昨今の経済情勢の悪化や度重なる値上げにより、心身の状態に関係なく、多額の借金を抱える人が増えてきています。
妊婦もまた、その例外ではありません。
借金問題の解決策のひとつである債務整理の中でも、自己破産は借金のほとんどが免責となることもあり、注目を集めています。
そこで今回は、妊娠中に借金する場合のリスクや、妊娠中に借金を整理をする方法、そして妊娠中に利用できる補助金や制度について詳しくみていきます。
妊娠中に借金する場合のリスク
ただでさえ、妊娠中は様々なストレスを抱えることになります。
そして、借金のストレスは妊娠していなくても大きいことから、妊娠中の借金は精神的負担がかなり大きいといえます。
以下、詳しくみていきます。
リスク1.流産のリスクが上がる
妊娠中の借金は、妊婦に大きな影響を及ぼす可能性があります。結果として流産のリスクが上がる危険性もあります。
そもそも、流産は妊娠初期に高い確率で発生しますが、それは母体のせいではありません。しかし、借金のせいだと感じてしまうことで、母親が自分を責めてしまう危険性もあります。
また、切迫早産等の危険に晒された場合にも注意が必要です。借金によって経済的余裕がないと、入院費を払えずにそのまま放置されてしまう恐れもあります。
その結果、お腹の子が流れてしまったり、死産してしまうというリスクが発生する可能性もあります。よって、妊娠中の借金には十分な注意が必要であるといえます。
リスク2.胎児への影響がある
妊娠中のストレスは胎児への影響が大きいことが知られています。
借金によるストレスも例外ではなく、胎児へ大きな影響を与えてしまう恐れがあります。
ストレスによる緊張は一般的に血管を縮めてしまいます。胎児は母親の体内を流れる血液によって栄養を補給されるため、妊婦がストレスにさらされ続けると、子宮の収縮や血液の循環が悪くなり、大切な栄養が行き届かなくなってしまいます。
その結果、早産や発育不全による低体重児が生まれてしまう可能性が上がります。
借金によるストレスは母体はもちろん、胎児への影響も大きいため、ストレスは少ない方が良いといえます。
可能であれば妊娠前に借金問題を解消すべきです。
リスク3.出産に必要な費用で借金が膨らむ
出産にかかる費用は妊娠から分娩、退院までに平均で70万円ほどかかります。その費用を賄うために、借金がさらに膨らんでしまう恐れがあります。
出産には高額な費用がかかることはもちろん、出産休暇制度が整っていない場合、収入減に繋がる可能性もあります。
よって、妊娠を検討する際は、費用面をしっかりと把握し、準備しておく必要があります。
リスク4.つわりや子育て中に取り立てにあう
つわりやストレスなどで、ただでさえ日常生活が困難な場合でも、借金は期日通りに返さなければなりません。期日通りに返せない場合、電話や訪問で督促が行われます。
これに対応するのは相当なストレスです。対応を続けなければならないことで、さらにストレスが大きくなる恐れもあります。
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妊娠中に借金を整理をする方法
妊娠中に借金を整理する方法については、いくつかの手段があります。
生活保護の申請や自己破産などの債務整理もこれに含まれます。これらの方法は、妊娠中であっても利用可能です。
手続きが大変だと感じる場合は、配偶者などの協力を得られるようにすることが重要です。
方法1.生活保護を申請する
生活保護は国民一人一人の最低限度の生活を保障し、自立を促すことを目的とした制度です。経済的に困窮している場合、役所へ相談することで生活保護を受給することができます。
生活保護には条件があり、これらの条件に当てはまっている場合、生活保護を受給できる可能性があります。
その条件は以下の通りです。
- 収入が国の定める最低生活費を下回っていること
- 持ち家や車などの資産を持っていないこと
- 怪我や病気で働けなくて生活が困窮していること
- 公的融資制度や公的扶助の対象外になること
- 三親等以内の親族から支援を受けられないこと
なお、生活保護は妊娠しているか否かでは支給の判断がされないため、妊娠中でも申請が可能です。また、妊娠によって併発した病気やケガで働けない場合でも、申請が可能です。
方法2.自己破産
自己破産とは、裁判所を通して行う債務整理の一つです。自己破産をすることで支払い不能となった債務者が借金の支払い義務から解放されます。
自己破産をする場合には、ご自身で裁判所に申し立てることは可能ではありますが、裁判の知識などがなければ非常に困難です。
