自己破産は極めて効力の強い債務整理方法ですから、やはりご本人以外にも奥様などご家族の協力が必要になってくるケースもあります。
その他、状況によっては奥様(妻)への影響を心配されるあまり、自己破産に踏み切ることが出来ないでいるという方もいらっしゃいます。
そこで、この記事では「自己破産をしたいが妻への影響が分からないため踏み切れないでいる」という方や「妻に自己破産を伝えたら離婚されるかもしれない」といった方へ向けて「自己破産と妻」に関する情報をご提供していきます。
【おさらい】自己破産とは
自己破産とは一般的に債務整理の方法の一つであるとともに、法律で認められている中では最も効力の強い債務整理方法の一つです。
原則として全ての債権者に対して借金の支払い義務が無くなるため、「免責許可決定」が出れば支払い(返済)の義務を免れることになります。
一方で20万円以上の価値のある財産と99万円以上の現金以外は原則として処分(換価)することが必要となります。
つまり、自己破産は「借金を全て帳消しにする代わりに、持っている資産は全て失うことになる」ということになります。
\LINEで気軽に相談可能!/
自己破産を妻に隠し通せる?どこでバレる?
よくインターネットのサイトで「家族にバレずに債務整理」などと書いている事があるため混同しがちですが、家族にバレない可能性があるのは任意整理といいます。
裁判所などの公的機関を使わず、債務者と債権者だけで文字通り任意に話し合いを行い、借金を減らすことができる債務整理方法になります。
この方法であれば裁判所が関与せず、また原則として代理人の司法書士であったり弁護士が代わりに各ローン会社と直接交渉を行う事になるため、基本的に家族に知られる可能性は低いと言えます。
では、自己破産の場合はどこでバレてしまうのでしょう。いくつかのポイントを簡単に解説します。
- 自家用車の処分でバレる(ローンの有無にかかわらず)
- 保証人関係でバレる
- 持ち家の処分でバレる
- 家族からの借金でバレる
- 収入資料の収集作業でバレる
- 官報掲載でバレる
- 本人の挙動でバレる
では、順に説明していきましょう。
自家用車の処分でバレる(ローンの有無にかかわらず)
まずは自家用車についてです。自己破産の場合、原則として車は手放す必要があります(時価20万円以下の車両を除く)。
この時、ローンの有無にかかわらず車両を手放すことになる、というのがポイントです。
ローンがない場合はそもそも破産財団に組み入れられますし、ローンがある場合は自己破産によって強制的に車両が引き上げられてしまいます。
奥様の名義になっていれば原則影響することはありませんが、それでもこういった財産関係は「誰が実質的な所有者か」というところまで裁判所が見ます。
奥様から見れば「旦那がある日突然、何も言わずに車を処分しようとしている」「よくわからないが車検証をどこかに送ったりしているようだ」という状況に見えてしまいます。
こうした事実をネットで検索するなりお友達に聞くなどすれば「夫が自己破産しようとしているようだ」という事はこのご時世ですから、すぐにバレてしまうでしょう。
保証人関係でバレる
旦那さんの債務関係について奥様が保証人あるいは連帯保証人になっている場合、自己破産を行えば当然その情報が奥様に伝わります。
というのも保証人はさておいて連帯保証人については、原則「債務者と同じ義務を負う」ということですから、債務者が自己破産すると当然、その返済義務がすべて連帯保証人にスライドすることになります。
例えば、A男さんとB子さんご夫婦がいたとして、知人のCさんから200万円の借金をしていたとしましょう。
- 債務者:A男さん(旦那さん)
- 連帯保証人:B子さん(奥様)
という段取りで金銭消費貸借契約を締結している状態で、A男さんが自己破産し、免責許可決定が出たとします。
この場合、A男さんはCさんに借金を返済する必要はなくなります。免責が裁判所から出ているからです。債権者も結果的に(心情はどうであれ)請求を放棄することになります。
しかし、これで話が終わることはありません。
CさんはA男さんに対してこそ「借金を返せ」とは言えませんが、B子さんには「あなた連帯保証人なのだから、借金を返しなさい」と言うことが出来ます。
