人生100年時代と言われるようになっている現代、平均寿命が男女ともに伸び、退職してからのいわゆる「第2の人生」の期間も長くなっています。
元気に過ごせるのが理想的ですが、突然病気になったり通院が必要になったりするリスクも避けられません。治療や入院などの医療費も高額になりますから、備えとして生命保険に加入している方も多くいるでしょう。
生命保険も財産とみなされますので、解約返戻金が20万円を超える場合には保険を解約しなければなりません。なお、保険のタイプや加入期間によって返戻金の有無・金額は異なりますから、自分はどのくらいもらえるのか確認しておきましょう。
今回の記事では、自己破産での生命保険の扱いを詳しく解説します。なお、解約せずに済む対処法も後ほどご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
【結論】自己破産すると、生命保険を解約させられる可能性がある!
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自己破産した際の財産の行方
自己破産では、20万円以上の価値がある財産は処分対象となります。手元から離れた財産は「換価処分」でお金に変えられた後、それぞれの債務者に割り振る形で弁済されます。
なお、自由財産として処分の対象から外れる財産もあります。裁判所に申し立てれば、自由財産を拡張することも可能です。以下で詳しくみていきましょう。
自由財産とは
自己破産後に生活がままならなければ、今後の再建への道のりは険しくなるでしょう。生活を再建するために必要な財産は自己破産しても処分されない「自由財産」として定められています。
以下に該当するものは自由財産として扱われます。
- 99万円以下の現金
- 破産後に取得した財産
- 法律で差し押さえが禁止されている財産
「拡張基準」とは
破産者の個別の事情によって自由財産の拡張が必要だと判断されれば、本来は処分される財産を手元に残せるケースがあります。
以下にあてはまる財産については、自由財産の拡張が認められます。
- 破産者及び家族の生活に必要な財産
- 破産者の就労に必要な財産
- 教育・医療費用などの特別な目的のために必要な財産
- 保証人となっている債務などのために必要な財産
例えば、既往歴や持病によって保険への再加入が困難な場合もあるでしょう。そのような事情が裁判所で認められれば、現在の保険に加入したままで自己破産手続きが可能になります。
同時廃止
自己破産手続きにおける同時廃止について解説します。
財産隠しなどの不当な行為を策する見込みがない、そもそも所有している財産自体が少ないなど、以下の3つの基準と照らし合わせて同時廃止の手続きが開始されます。
- 現金が33万円未満
- 免責不許可事由に該当しない
- 個人事業主や法人の破産でないケース
同時廃止では、手続き開始と同時に自己破産手続きが完了します。
自己破産を申し立て、裁判所が同時廃止で手続きを行うことが明らかとなった場合、そのタイミングで免責許可決定が即座に出されることになります。
なお破産法に基づく自己破産手続きでは自己破産の免責許可決定が出てから、それが確定するまでに一か月間の猶予期間があります。
よって厳密に言えば同時廃止の場合、自己破産手続きを行い、それが開始されてから一か月後に債務が原則消滅するということになるのです。
管財事件
続いては、管財事件について解説します。
破産者が一定額以上の財産を持っている、または免責不許可事由(ギャンブルや浪費によって借金を作ったなど)に該当している場合には管財事件として扱われます。
管財事件では、破産者の財産を管理するために破産管財人が選任されます。破産管財人は、倒産財産から債権者に対する支払いを行い、破産財産を最大限に活用して債務を償還する存在です。
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自己破産しても生命保険を解約しなくてもいいケース
続いては、保険解約が必要ないケースについて確認していきましょう。
解約しなくてもよいケース1:解約返戻金が少額の場合
解約返戻金が20万円に満たない場合は財産処分の対象から外れるため、契約を続けたままで自己破産手続きを行うことができます。
これはいわゆる掛け捨ての契約である場合や、著しく解約返戻金が少ない場合などに見られる状況と言えるでしょう。
解約返戻金がどのくらいになっているかは、各生命保険会社の担当者へ確認するか、もしくは保険証券を確認することで容易にチェック可能です。
解約しなくてもよいケース2:解約返戻金を支払える場合
「介入権制度」を利用することで、保険解約の必要がなくなります。
介入権制度は、債務者の保険金を有効活用することを目的として設けられたものです。生命保険金の受取人となっている親族が破産管財人に解約返戻金を支払えば、保険契約を継続できます。
解約しなくてもよいケース3:「掛け捨て」の生命保険の場合
掛け捨て型保険では解約返戻金が発生しません。
保険を解約するのは解約返戻金を財産に組み込んで債権者に弁済するためですから、掛け捨て型保険は解約させる必要がないのです。
