるわけではありません。個人再生が結婚や夫婦生活にどう関わってくるのか、具体的に見ていきましょう。
個人再生手続き中でも法律上結婚は可能
個人再生を行っている最中でも、法律上は結婚に関する制限はまったくありません。
個人再生中であっても婚姻届の提出は可能で、結婚式を挙げること自体も自由です。憲法で保障されている「婚姻の自由」を制限するものではありません。法律的には何の問題もなく、その点は安心してよいでしょう。
ただし、個人再生を行うと信用情報機関に事故情報が登録されるため、ブライダルローンの利用や新たにクレジットカードを作ることは一定期間、制限されます。結婚式や新婚旅行の費用をローンで支払うことを考えている場合は、計画の見直しが必要になるでしょう。
結婚式場によっては、契約時に提携ローンの利用を勧められることがありますが、個人再生中や個人再生後の一定期間はこうしたサービスの利用が難しくなります。
個人再生が結婚後の生活に与える経済的影響
個人再生後は通常5~7年程度、信用情報機関に事故情報が登録されるため、クレジットカードやローンの利用が制限されます。クレジットの家族カードの場合は、個人再生をした方が本会員の場合、配偶者の家族カードも使えなくなるでしょう。
反対に、個人再生をしていない配偶者が本会員となり、個人再生をした方が家族カードを持つ形なら、利用できる可能性が高いといえます。
住宅ローンや自動車ローンなどの審査にも通りにくくなるため、マイホーム購入や車の買い替えなどの計画に影響が出る可能性があります。結婚後の生活設計において、こうした制約があることを念頭に置いておきましょう。
配偶者名義でローンを組む場合は個人再生の影響を受けることはほとんどありませんが、共同名義や連帯保証人になる場合は注意が必要です。夫婦で協力して返済していく予定だったとしても、実際には配偶者が単独で返済する契約にせざるを得ないでしょう。
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個人再生の手続き前に結婚相手へ説明しておくことが無難
このように、結婚後の生活設計に支障が出る可能性があるため、個人再生をした事実は配偶者に事前に説明しておくことが望ましいでしょう。信頼関係を維持するためにも、隠し事はないに越したことはありません。
金融サービスを利用できない事態に備え、あらかじめ理解を得ておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。例えば、住宅ローンの審査が通らない事態になって初めて個人再生の事実を知らされれば、配偶者は大きなショックを受けることになるからです。
隠していた個人再生の事実が後から発覚しては、夫婦間のトラブルや不信感を持たれるリスクに繋がりかねません。「なぜ黙っていたのか」という疑念が生じ、結婚生活にも亀裂が入ってしまうでしょう。お互いに信頼関係のある結婚生活を送るためにも、包み隠さず話し合うことが重要です。
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結婚後に個人再生すると配偶者にばれる?
結婚後に個人再生をする場合、配偶者に知られたくないと考える方もいるかもしれません。配偶者に内緒で個人再生の手続きを進めることは可能なのでしょうか。ここでは、配偶者にばれるリスクと対策について考えてみましょう。
専門家や裁判所から配偶者に直接通知されることはない
司法書士や弁護士といった専門家には守秘義務があり、依頼者の同意なく配偶者に手続き内容が伝わることはありません。裁判所からも、配偶者に対して個人再生の手続きに関する通知が直接行くことはないので、その点は安心してよいでしょう。
しかし、個人再生では配偶者の協力が必要な場面が数多くあります。申立書には、家族構成、家計全体の収支状況、同居家族の収入なども記載し、かつ収入証明書の提出を求められることが考えられます。
個人再生の申立てにあたっては、こうした情報を配偶者に内緒で集めることは難しく、仮に虚偽の申告をすれば、裁判所から再生計画を認めてもらえない恐れもあるでしょう。
配偶者に個人再生の事実を隠し通すのは容易ではありません。守秘義務のある司法書士や弁護士などの専門家へ早めに相談し、配偶者に手続きへの理解を深めてもらうための対策を立てることが推奨されます。配偶者に早めに事実を伝え協力を得ることで、手続きを円滑に進められる可能性が高まるでしょう。
郵送物や書類の提出で配偶者にばれるケース
郵便物が届くことで配偶者に気付かれるケースがあります。特に「〇〇地方裁判所」「△△事務所」の差出人名が記載された封筒が届けば、配偶者の目にも留まりやすいでしょう。
自宅以外の住所(実家や友人宅など)を連絡先にできる場合もありますが、実際の居住地と異なる住所を使用すると、手続きが複雑になったり裁判所から説明を求められたりすることもあるため、例外的なケースといえます。
個人再生では家計全体の収支や、配偶者の収入証明書の提出が必要となります。家計状況の証明のために配偶者の通帳の提出を求められることもあるため、協力を依頼せざるを得ないケースも少なくありません。
給与明細や家計に関する資料の提出を求められた際に、不審に思われて発覚することもあります。いずれにしても、同居している配偶者がいる場合、個人再生の手続きを完全に隠し通すのは困難と考えておくべきでしょう。
最初から正直に打ち明けて理解と協力を得ることが、長期的に考えると最善の選択肢といえるのではないでしょうか。
官報や身辺調査で個人再生が発覚するリスク
個人再生は官報に掲載されますが、一般の人が官報を閲覧する機会は少ないため、官報から配偶者に発覚する可能性は低いといえます。官報は主に法律や金融関係者が閲覧するもので、一般家庭で購読している例はほとんどありません。
結婚相手が興信所などで身辺調査を依頼した場合、可能性としては限りなく低いものの、官報から債務整理歴が判明することもあります。結婚前は特に注意が必要かもしれません。
親族や知人が債権者となっている場合、裁判所から通知が届き発覚するケースもあります。個人再生の手続きでは、全ての債権者に通知が行くため、身近な人が債権者に含まれていると、その経路で情報が漏れる可能性もあるのです。
家の購入でばれることも
家の購入では住宅ローンを申し込むのが一般的ですが、申し込みを渋ることを不審に思った配偶者に問い詰められてばれるケースもあります。「なぜローンを組みたがらないのか」と疑問を持たれれば、個人再生の事実が明らかになるのは時間の問題でしょう。
当初は配偶者一人の名義でローンを組む予定になっていても、金融機関からペアローンへの切り替えを提案されることもあるので油断はできません。配偶者の連帯保証人になるよう求められた場合、信用情報機関に事故情報が残っていて審査が通らず、個人再生の事実が判明する場合もあるのです。
結婚する前からブラックリストに入っていた場合、速やかにその事実を伝えることが大切です。結婚後に個人再生をする際も、事前に相談して理解を得ておくことで、後々のトラブルを避けられるでしょう。今後の長い結婚生活を考えると、誠実に対応することが最良の選択といえます。
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まとめ
個人再生は法律上、結婚に制限を設けるものではありませんが、クレジットカードやローンの利用制限など経済面での影響は避けられません。配偶者に内緒で個人再生をすることは、理論上は可能ですが、実際には書類の郵送や収入証明の提出などで発覚するリスクが高いのが現実です。
借金問題は早期の解決が鍵となるため、結婚相手には包み隠さず打ち明け、理解と協力を得ることが望ましいといえます。特に長期的な生活設計を考えると、経済面での情報共有は必要不可欠でしょう。個人再生という選択肢を通じて借金問題を解決し、新たなスタートを切ることで、より健全な結婚生活を築いていくことができるはずです。
当事務所では、個人再生と結婚に関する相談も随時受け付けています。一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。全力でサポートさせていただきます。
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当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています(司法書士業務の範囲内に限る)。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。
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