つまり、A男さんが自己破産をしても、B子さんに借金を返す必要が出てくるのです。事と次第によっては、Cさんが今度はB子さんに対し、債務名義(公正証書あるいは裁判上の判決ないしそれに代わる和解)を取って「借金を払え」と法的に言い出すかもしれません。
こういった事が想定されるため(それも可能性は仕組み上、かなり高いといえます)、奥様が連帯保証人になっている場合、ほぼ100%確実に奥様へ自己破産がバレることになります。
最近ご夫婦での自己破産の件数が増加傾向にあります。 一般的に自己破産を行ったことがわかるのは、官報掲載情報を確認しているごく一部の人たちのみに限られます。しかし最近では破産者の情報を開示してしまうようなホームページの存在も確認され[…]
持ち家の処分でバレる
次に、自宅についてです。
自己破産をした場合、原則として家は手放す必要があります。「住宅ローンを組んでいるかどうか」に関わらず、自己破産をした時点で「処分前提」ということになります。
つまり、自宅を退去せねばならないというところから奥様に自己破産がバレる可能性があります。(というより、別居状態にあるなどの条件下以外では、確実にバレます)
家族からの借金でバレる
自己破産は原則として全ての債権者に対して破産申立を行うことになり、家族間の借金も同様の扱いとなります。
よって、奥様を含め、例えば親戚や夫婦共通の知人、あるいは(旦那さんから見て)義実家などからお金を借りていた場合、当然に裁判所や代理人から自己破産に関する通知を送らなくてはならなくなります。
このパターンもやはり、確実に奥様の耳に自己破産の情報が入ってしまうでしょう。
収入資料の収集作業でバレる
また収入資料の収集作業でバレる場合もあります。
例えば、旦那さんが会社勤めをしているサラリーマンだったとします。
このケースで自己破産を行う場合、原則として旦那さんの給料明細書が必要になります。
この給与明細書は会社から受け取ったあと、実務上、奥様が管理保管しているケースもあるでしょう。
いきなり旦那さんが過去の収入証明書類や給与明細等を探し始めると、奥様が疑問を持つ可能性もあるでしょう。
などのキーワードで検索すると、自己破産を含めてこうした行動の根拠を解説するブログが出てきてしまうことも多いですから、そこからバレるケースが多い印象です。
官報掲載でバレる
自己破産の官報掲載でバレるパターンです。
自己破産の公告とは、裁判所が破産者の名前と住所を一般に官報によって公開する制度のことです。
官報とは、国が出す新聞の全国版のようなもので、法的に広報しなければならない事項等を定期的に刊行して掲載するものです。
会社の設立であったり、あるいは倒産に関する情報もここで掲載されることになりますが、同時に破産法に基づく自己破産についても全ての事例につき官報に掲載することが義務付けられています。
通常、官報は一般の閲覧に供されるものではありません。(※少なくとも、面白い読み物はひとつも掲載されません)よって官報そのものを奥様がじっくり目を通すということは、奥様が法律事務所勤務であったり士業従事者でない限り可能性は薄いわけです。
本人の挙動でバレる
最後の最後はやはり、本人(旦那さん)の挙動でバレるというパターンです。
例えば、旦那さんが奥様に内緒で自己破産しようとすると、極論、それを思い立った瞬間から細かい言動や行動、寝起きの時間などに少しづつ変化が表れます。
「今日はいつもより早く起きた」とか「昨晩は遅くまで飲んでいた」など、些細なことですが、こういった小さな積み重ねが、奥様の不信感を募らせ、やがては「何か隠し事をしているのではないか?」と疑念を生じさせてしまいます。
最初から自己破産をしようとしているのを看破されるというよりは「詳細は分からないが、何か私に隠れて財産関係の行動をしているのではないか?(もしくは借金を隠しているのか?)」という疑惑を持たれることの方が圧倒的に多いです。
このパターンでバレた場合、最初から相談しなかったということで奥様から更に悪印象を抱かれてしまう可能性もあります。
\LINEで気軽に相談可能!/
自己破産で妻から離婚を求められたら?
