一般的に持ち家は自己破産の際に破産財団に組み入れられる財産となりますから、基本的に手放す必要があります。
とは言え2018年をピークとして毎年数万人以上が自己破産手続きを行っている中で、中には自己破産をしても持ち家を失わずに済んだという方がいてもおかしくはありません。
事実、そうした声もよく聞かれます。
そこで今回は持ち家を失わずに自己破産は可能なのかどうかについてご説明するとともに、持ち家がある場合に自己破産においてどのように対策していくべきか、また注意点についても徹底的に検証してご紹介していきます。
【原則】自己破産すると持ち家は処分される
自己破産は、債務が返済できない状況になった際に裁判所に申告して、借金を免除してもらう手続きのことです。
その結果として借金もなくなりますが、借金を清算するため持っている財産も処分する必要があります。
自己破産を検討する際は、財産と債務の比率などを十分に検討することが大切です。
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持ち家を失わずに自己破産する方法
自己破産を行うと、原則として持ち家などの高価な財産は換価処分の対象となります。
ローンの有無に関わらず、手放さなければなりません。しかし、持ち家がなくなると困ってしまうという状況もあります。
この項目では、持ち家を失わずに自己破産する方法を解説していきます。
不動産所有者の名義変更
自己破産で処分されるのは、本人名義の持ち家となります。
そのため、自己破産前に持ち家の名義を変更しておくことで、持ち家を残せる可能性があります。
しかし、持ち家の処分を免れる目的で家の名義を変更する行為は認められていません。
財産がある程度ある場合の自己破産は管財事件として扱われ、裁判所から選任された破産管財人によって破産者の財産が管理・換価処分されます。これは財産を正確に把握し、財産を換価して債権者に分配するためです。
不動産の名義変更は不当な財産隠しと見なされる可能性があり、債権者を害したとして免責が認められない可能性があります。
さらには悪質なケースであると判断されると、詐欺破産罪として刑事罰を問われる可能性まであります。
親族などに買い取ってもらう
自己破産後に家を残すためには、親族や家族に持ち家を買い取ってもらうことで、実現できます。
わかりやすくいえば、リースバックの身内バージョンのようなものです。
親族が相手であれば、家賃等の融通も効きやすいですしメリットも大きい方法です。
ただし、売却する場合には破産管財人を通すようにしてください。家族または親族に買い取ってもらった場合は、一般的な相場より安く売り渡すことはできません。
自己判断で勝手に行ってしまうと免責不許可事由に該当する可能性があります。
リースバックを利用する
持ち家を失わずに自己破産する方法としては、リースバックの利用も一つの手段です。
リースバックとは不動産会社に家を買い取ってもらい、家賃を払いながら住み続ける方法です。
自由財産の拡張手続きを行う
自由財産は自己破産しても換価処分の対象とならない財産のことです。
通常の破産手続きでは、持ち家などの高額な財産は残すことができませんが、「自由財産の拡張」という手続きをすれば、持ち家を残すこともできる場合があります。
ただし、自由財産の拡張は99万円以下の財産に行われる場合がほとんどで、住宅について認められる可能性は限りなく低いと言わざるを得ません。
- 「管財事件」として自己破産を申し立てる必要があります。
- 破産管財人と相談して「自由財産拡張申立書」を作成し、裁判所に提出します。
- 裁判官が申立の可否を判断します。
【重要】司法書士など専門家に相談する
自己破産後も持ち家を守る方法はいくつか存在します。しかし、自己判断で行ってしまうと免責不許可事由に該当したり、刑事罰を受ける可能性もあります。
個々の事情によって最適な方法は異なります。そのため自己判断で行わず、司法書士などの専門家に相談することが重要です。
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自己破産で持ち家が処分される流れ
自己破産で持ち家を残すのは、難しいケースも多いのが正直なところです。自己破産で持ち家はどのように処分されるのか、解説していきます。
自己破産において、持ち家は裁判所の命令により競売にかけられます。
競売は家の売却額を決定せずに売りに出し、オークション形式で売却価格を決めます。一般的に、競売の手続きは以下のように進められます。
- まずは、競売の開始の決定です。裁判所に競売の申立てがあると、裁判所が競売の開始を宣言します。
- 持ち家の状況調査が行われます。裁判所から執行官が持ち家まできて、競売のための準備に入ります。
- 競売の情報がインターネットなどに公開され、一番高い価格をつけた人が買受人となります。
- 買受人が決まれば、裁判所が売却許可決定を出します。買受人の納付後は、家の所有権が買受人に移転し、破産者は退去日を決めて家を明け渡します。
