昨今の経済情勢の悪化や長引く新型ウイルス禍などを背景に、持ち家や自家用車があるような階層の世帯でも、多額の借金を抱えるケースが増えてきています。
借金問題の解決策のひとつである債務整理には、任意整理、個人再生、自己破産といくつかの選択肢がありますが、その中でも自己破産は借金のほとんどが免責となることもあり、注目を集めています。
しかし、自己破産にはいくつものデメリットがあることも事実です。特に自己破産後に持ち家はどうなるのか、住宅ローンとの関係はどのようになっているのか、興味を持たれる方は少なくありません。
自己破産後に住宅ローンは新たに組めるのか?
上記の疑問にお答えした上で、自己破産による実生活への影響や、自己破産後もその住宅に住む方法についても説明していきます。
【結論1】自己破産すると、住宅ローンと住宅は放棄しなければならない!
自己破産後は、持っている財産(評価額が20万円以上の私財)は処分の対象となります。住宅もその一つです。
なお、住宅ローンが残っている場合、免責されるため、支払う必要はなくなります。
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【結論2】自己破産後は、住宅ローン審査にしばらく通らない!
自己破産をすると、信用登録機関に事故情報が登録されます。ローンなどを申し込む際には、信用登録機関の情報を参照するため、事故情報が載っている状態では審査に通らなくなる可能性が高いといえます。
自己破産の場合の事故情報が登録される期間は、およそ5~10年間と言われています。
信用登録機関に事故情報が載ることをブラックリスト入りと表現します。
KSCは銀行、信用金庫、信用組合、農協、信用保証協会、政府系金融機関などが加盟している信用情報期間であり、このことから銀行関係はブラックリスト解除までの期間が長いことがわかります。
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自己破産による影響
ここでは、自己破産による実生活への影響を解説します。
自己破産をすると、所有の財産は処分の対象となります。財産には、処分の対象になるものと対象外になるものがあり、例えば、99万円以下の現金は手元に残せます。また、財産の評価額は全て時価であることもポイントのひとつです。
影響1:20万円以上の私財は全て売却される
自己破産を行うと、一定の財産が換価処分されます。評価額が20万円以上の私財は処分の対象となります。
ただし、処分されない資産もあります。日常生活に最低限必要なものは処分の対象外となります。
これは、民事執行法第131条第1号において「債務者等の生活に欠くことができない衣服、農具、家具、台所用具、畳及び建具」は差押禁止動産とされているからです。
影響2:一部の職業で働けなくなる
自己破産をすると、欠格事由によって職業制限がかかる可能性があります。
欠格事由とは法律によって要求されている資格を欠くことを指します。
司法書士や弁護士など、法律に関わる士業、各団体における委員や委員長、または役員および会長、動物取扱責任者、派遣元責任者、警備員、交通事故相談員、陪審員などが含まれます。
このように働けなくなる職業は多岐にわたるため、自身の職業が該当しそうな場合には事前に調べておくことをおすすめします。
影響3:5~10年間は新たな借金ができない
上でも述べたように、自己破産等の債務手続きをすると、信用機関に事故情報が登録されます。
自己破産の場合、約5~10年間登録されますが、10年経過後、事故情報が削除されれば、事故情報が原因での審査否決はなくなります。ただし、審査項目は他にもあるため、全てのローン審査に通るとは限りません。
影響4:ローンの審査に通りにくくなる
各種カードローン会社は、与信審査の際に事故情報を参照します。そのため、ここに各信用機関に事故情報が載っている間は審査に通る可能性は非常に低くなります。
また、カードローンだけでなく、住宅ローン、自動車ローン、教育ローン等の各種ローンについても、各信用機関に事故情報が載っている間は審査に通る可能性は、カードローン同様、非常に低くなると考えるべきです。
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自己破産後の住宅ローンと持ち家はどうなる?
