最近ご夫婦での自己破産の件数が増加傾向にあります。
一般的に自己破産を行ったことがわかるのは、官報掲載情報を確認しているごく一部の人たちのみに限られます。しかし最近では破産者の情報を開示してしまうようなホームページの存在も確認されています。
こうしたところで自己破産歴が判明してしまうといったケースもあるでしょう。そうした情報の中には、ご夫婦で同じ日付に自己破産を行っているといった記録があるケースもあります。
それではなぜ夫婦での自己破産が多いのでしょう?また自己破産は必ずしも夫婦で同時に行わなければならないものなのでしょうか?ここでは夫婦での自己破産というテーマについてわかりやすく解説していきます。
【概要】夫婦での自己破産が多い説の真相は?
夫婦での自己破産を行うと、裁判所への予納金や各種手続き費用を安くするような手続きの運用をとっているケースもあるなど、裁判所の方でも、夫婦で同時に自己破産を行うようなケースに対応しつつあるのが、昨今の情勢です。
そして具体的に夫婦で自己破産を行うべきかということについてですが、これに関しては、場合によります。つまり状況によるためケースバイケースというわけです。これについても後ほど詳しく解説していきます。
例えば、旦那さんが自己破産を行い、奥様の方は住宅ローン督促などが利用できる個人再生を取るという方法もあります。
その他、旦那さんは、やはり自己破産という手続きを取っておきつつ、奥様の方は任意整理という方法で、債務整理を行う相手を限定したり、絞ったりすることで、経済的なバランスをとっていくという考え方もあります。
こういったことから、夫婦で必ずしも、自己破産を同時に行わなければならないという話ではないことがわかります。大切なのは、今後ご夫婦二人三脚でどういった経済的な再起を図ることができるかという点でです。
とはいえ実務上、行わなければならないケースもあるため、夫婦での自己破産が多いという説については一般的な見解として、否定するものではないと考えてよいでしょう。
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夫婦同時に自己破産をすべきケースの例
それではここからは、夫婦同時に自己破産をすべきケースをいくつか事例としてご紹介していきます。
以下のような事例に該当される場合は、ご夫婦で同時に自己破産の手続きに進んだ方が良いケースも多いと考えられます。
パターン1:夫婦で自営業をしているケース
まず一番わかりやすいケースとしては、ご夫婦で自営業をされているケースです。つまりご夫婦でご商売をされており、商売の状況が悪化した結果として自己破産を行うといったケースが想定されます。
この時ご夫婦が個人事業主であれ、法人化している事業形態であれ、経済状況が悪化した場合は、ひとまずご夫婦そろって自己破産をされた方が何かと手続きの都合上、スムーズになるケースもあります。
特に多いのは、ご夫婦で自営業やご商売をされていると債権者の数が多くなることが多く、また債権者の種別についても一般的なカードローン業者やいわゆる借金取りのみならず、個人の債権者が含まれるケースもあります。
こうしたケースでは、片方が自己破産をされると焦げ付きを恐れ、もう片方のパートナーの方に強烈な取り立てを行うケースも考えられるでしょう。
こうしたところをを防ぐためにも、ご夫婦で自営業をされていて状況が悪化してしまった場合には、ご夫婦で同時に自己破産をされた方が良いケースもあるということになります。
パターン2:夫婦間で連帯保証人関係があるケース
ご夫婦の中で連帯保証人関係があるケースは、基本的に夫婦そろって同時に自己破産をすべきタイミングと言えるでしょう。
というのもご夫婦の間で連帯保証人関係がある場合は、片方が自己破産をした場合、自動的にもう片方の方へ債務の返済義務が生じます。
基本的にはご夫婦揃って自己破産をされることで、実質的な債務からの解放が実現できることになるでしょう。
連帯という言葉がつかない単なる保証人契約の場合は、片方が返済不能になったとしても、特に保証人として絶対に借金を返済していかなければならないというわけではありません。
連帯がつかない保証人の方についてはいくつか抗弁権が認められており、こうしたところで即座に支払いは行わずともよいという考え方もできます。
ただし、債権者からすればどちらに請求するも自由という原則がありますから、基本的には保証人の方に請求が来る可能性もあります。
連帯保証人はあくまでも債務者と全く同じような返済の義務を持ち、文字通り債務者と連帯して債務の返済に努めていくという契約条項になっています。
そのため通常の保証人に認められているような催告の抗弁権や検索の抗弁権といったいくつかの抗弁権が付与されておりません。