競売開始日が確定したとしても、すぐに家を明け渡すわけではありません。競売確定から退去日までの期間は半年から1年程度です。この間に次の住まいを決めることになります。
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【自己破産以外】持ち家を残して債務整理する方法
借金の解決方法としては、自己破産以外にも方法があります。
その一つが個人再生です。個人再生は借金を大幅に減額し、原則として3年間に借金を分割して返済する方法です。
特に「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」を利用すると住宅ローンの返済を続けながら、持ち家を残すことができます。
自己破産しかないと思っているような状況であっても、債務状況を専門の司法書士等と一緒に確認していくと、状況によっては個人再生で十分事足りる可能性もあり、持ち家を残して債務整理ができるというケースも往々にしてあるわけです。
ただし、住宅ローンを完済している場合の債務整理は任意整理・個人再生・自己破産のうちどの方法がベストかは個々人の状況により異なります。
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自己破産と持ち家に関する注意点
ここでは自己破産と持ち家に関する注意点についていくつかご紹介していきます。
このようなケースにおいては、自己破産手続きを行う際に特に注意すべきポイントや検討すべき点がありますので、ご紹介していきます。
具体的には住宅ローンに関する内容や今後持ち家を手放したとしてどういった住まいを見つけていくかといった部分が該当します。
住宅ローンの組み直しは難しい
自己破産後に住宅ローンを組むことは、通常は困難です。
住宅ローンの提供者である銀行や消費者金融は、ローンを貸し出す際に申込者の返済能力を確認するため、信用情報機関を通じて情報を参照しています。
自己破産をすると、事故情報が信用情報期間に記録されるため、ローンの審査に通ることは難しくなります。事故情報が記録される期間は5年〜10年間です。
ただし、家族や配偶者が住宅ローンを組む場合には問題はありません。
自己破産後に住宅ローンを借りようとする場合は、家族や配偶者が契約者となり、返済義務を負うことを認識した上で慎重に検討することが大切です。
アパートなど賃貸物件の入居審査に通りづらくなる
自己破産した人でも賃貸は借りられます。しかし、入居審査に通りにくいため注意が必要です。
一般的に、賃貸契約には大家さんや不動産会社による審査と家賃保証会社による審査があります。
大家さんや不動産会社は家賃の支払い能力を審査しますが、家賃保証会社は滞納時に家賃を代わりに払うことを考慮して、厳密な支払い能力のチェックが行われます。
家賃滞納記録を共有していない家賃保証会社では自己破産の情報が含まれていないため、自己破産者でも入居審査に通る可能性は高いでしょう。
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持ち家が絡む場合の自己破産の相談先
自己破産を含めた借金の相談先を紹介します。
- 法テラス・・・経済的な困窮に直面している方に無料で法律相談を受けられます。
- 弁護士会・・・各地に相談窓口があります。無料の場合もありますが、有料で相談を受け付けているケースもあります。
- 日本司法書士会連合会の司法書士総合相談センター・・・司法書士が無料で相談を受け付けています。
各相談先によって、相談内容や対応方法が異なりますので、詳細は各相談先にお問合せください。
このいずれの相談先よりもおすすめしたいのが、自己破産をはじめとした債務整理に強い司法書士や弁護士をご自身で探して相談に行くことです。
司法書士や弁護士は債務整理に関する知識も豊富にあるので、実践的なアドバイスを受けることができます。
相談だけでなく、そのまま自己破産の手続きを依頼することも可能です。一部の司法書士・弁護士事務所では、無料の相談窓口も設けています。
自己破産は相談することも少なくないので、信頼できる事務所に依頼するのがおすすめです。
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まとめ
今回は持ち家を失わずに自己破産をすることが可能かどうかについてご紹介してきました。
結論、ご自身の所有名義になっている場合、原則として手放す必要があります。
しかし、偏頗弁済にならない範囲において不動産所有者の名義を変更する、親族等に買い取ってもらう、リースバックを利用する、自由財産の拡張手続きをするなど、持ち家を残した上で、自己破産できる可能性はいくつかあります。
重要なことはこういった複雑な手続きについては専門の知見を持つベテラン司法書士にご相談をいただき、慎重に自己破産手続きを進めていくことでしょう。
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