借金の返済が苦しくなり、個人再生を検討している方にとって、最も気になるのは「実際にどれくらい借金が減るのか」という点ではないでしょうか。
個人再生では、借金の総額や保有している財産の内容によって減額の幅が異なるため、あらかじめ目安を把握しておくと良いでしょう。
本記事では、個人再生における借金減額の仕組みや、計算の基準や方法など、具体的な数字を交えてわかりやすく解説します。
個人再生でどのくらい借金が減るか
個人再生による借金の減額幅は、いくつかの基準に基づいて決まるため、仕組みがやや複雑です。申立人の状況に応じて、適用される計算方法が異なるのです。
ここでは、どのような基準に基づいて減額額が決まるのか、概要をわかりやすく解説しましょう。
個人再生の減額基準と目安
個人再生では、「最低弁済額基準」「清算価値保障基準」「可処分所得基準(給与所得者等再生の場合)」のいずれか、最も高い金額が返済すべき最低額として設定されます。
小規模個人再生を選択する場合は、最低弁済額基準と清算価値保障基準のうち高い方が適用されます。一方、給与所得者等再生を選んだ場合には、加えて可処分所得の2年分と比較し、最も高い金額が返済額となるでしょう。
どの手続きを利用するかによって、減額幅は変わってきます。手続きの種類は職業や収入の安定性などによって判断されるため、自分の状況に最も合った方法を選ぶことが大切です。
減額される金額の計算方法
個人再生での返済額は、借金総額と財産の評価額に基づいて決まります。借金が500万円超~1,500万円以下なら、原則として5分の1が最低返済額です。1,500万円を超えると300万円、3,000万円を超えると10分の1が目安となります。
ただし、保有している財産の価値が最低弁済額の基準を上回る場合、財産の評価額が返済額として適用されます。清算価値保障の考え方で、自己破産時に債権者が受け取れる金額を下回らないようにする仕組みです。
預貯金や保険の解約返戻金、車や不動産などが評価対象となり、一定以上の財産を持つ場合は、返済額が想定より高くなるでしょう。
最低弁済額のルール
前述のとおり、個人再生の返済額は借金の総額や保有する財産、可処分所得のいずれかで最も高い金額が基準になります。
例えば、借金が500万円、財産が50万円、可処分所得の2年分が120万円の場合、小規模個人再生なら100万円、給与所得者等再生なら120万円が最低弁済額になります。
最低弁済額は法律に基づいて計算されるため、特別な事情があっても原則として減額されません。同じ借金額でも手続きの種類によって返済額に差が出ることがあるため、慎重な選択が求められます。
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減額の具体例
実際にどの程度まで借金が減るのかをイメージしやすくするために、借金総額別に具体的なケースを見ていきましょう。自分の状況と照らし合わせて確認してみてください。
借金300万円以下のケース
借金が100万円未満なら減額はなく、全額返済が必要です。100万円以上300万円以下であれば、最低弁済額は100万円になります。
ただし、保有する財産の評価額が100万円を超えると、その金額が最低弁済額となるため、実際の減額幅は小さくなります。預貯金や保険の解約返戻金、車両などの財産が多い場合は注意しましょう。
借金500万~1,500万円のケース
借金が500万円を超え1,500万円以下であれば、原則として最低弁済額は借金の5分の1です。
ただし、保有する財産の評価額や可処分所得の2年分がこれを上回る場合は、そちらの金額が優先されます。そのため、不動産や高額な車などの資産がある場合や、給与所得者等再生を選んだ場合には、減額幅が小さくなる可能性もあるため注意が必要です。
住宅ローンがある場合の具体例
住宅ローンを抱えている場合でも、個人再生では「住宅資金特別条項」という制度を利用することができます。住宅ローンを対象から外し、今まで通りの返済を続けることが可能です。家を手放さずにその他の借金だけが減額されます。
住宅を維持したいと考える方にとって、住宅資金特別条項の活用は非常に有効な手段といえるでしょう。
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個人再生で減額が制限されるケース
個人再生では、多くの借金が大幅に減額される可能性がありますが、すべてが一律に減額されるわけではありません。ここでは、主に注意すべき2つのケースを解説します。
清算価値保障の原則とは
個人再生では、自己破産した場合に債権者が受け取れると想定される金額(清算価値)を下回る金額まで借金を減額することはできません。
原則により、財産を多く所有している場合は、想定していたよりも減額幅が小さくなることがあります。不動産や高級車、多額の預貯金や保険の解約返戻金などがある場合は、あらかじめその価値を正確に把握しておくことが大切でしょう。
否認行為や偏頗弁済にあたるケース
個人再生では、自己破産のように「否認権」が制度として設けられているわけではありません。否認行為が問題になるケースはまずないでしょう。
ただし、特定の債権者にだけ返済する「偏頗弁済」を行うと、返済金額が清算価値に加算され、減額幅が小さくなることがあります。例えば、親族や友人からの借入金だけを優先的に返済した場合、最低弁済額が本来よりも高くなることがあるということです。
さらに、偏頗弁済が他の債権者に著しい不利益を与えると判断されると、個人再生の申立て自体が認められないこともあるため、注意が必要です。申立て前の返済は、手続き全体に影響を及ぼす可能性があるため、実施する際には慎重な判断が求められるでしょう。
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利用を検討するなら司法書士への相談を
個人再生は法的な手続きが多く、減額の効果も人によって大きく変わるため、専門的な知識を持つ司法書士に相談することをおすすめします。
司法書士に相談すれば、自身の収入や財産状況に応じた減額シミュレーションを行い、より適切な再生計画を立てることができるでしょう。財産の評価や可処分所得の算出には専門的な判断が必要であり、正確な見通しを立てるのは一般の方には難しい部分でもあります。
また、収入の見込みが不安定な場合や、返済計画が成立しないと判断される場合には、そもそも個人再生が認められないこともあります。確実に手続きを成功させたいと考えるなら、経験豊富な司法書士への相談を検討しましょう。
個人再生は、多重債務者が借金の減額や返済計画の見直しを行うための法的手続きですが、その際に専門家のサポートが必要です。弁護士と司法書士は個人再生の手続きをサポートする役割を担っていますが、依頼する際にどちらを選ぶべきか迷うこともあるでしょう[…]
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まとめ
個人再生では、借金の総額や財産の評価額・可処分所得のうち最も高い金額が返済額の基準になります。500万円〜1,500万円の借金なら、おおむね5分の1まで減額される可能性がありますが、財産が多い場合や収入が高い場合は減額幅が小さくなるでしょう。
住宅ローンがある場合でも、住宅資金特別条項を使えば、家を手放さずに他の借金だけを減らせます。ただし、偏頗弁済や財産隠しは、手続きが認められないケースもあるため注意が必要です。
個人再生は債務整理の中でも複雑な手続きになるため、検討する際はぜひ一度当事務所にご相談ください。個々の状況に合った適切なアドバイスをさせていただきます。
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当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています(司法書士業務の範囲内に限る)。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。
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