日本では公的年金などの年金制度が整備されており、収入が少なくなった生活をサポートしてくれます。
しかし、長引く不安定な時代背景の影響を受けて、公的な年期制度だけでは将来が不安だと感じる方も多く見受けられ、保険会社と個人で契約する「個人年金」の利用が増えています。
相次いで食料品や日用品が値上げされても、毎月の収入が増える訳ではありません。そんな中で、借金が重なって苦しむ方も多くいらっしゃります。
そんな時、債務の苦しみから解放され、人生の再スタートを切るための制度のひとつが自己破産です。
今回の記事では、自己破産での年金制度の扱いについて、各種年金の特徴に触れながら解説します。
【結論】自己破産しても、年金の種類によっては受給できる!
自己破産した方が年金を受け取れるかどうかは、加入中の年金の種類によります。
年金には、公的年金、企業年金、障害年金、遺族年金、公務員共済、個人年金があります。このうち「個人年金」は、自己破産で受け取りが制限される可能性があります。
自己破産後に年金がもらえるかどうかは年金の種類による
ということで、ここでは自己破産後の年金の取り扱いについて、表にまとめました。
具体的には以下のようにほとんどの年金は自己破産後も支払いが継続されます。
年金の種類 | 特徴 |
---|---|
公的年金 | 国民年金と厚生年金保険の総称。自己破産後も支払いが継続される |
企業年金 | 企業から加入者に支払われる年金。自己破産後も支払いが継続される |
障害年金 | 障害がある人に支払われる年金。自己破産後も支払いが継続される |
遺族年金 | 公的年金に加入している者の死亡によって支払われる年金。自己破産後も支払いが継続される |
公務員共済 | 公務員から加入する共済年金。自己破産後も支払いが継続される |
個人年金 | 個人が自己負担で加入する年金。自己破産後に支払いされない場合がある |
自己破産しても受給できる年金の種類と説明
自己破産した場合にも受給できる年金について、それぞれの特徴に触れながら解説していきます。
自己破産してももらえる年金1:公的年金
公的年金とは、国民年金と厚生年金保険からなる日本の年金制度です。国民年金では、20歳以上60歳未満の方が年金保険料を支払って年金受給者を支える社会保障となっています。
日本に住む20歳以上60歳未満のすべての方は国民年金への加入が義務付けられており、会社や事業所に務めている方は厚生年金保険にも加入しています。国民年金保険料は年度ごとに改定されており、令和4年度では一律で月額16,590円の支払いが必要です。
自己破産してももらえる年金2:企業年金
自己破産による企業年金の受給制限はありません。
また、自己破産時にすでに企業年金(確定給付型、確定拠出型、厚生年金基金など)を受給している場合でも、差し押さえられたり換価処分される心配はありません。
自己破産してももらえる年金3:障害年金
障害年金は、一定の身体障害や精神障害がある方が受給できる年金です。
こちらも、自己破産しても障害年金の受給に影響しません。受給資格がなくなったり減額されたりすることもありません。
自己破産してももらえる年金4:遺族年金
遺族年金は、死亡した方が労働者であり、かつ所得があった場合に配偶者や養子、親族などが受給できる年金です。
自己破産しても遺族年金の受給には影響しません。受給資格がなくなったり減額されたりすることもありません。
自己破産してももらえる年金5:公務員共済
公務員共済は、公務員のための保険制度のひとつで、公務員にとっての様々なリスク(病気や事故など)に対応することができるように設計されています。
この保険制度に加入している公務員は、自己破産しても公務員共済の受給に影響しません。受給資格がなくなったり減額されたりすることもありません。
自己破産したらもらえなくなる年金:個人年金
「個人年金」は保険の一種で、年金と組み合わせて老後の資金を保障してくれるものです。
ただ、自己破産すると、個人年金は強制解約となる可能性があります。
個人年金とは
60歳や65歳などの一定の年齢まで積み立てたお金を年金として受け取れる保険のことを、一般的には個人年金と言います。
個人年金には任意保険や確定拠出年金があり、保険料と貯蓄額によって年金額が決まります。
個人年金がもらえなくなるケース
自己破産すると、20万円以上の財産は破産財団に組み込む必要が出てきます。
個人年金も例外ではありません。
