自己破産は借金の免除を目指す手続きですが、必ずしも全てのケースで免責が認められるわけではありません。免責が下りない理由にはさまざまな要因があり、それを理解しておくことは手続きの成功に向けて非常に重要です。
本記事では、自己破産で免責が認められない主な理由を解説し、対処法も併せて紹介します。免責の可否を左右するポイントを把握し、トラブルを回避するための手助けとなる情報をお届けしますので、ぜひ参考にしてください。
自己破産で免責がおりない理由とは
自己破産で免責がおりない理由について解説していきます。免責が認められないことは稀ですが、特定の行為や状況が原因となって免責不許可となるケースがあります。具体的な理由を見ていきましょう。
財産を隠す行為を行った
財産隠しは自己破産手続きにおいて最も重大な問題の一つです。債務者が自身の財産を意図的に隠匿したり、他人名義に変更したりする行為が該当します。例えば、親族や知人に高額な現金を預けたり、不動産を名義変更したりするケースが挙げられます。
裁判所はこうした行為を厳しく見ており、発覚した場合は免責不許可となる可能性が極めて高くなるでしょう。財産隠しは債権者の利益を著しく害する行為であり、自己破産制度の信頼性を損なうものだからです。
クレジットカードなどでの現金化を行っていた
クレジットカードでの現金化も免責不許可の理由となり得ます。返済能力がないにもかかわらず、クレジットカードを利用して現金を得る行為を指します。
具体的には、商品を購入後すぐに現金化したり、キャッシングを繰り返し利用したりする行為です。このような行為は債務を増やす意図があると判断される可能性が高く、裁判所から厳しい目で見られます。
特に自己破産申立て直前にこうした行為が行われていた場合、免責が認められない可能性が高まります。
自己破産を検討せねばならないほど切羽詰まっている方には、必ずと言って良いほど共通した行動パターンがあります。 それが多重債務状態を何とかして脱却しようと「クレジットカード現金化」に手を出すというものです。しかし、この行為は実は自己破産[…]
偏頗弁済(へんぱべんさい)を行っていた・その疑いがある
偏頗弁済とは特定の債権者だけに返済を行う行為のことです。例えば、親族や知人からの借金だけを優先的に返済したり、特定の業者への支払いだけを続けたりする場合が該当します。
こうした行為は他の債権者との公平性を欠くため、裁判所から問題視されるのです。偏頗弁済が行われていた、またはその疑いがある場合、免責不許可となる可能性が高まります。債務者は全ての債権者に対して公平な対応を取ることが求められます。
虚偽の債権者名簿を提出する・またはした
自己破産手続きにおいて、正確な債権者名簿の提出は極めて重要です。意図的に債権者を隠したり、架空の債権者を記載したりするなど、虚偽の債権者名簿を提出することは重大な問題となります。
債権者名簿は自己破産手続きの根幹をなす重要書類であり、正確性が強く求められます。このような行為は裁判所への虚偽申告に当たるため、免責不許可の理由となり得るでしょう。
裁判所の調査に協力しない、嘘をつく(偽証する)
自己破産手続きにおいて、裁判所の調査に誠実に応じることは債務者の義務です。調査に非協力的な態度を取ったり、虚偽の証言をしたりすることは、免責不許可の理由となる可能性があります。
具体的には、財産状況について嘘をつく、収入を隠す、債務の原因について虚偽の説明をするなどの行為が該当します。裁判所は債務者の誠実さを重視しているため、こうした行為は自己破産手続きの信頼性を著しく損なうものとして扱われるでしょう。
過去7年以内に自己破産や個人再生の一部手続きをした
過去7年以内に自己破産や個人再生などの債務整理手続きを行っていた場合、新たな自己破産での免責が認められない可能性があります。この規定は債務整理制度の濫用を防ぐためのものです。
頻繁な債務整理は、債務者の経済的責任感の欠如を示唆する可能性があるため、裁判所は慎重な判断を行います。ただし、やむを得ない事情がある場合は例外的に認められることもあります。
免責不許可事由とは
免責不許可事由とは、自己破産の際に免責がおりない事情のことです。先述した行為や状況がこれに該当し、裁判所は総合的に判断し、免責を認めるかどうかを決定するのです。
免責不許可事由に該当すると、債務が残ったまま自己破産手続きが終了する可能性があります。つまり、経済的再生の機会を失うリスクがあるのです。債務者は自己破産申立ての前に、自身の行為が免責不許可事由に該当しないか慎重に確認する必要があります。
裁量免責とは
裁量免責は免責不許可事由に該当しても裁判所の裁量で免責が認められる制度です。裁判所が債務者の事情を総合的に考慮し、免責を認めるかどうかを判断します。
例えば、病気や事故など予期せぬ事態で債務が増えた場合や、債務者が誠実に返済努力をしていた場合などが考慮されます。
ただし、裁量免責はあくまで例外的な措置であり、免責不許可事由に該当する行為を正当化するものではありません。債務者は常に誠実な態度で、自己破産手続きに臨むことが求められます。
自己破産で免責がおりない確率は?