ほとんどの方は法律の専門家である司法書士などに依頼して手続きを行います。自己破産が最適かどうかについては、専門家の意見も聞き慎重に判断しましょう。
なお、自己破産しても、全ての借金が無くなるわけではなく、非免責債権と呼ばれる、自己破産をしても免除されない借金があります。
例えば、税金、養育費、慰謝料などが該当します。また、自己破産後は保有できる資産や私財に上限がある為、注意が必要です。
方法3.任意整理
任意整理とは、裁判所を通さずに行える債務整理の方法です。金融業者やクレジットカード会社など債権者と直接交渉することで借金を減らすことができます。
方法4.個人再生
個人再生とは、自己破産と同じく、裁判所を通して行われる債務整理の一種です。原則として借金を5分の1程度まで、場合によっては10分の1まで圧縮できる手続きのことです。
個人再生の場合は、減額した借金を返済し続ける必要があるため、継続した収入が必要となります。
また、一定の財産を持っている場合、その財産額よりも借金は圧縮されないことを清算価値保障原則と呼びます。資産を残すことはできますが、その資産以上の額を返済しなければならないということです。
妊娠中に利用できる補助金や制度
妊娠中に利用できる補助金や制度について解説します。
妊娠中のストレスは、胎児に影響を及ぼす可能性がある為、お金の問題はなるべく解決するようにしましょう。
1.高額療養費制度
病院に支払った医療費が一定額以上の場合、高額療養費制度が利用できるケースがあります。
同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が自己負担限度額を超える場合、申請によって超えた医療費分を後から払い戻してもらえる制度です。
2.妊婦検診などの助成
妊娠・出産に関連してもらえるお金としては「妊婦検診費の助成」と「出産育児一時金」があります。
合計14回行われる妊婦検診については、各自治体から助成があります。
また、分娩の際の費用も補助が出ます。通常、正常分娩の場合の費用は公的医療保険の対象にはなりませんが、妊娠4カ月目(85日)以上の出産(死産・流産等を含む)であれば、公的医療保険から出産育児一時金(家族出産育児一時金)と呼ばれるものが支給されます。
妊娠の際、里帰り出産などのため、住んでいる場所以外で妊娠健診や出産を行うことも少なくありません。そのような場合でも、自治体の助成を受けられる制度があります。
3.傷病手当金
企業の健康保険加入者であれば、傷病手当金を受け取ることができる可能性があります。
傷病によって会社を休んでいる場合、働いていた時の月収の約2/3程度の額を支給される制度です。
傷病手当金が支給されるのは、医師が労務不能と判断した場合です。
「切迫流産」「悪阻」「切迫早産」等々、妊娠に際して、母体に何らかの問題がある場合に該当する可能性がありますが、妊娠は病気ではないため、辛いからと言うだけでは認められません。
ただし、産前産後休業中は支給されないので注意が必要です。
国民健康保険では傷病手当金は基本的に支給されませんが、特例的に新型ウイルスに罹患した場合、受け取れる場合があります。
4.失業給付金
妊娠・出産を理由に退職した場合、出産や子育てが終わった後にすぐに就職できる状態とは限らないため、通常であれば失業給付金の受給対象にはなりません。
失業給付の受給資格の一つに仕事に就ける状況であることが挙げられるためです。
なお、失業給付金の申請はハローワークで可能です。
5.医療費控除
妊婦本人または、本人と生計を一にしている家族のために医療費を支払った場合、医療費控除を受けることで、所得税の優遇を受けることができます。
証明が必要になる為、妊婦と診断されてから出産、退院までの間は、領収書や明細を全て保管しておくと良いでしょう。
妊娠中の医療控除についてはこちらのページが参考になります。
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まとめ
今回は、妊娠中に借金する場合のリスクや、妊娠中に借金を整理をする方法、そして妊娠中に利用できる補助金や制度について詳しくみてきました。
妊婦の方で借金にお悩みの方は、法律の専門家である司法書士に相談することをおすすめします。まずは一度、司法書士業務の範囲内で債務整理全般に対応している当事務所までお気軽にご相談ください。
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