ここでは、自己破産後に住宅ローンと持ち家がどうなるかについて見ていきます。
まず基本的には、住宅ローンが残っているかどうかに関わらず、持ち家は没収されます。
以下、各ケースについてみていきます。
ケース1:住宅ローンが残っている場合
住宅ローンが残っている場合、そのローンは免責され、負債はゼロになります。
住宅に抵当権が設定されている場合には、抵当権は金融機関にあります。自己破産を行うと、抵当権の行使によって自宅が売却され、住宅ローンの残債に充てられる可能性があります。
ケース2:住宅ローンが残っていない場合
住宅ローンが無い場合、住宅の所有権は自身にあります。
そして、持ち家は自己破産申立人の財産とみなされ、売却後の資金は債権者への返済に充てられることになります。
ケース3:共有名義での住宅ローンが残っている場合
共有名義での住宅ローンが残っている場合には、「自己破産者の共有持分のみ」が競売にかけられることがあります。
例えば、2人の共有名義で持分が1/2ずつの不動産の場合、1/2の持分だけが競売にかけられるということです。
また、住宅ローンについては、自分の分は支払いが免責されますが、共有名義人が借金の保証人になっている場合、共通名義人が全ての借金を支払う必要が出てきてしまうため、注意が必要です。
以上のようなことを踏まえると、自己破産する場合、名義を共有している人に先に相談すべきです。
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自己破産後もその住宅に住む方法
基本的には、自己破産後は住宅を手放さなくてはなりませんので、その住宅に住み続けることはできません。
そのため、その住宅に住み続けたいならば、自己破産以外の債務整理を利用することをおすすめします。
以下では、それぞれの方法について詳しくみていきます。
方法1:自己破産ではなく「任意整理」によって債務整理を行う
任意整理は、債権者と直接交渉する手続きであり、将来の利息のカット等を交渉することができます。
任意整理の利用には、自宅を手放す必要がないというメリットがあります。
任意整理をする債権者を選ぶことができるため、基本的に住宅ローンの債権者を対象にしなければ、自宅を手放す必要がなくなります。
また、任意整理では、現在持っている資産の処分は必要ないため、自宅の売却も必要ありません。
方法2:自己破産ではなく「個人再生」によって債務整理を行う
個人再生は、裁判所を通して借金を減額する手続きです。減額した借金は原則3年かけて返済します(5年の場合もあり)。
個人再生には住宅資金特別条項(住宅ローン特則)というものがあります。住宅資金特別条項とは、住宅ローンについての支払いを継続することを認める個人再生の特別条項です。
住宅資金特別条項が適用された場合、住宅ローンを除外して個人再生の手続きを進めることができ、自宅を残すことができます。
方法3:親族に買い取ってもらい、その親族から住宅を借りる
住宅の売却は、住宅の所有権が自己破産申立人にある場合に行なわれます。
もし、住宅の所有権が自己破産申立人以外であれば、住宅は自己破産申立人の財産とみなされないため、住宅の売却を避けられる可能性があります。
住宅の所有権を親族に譲渡すれば、住宅は自己破産申立人の財産とはみなされず、住宅の売却を避けることができます。その親族から住宅を借りることができれば、自己破産後にその住宅に住み続けることも可能です。
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まとめ
今回は、自己破産をした時に住宅ローンや持ち家がどうなるのか、自己破産後に住宅ローンは新たに組めるのか、といったことを説明した上で、自己破産による実生活への影響や、自己破産後もその住宅に住む方法について解説してきました。
自己破産は、借金のほとんどが免責されるというメリットがある一方、デメリットもいくつかあります。
基本的には持ち家は手放す必要がある点はそのひとつです。
自己破産後もその住宅に住み続けたい場合には、親族などに買い取ってもらい、そこに賃料を払って住むという方法もありますが、資産隠しとみられてしまう危険性もあります。
借金問題を解決すべき自己破産を申立したのに、免責許可が下りないとなってしまっては、本末転倒です。
借金問題を解決したいし、そのためには自己破産が良さそうだけれども、どうにかしたい条件がいくつかある……そんな方はひとりで解決しようとせずに、法律の専門家である司法書士に相談することをおすすめします。
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