自己破産で免責がおりない確率は約3%程度とされています。つまり、大多数のケースでは免責が認められているということです。
しかし、免責不許可事由に該当すると、確率は大きく上昇します。3%という数字は決して高くはありませんが、免責が認められないリスクは常に存在することを認識しておく必要があるでしょう。
免責不許可となれば経済的再生の機会を失うことになります。自己破産手続きを検討する際は、専門家のアドバイスを受けることが賢明です。
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自己破産ができないと言われた時の対処法
自己破産ができない、または免責が認められないなどの状況に直面しても、適切な対応を取ることで、経済的再生の道を見出せる可能性があります。専門家のサポートを受けながら、最適な解決策を探ることが重要です。それでは、具体的な対処法を見ていきましょう。
即時抗告
免責不許可の決定に不服がある場合、即時抗告という手続きを取ることができます。即時抗告は決定から一定期間内に申し立てる必要があります。
具体的には、決定の告知を受けた日から一週間以内に申し立てなければなりません。即時抗告では、免責不許可決定の不当性を主張し、裁判所に再考を求めます。
ただし、即時抗告が認められるためには、免責不許可決定に明らかな誤りがあることを示さなければなりません。専門的な法律知識が要求されるため、弁護士や司法書士などの専門家に相談することが望ましいでしょう。
他の債務整理を検討する
自己破産での免責が認められない場合、他の債務整理方法を検討することも一つの選択肢です。個人再生や任意整理など、自己破産以外の債務整理方法があります。
個人再生は一定の収入がある人向けの制度で、債務の一部を返済しながら残りを免除してもらう方法です。任意整理は債権者との交渉により返済条件を変更する方法で、法的手続きを伴わないのが特徴です。
各方法にはメリット・デメリットがあるため、自身の状況に最適な方法を選択しましょう。
いずれにしても司法書士への相談がマスト
自己破産で免責が認められない場合、その後の対応は非常に重要です。こうした状況では、司法書士への相談が必須となります。
司法書士は債務整理に関する専門的な知識と経験を持っており、適切なアドバイスを提供できます。具体的には、即時抗告の可能性や他の債務整理方法の検討、今後の生活再建に向けた助言など、多岐にわたるサポートが期待できるでしょう。
専門家の助言を受けることで、より適切な判断を下し、経済的再生への道筋を立てやすくなります。一人で悩まず、まずは専門家に相談することをおすすめします。
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まとめ
自己破産で免責がおりない理由について詳しく解説してきました。財産隠しやクレジットカードの現金化、偏頗弁済など、さまざまな行為が免責不許可の原因となり得ます。
ただし、免責がおりない確率は約3%と低く、多くの場合は免責が認められているのが現状です。もし免責が認められなかった場合でも、即時抗告や他の債務整理方法の検討など、対処法はあります。
いずれの場合も、専門家への相談が重要です。当事務所では、自己破産に関する相談も随時受け付けています。債務でお悩みの方は、一人で抱え込まず、まずは相談されてみてはいかがでしょうか。経済的再生への第一歩として、専門家のサポートを活用することをおすすめします。
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当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています(司法書士業務の範囲内に限る)。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。
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