こうしたところから連帯保証人関係がある場合には、実質的に片方が自己破産をしたとしても債権が無くなるわけではなく、せっかくの自己破産も意味をなさないということになりかねません。
パターン3:夫婦の共有財産が多いケース
例えば、住宅や車などご夫婦での共有財産が多いケースもまた、ご夫婦で同時に自己破産をすべきケースと言ってよいでしょう。
というのも、ご夫婦で結婚して以降作られた財産については、民法762条2項の規定に基づき夫婦の共有財産として認められる可能性が極めて高い状況にあります。
そのため裁判所に片方が自己破産の申し立てを行ったとしても、財産目録を提出した後で裁判所が夫婦の共有財産であると認めた場合、自己破産を片方のみが行うことによって財産を守るといったこともできなくなります。
こういった場合では、最終的にご夫婦揃っての自己破産が適しているケースもあるということになります。
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夫婦で同時に自己破産する場合のメリット
それでは夫婦で同時に自己破産する場合におけるメリットについて、いくつか解説していきます。
督促等から「完全」に解放される
まずは督促等から完全解放されるといったメリットがあります。
【旦那さんの方が自己破産をしていて奥様は債務整理の手続きを取らなかった場合】
債権者としては、旦那さんの方は自己破産を行ったことにより回収不能状況にあることは重々理解しているものの、その後保証人などが設定されていた場合は、配偶者である奥様に対して取り立てを行うことになります。
またこういった場合、債権者側としても回収を急ぐべき特段の事情があると判断することになるため、裁判上の手続きを躊躇なく行ったり、期限の利益の喪失を主張することによって強制解約と一括返済を求めることがあります。
それでもなお対応できない場合には、強制執行などに話を進めていく可能性が極めて高いと言ってよいでしょう。
こうしたところから片方が自己破産をしたとしても、もう片方が自己破産手続き等を行っていない場合は、そちらの配偶者の方に請求が入ってしまう可能性がどうしても否定できないわけです。
こういったデメリットを排除するのであれば、夫婦揃って自己破産を行い、お二人とも破産の免責許可決定を得ることで、債務や督促等から解放されることになるわけです 。
予納金が減額されるケースがある
あくまでも最終的な判断とはなるものの、裁判所によってはご夫婦揃って自己破産手続きを行うことによって料金が安くなる可能性があります。
最も予納金の支払いが発生するのは少額管財事件以上の案件です。これは一般的には重篤な免責不許可事由にあたるような物事が認められた場合や、破産を行う時点である程度の財産がある場合などに限られます。
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夫婦で同時に自己破産する場合のデメリット
ご夫婦で同時に自己破産する場合には、もちろんデメリットもあります。どれが適切な選択肢なのかについては、当事務所のような借金問題に強い司法書士事務所に一度ご相談いただくのが宜しいでしょう。
具体的には大きく分けると以下のようなデメリットが二つあります。
住宅や財産を一式手放す必要が出てくる
ご夫婦そろって同時に自己破産手続きを行うと、住宅や財産なども一式手放す必要が出てきます。
今後の生活に支障をきたす恐れがある
どちらも自己破産手続きを行うと債務からは解放される一方で、今後様々なところで生活に支障が出てくる恐れがあります。
例えば、持ち家であれば自己破産手続きの際に処分しなければならなくなるため、転居が必要となりますし、また自己破産手続き中は移動の制限などがかかることもあるため、こうした制限のもとで生活することになる可能性があるというわけです。
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まとめ
今回はご夫婦での自己破産が多いという説について真相をご紹介するとともに、なぜ夫婦で自己破産を同時に行うと良いのか、あるいは同時に行わない方が良いケースもあるのかなど、広くご夫婦での自己破産というテーマについてご紹介してきました。
大切なことは、今後ご夫婦二人三脚で生活の再建を図っていくことと言えるでしょう。
どのような選択肢が取り得るものであり、またどういった選択肢を取るとスムーズに生活の再建が図れるのかなどについては、まずは専門家に相談してみることをおすすめします。
当事務所は24時間365日受付の相談窓口を LINE ・お電話・メールの三つの方式でご用意しています。
また、ご夫婦での自己破産や債務整理などの個別の事案にもベテラン司法書士がご対応させていただきますので、下記ボタンよりお気軽にご相談ください。
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