とはいえ、奥様も心底から離婚をしたいと思っているわけではなく、突然の「自己破産」といった大きな出来事に混乱してしまったり、あるいは自己破産の制度についてあまり理解がなく、奥様やお子さんに累が及ぶのではないかと危惧しているケースもあります。
では、こうした場合、旦那さんはどのように対応すべきでしょう。
ご夫婦のことに口を出すことは当ブログでは一切ありませんが、一般的に旦那さんは離婚したくない、奥様は自己破産というキーワードに引っ張られて離婚を考え出しているというシチュエーションにおいて、旦那さんが取りうる行動や言動についてまとめます。
- 誠心誠意説明する
- 再起を図れることをアピールする
- 迷惑をかけないことを約束する
順を追って見ていきましょう。
誠心誠意説明する
まず、自己破産をする場合、奥様に対してきちんと説明をしましょう。「自己破産を考えている」と正直に話すことが大切です。
自己破産は「借金を返せなくなった人が、裁判所に申し立てを行って借金を帳消しにする方法」ですが、やはり一般的に日常会話に出てくるようなものでもありませんから、知識として偏っていたり、あるいは誤った情報が奥様にインプットされている可能性があります。
- 選挙権を失う
- 無収入になる
- 奥様の財産まで全て没収される
自己破産で選挙権を失うのは戦前の話で現在は公民権を失うことはありません。
自己破産で無収入になることはないし勤務も継続できます。
奥様の財産は原則無関係だが多少影響する可能性はある。
こうした情報について誠心誠意の説明をすることで、奥様に「自己破産をしても大丈夫なんだ」と安心感を与えることが出来ます。
再起を図れることをアピールする
自己破産をした場合、今までの生活スタイルを大きく変える必要が出てくることもあるでしょう。
しかし、自己破産をしたからといって、全てがダメになってしまうわけではありません。
そもそも自己破産の定義は「経済的な更生=再起を促進する」といったものが根底にあるわけですから、自己破産をした後も、しっかりと生活を立て直すことは可能なのです。
事実、自己破産をして免責が出たあと数年経過すれば信用情報も事実上リセットされますから、またローンを組むことも、現在の我が国の仕組み上可能となっています。
そのことを、しっかり奥様に伝えましょう。
迷惑をかけないことを約束し、奥様の不安を取り除く
自己破産は、奥様にとってみれば突然の出来事かもしれません。
自己破産というワードを聞いただけで、奥様の頭の中にはネガティブなイメージが浮かんでくるでしょうし、それが奥様を苦しめる原因にもなりかねません。
なので、「自己破産をしても大丈夫だ」「むしろこれから頑張るからついてきて欲しい」ということをしっかり伝えて奥様の不安を取り除いてあげる必要があります。
\LINEで気軽に相談可能!/
まとめ
今回は「自己破産で妻への影響はある?離婚を迫られたら?」というテーマで解説しました。
自己破産は、基本的には「破産した人本人」に影響するものであって、奥様やご家族に影響が及ぶことは原則としてありません。
一方、やはり生活面においては環境の変化などはどうしても出てきますから、そういった意味では「自己破産で妻に影響が出るのではないか」と心配する気持ちもよく分かります。
大事なことは奥様にも丹念に説明を行い、そして正しい情報を得てもらえるように行動を起こすことと言えるでしょう。
当事務所はこうした債務問題をはじめ各種の事案において30年以上の対応歴と実績を持つベテランの司法書士が在籍しておりますので、こういったご事情も含めて真の意味で最適な債務整理・生活再建の方法を一緒に考えていくことが可能です。
もし、自己破産を検討中なのであれば当事務所へご相談いただく選択肢もあります。当事務所は24時間365日の無料相談を実施していますので、下記ボタンよりご安心のうえご相談ください。
借金返済にお困りなら今すぐご相談ください
当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています(司法書士業務の範囲内に限る)。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。
当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています(司法書士業務の範囲内に限る)。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。