個人年金を途中解約した際に受け取れる解約返戻金が20万円を超える場合には強制解約の後に換価処分されます。
換価処分の後で債権者に公平に分配されるため、自己破産において個人年金を残すのはなかなか難しいものがあります。
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自己破産をする前の注意点
ここからは、自己破産での年金にまつわる注意点をまとめています。
押さえておくべきは、年金保険料の支払いは自己破産で免除されないことです。
注意点1:年金を担保とする貸付は自己破産後も返済の義務がある
年金を担保にして貸付を受ける「年金担保貸付制度」を利用していた方もいるでしょう。
年金を担保として貸付を受けた分については、自己破産での免責の対象外です。返済義務が残ります。
なお、年金担保貸付は令和4年3月をもって新規受付が終了していますが、残りの借入額を繰り上げて返済する必要はありません。
この年金担保貸付制度を利用して、悪質なヤミ金業者等が年金を担保にして貸付けを行うという事例もここ数年来多々見られます。
特に年金担保貸付が制度上、令和四年3月末で新規の受付を終了しているということもあり、今後こうした年金担保貸付を標榜し、または話を持ちかけてくる悪質な違法操業業者も出てくる可能性があるので注意が必要です。
注意点2:年金の受給口座が借入した銀行の場合は凍結される可能性がある
年金を受け取る権利(受給権)は、自己破産でなくなることはありません。しかし、年金を受け取っている銀行口座は財産処分の対象となります。
口座に振り込まれた年金は、預金債権としてほかの財産と同様に処分の対象となります。
注意点3:年金の未納がある場合、自己破産しても支払い義務が残る
自己破産では多くの債務が免責の対象となりますが、年金の支払いは自己破産での「非免責債権」、つまり支払い義務が免除されない債権のひとつです。
そのため、たとえ自己破産後であっても、年金保険料の支払いは継続しなければなりません。
なお、非免責債権には、養育費や国民健康保険なども該当します。自己破産を検討する際には、これらの支払いについても確認しておきましょう。
ちなみに、国民年金保険料の納付期限は原則として翌月末日です。自己破産前に延滞がある場合には、延滞金と合わせて確実な支払いが求められます。
注意点4:年金の支払いができないことを理由に自己破産はできない
年金の支払いができないことを理由として自己破産することはできません。
繰り返しになりますが、年金は免責の対象外です。そのため、年金が払えないからと言って自己破産しても支払いは続くことになります。自己破産を選ぶメリットはないと考えてよいでしょう。
国民年金保険料の支払いが難しい場合には、免除制度や納付猶予制度を利用を検討しましょう。年収が一定以下である、または無職や障害を持っているなどの特定の状況にある場合に制度が利用できます。
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まとめ
本記事では、自己破産した場合の年金の取り扱いから注意点まで解説してきました。
年金は生涯にわたる安定した収入と言えます。
自己破産しても公的年金や企業年金の受給資格には影響しませんが、個人年金については強制解約を受ける可能性がありますので注意しましょう。
また、毎月納めている年金保険料は自己破産での非免責債権ですから、未払い分や今後の支払いについては免除されません。
こちらについては自己破産の枠組みの外で別途支払い等について担当者と協議をしたり、支払い計画を立ててきちんと対応していく必要があります。
債務問題は、できるだけ早く専門家が介入して解決に動き出すことが重要です。
当事務所では、自己破産をはじめとする債務整理に強い司法書士が24時間365日いつでも相談を受け付けています。
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当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています(司法書士業務の範囲内に限る)。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。
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