解約しなくてもよいケース4:契約して間もない「貯蓄型」生命保険の場合
貯蓄型生命保険は、保険料を積み立てて最終的に保険金を受け取るタイプの保険です。
解約返戻金は契約年数によって増額します。保険に加入して間もなく解約返戻金が20万円に満たないような場合には解約の必要はありません。
解約しなくてもよいケース5:他人名義の生命保険の場合
破産者の配偶者や親など、他人名義の生命保険は強制解約の対象外です。
判断に迷ったら専門家に相談することをおすすめします。
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自己破産したら生命保険を解約しなければならないケース
続いては、生命保険の解約が必要になるケースについて確認していきます。
加入している保険が1つでも、もしくは2つ以上でも「解約返戻金が20万円を超えるかどうか」が判断の分かれ目です。
解約しなければならないケース1:解約返戻金が高額となる場合
生命保険の解約返戻金が20万円を超える場合は、解約しなければなりません。
多くの保険では、保険への加入期間によって解約返戻金を決めています。加入期間が長くなるにつれて増額するため、長期に渡って契約していれば解約返戻金が高額になるケースもあるのです。
解約しなければならないケース2:複数の保険に加入している場合
複数の保険に加入している場合は、加入しているすべての保険の合計額が20万円を超える場合には、解約しなければなりません。
解約返戻金は破産管財人によって回収されることになります。
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自己破産後も生命保険を解約しなくてもよくなる対処法
現在加入中の保険を継続するためには、自己破産以外の債務整理を検討する必要があります。
任意整理は保険の解約が必要なく、個人再生も基本的には保険を継続したままで手続きが可能です。
また、自己破産を選択する場合は裁判所に「自由財産の拡張」を申し立て、加入中の保険を自由財産として認めてもらう方法があります。
対処法1:「任意整理」する
任意整理では、生命保険の解約は必要ありません。
任意整理とは債務整理の方法のひとつで、お金を貸している債権者それぞれと直接交渉して借金の減額を求めるものです。合意を得られれば、借金元本の減額のほか将来利息のカットを受けられます。
特定の債務だけを選んで借金整理できること、毎月の支払いが減ることが大きなメリットとして挙げられます。
対処法2:「個人再生」する
個人再生であれば、生命保険を解約しなくても債務整理が可能です。
個人再生は債務整理の方法のひとつです。裁判所に申し立てて債務の減額を受けたら、残りの債務は3年から5年かけて支払う必要があります。
ただし、生命保険は財産としての報告義務があることに注意しましょう。
個人再生では所有する財産によって弁済額が変わるため、生命保険の解約返戻金が高ければ再生計画での弁済額も高額になります。
収入だけで弁済額を賄えなければ、生命保険を解約して受け取った返戻金を弁済に回さなければなりません。
対処法3:自由財産の拡張を申請する
すでに説明したことの繰り返しになりますが、裁判所に自由財産の拡張を申請すれば加入中の保険を残せる場合があります。
生活に必要なものだと判断されれば、生命保険の解約返戻金が20万円を超えていたとしても契約を続けられます。
対処法4:【おすすめ】債務整理に詳しい法律の専門家に相談する
債務整理の手続きでは、普段の生活では馴染みのない用語や決まりに戸惑うことも多いでしょう。専門知識を必要とするため、ご自分1人での手続きはかなり困難と言わざるを得ません。
債務整理には、時間も手間もかかってきます。債務整理を検討する段階まで来ると、生活を送るだけでも精一杯の状況でしょう。
わからないことを調べたり手続きに時間を割いたり中で、精神的に苦しい状況に追い込まれる人も少なくないのが実情です。
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まとめ
生命保険を解約せずに借金を減らしたい場合には、任意整理・個人再生という自己破産以外の債務整理方法を検討するのもよいでしょう。
また、自己破産でも専門家に相談して適切な方法で申し立てを行うことにより、自由財産の拡張などの基準から、生命保険を自由財産にできる可能性もあります。
当事務所では、債務整理の解決実績のある司法書士が自己破産をはじめとする債務整理の手続きを適切にサポートいたします。
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当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています(司法書士業務の範囲内に限る)。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。
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