借金返済が難しい状況に陥り、自己破産を検討している方の中には「銀行口座はどうなるのか」という不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際、自己破産の手続きを進めると、銀行口座が凍結されることがあると聞いて心配になる方も多いでしょう。
口座が凍結されると、日常生活の支払いや給与の受け取りに支障が出る場合もあります。「毎月の光熱費の引き落としはどうなるの?」「給料が振り込まれなくなったらどうしよう」と不安を感じている方も少なくないでしょう。
口座凍結について正しく理解し、適切な対応をすれば、生活への影響を最小限に抑えることができます。口座凍結は永続的なものではなく、一時的な措置です。自己破産後も新たな口座を開設して生活を立て直すことはできます。
本記事では、自己破産による口座凍結の仕組みや対処法について分かりやすく解説します。自己破産を検討されている方が、安心して手続きを進められるような役立つ情報となりましたら幸いです。
自己破産すると口座は凍結される?
自己破産の手続きを進める中で、多くの方が抱える疑問が「銀行口座は凍結されるのか」という点ではないでしょうか。
結論から言うと、全ての口座が凍結されるわけではありませんが、借入先の銀行口座は凍結される可能性が高いです。詳しく解説しましょう。
自己破産で口座が凍結されるのか
自己破産を申し立てると、借入先の銀行口座が一時的に凍結されることがあります。銀行が債権を回収するために、口座内の預金と借金を相殺するという措置です。
口座凍結による相殺は、以下の法律に基づいて行われます。
民法505条「①二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
②前項の規定にかかわらず、当事者が相殺を禁止し、又は制限する旨の意思表示をした場合には、その意思表示は、第三者がこれを知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り、その第三者に対抗することができる。」や破産法67条一項「破産債権者は、破産手続開始の時において破産者に対して債務を負担するときは、破産手続によらないで、相殺をすることができる。」
債権者は、破産者に対する債務を相殺することが法的に認められています。凍結の対象となるのは全ての口座ではなく、主に借入先の銀行口座です。
借入のない銀行の口座は、基本的に凍結されません。家族名義の口座も凍結対象外ですので、生活費の管理には家族の口座を活用するという方法もあります。
口座が凍結される理由
口座が凍結される主な理由は、銀行が借金の返済に充てるためです。銀行は口座内の預金を借金の返済に充当し、債権を回収しようとします。
重要なポイントとしては、相殺の対象となるのは破産手続き開始時点での口座残高に限られるということです。口座凍結後に振り込まれた給与や年金などは、相殺の対象外となりますので、覚えておくと良いでしょう。
口座凍結は永続的なものではなく、通常1~3ヶ月程度で解除されます。一時的な不便はありますが、長期間にわたって口座が使えなくなるわけではありません。
口座が凍結されるまでのタイムリミット
口座が凍結されるタイミングは、弁護士から債権者に「受任通知」が送信された時点からです。債権者は通知を受け取ると、債務者への直接の取立てができなくなります。
銀行が債権者である場合、相殺を実施するために口座凍結の手続きを取ります。凍結までの期間は金融機関によって異なりますが、受任通知から数日以内に凍結されることが多いです。
可能であれば、預金を引き出しておくことをおすすめします。引き出した資金は生活費として使用できますし、相殺を回避することができるでしょう。
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口座が凍結された後はどうなる?
銀行口座が凍結されると、預金の引き出しや振込、自動引き落としなどの取引ができなくなります。日常生活への影響が心配されますが、適切な対応策を講じることで問題を最小限に抑えることが可能です。
凍結後の状況を正しく理解し、必要な対策を事前に取っておきましょう。口座凍結後に新たに振り込まれるお金はどうなるのか、新しい口座の開設は可能なのか、一般的な口座凍結との違いは何かなど、ここからは知っておくべき点について詳しく見ていきます。
凍結後に入金された給与や年金はどうなるか
口座凍結のタイミングは、弁護士から債権者に「受任通知」が届いた後です。債権者は通知を受け取ると直接の取立てができなくなり、口座凍結の手続きが進みます。
全ての口座が凍結対象になるわけではなく、主に借入先の銀行口座が影響を受けます。配偶者や家族名義の口座は凍結されませんので、生活費の管理には家族の口座を活用する方法も検討しておきましょう。
凍結後に給与や年金が振り込まれた場合、その資金は相殺の対象外となります。
口座を新たに作ることができる
自己破産後でも、新しい銀行口座を開設することは可能です。生活費の引き落とし用に別の口座を持つことができれば、日常生活への影響を軽減できるでしょう。
新しい口座を作ることで、凍結された口座に依存せずに生活費の管理ができるようになります。公共料金の引き落としや給与の受け取りなど、必要な金融取引を行うことが可能です。
新たな口座を作成する際には、事前に弁護士に相談することをおすすめします。適切なタイミングや金融機関の選び方など、専門家のアドバイスを受けることで、スムーズに口座開設を進めることが可能です。
一般的な口座凍結との違い
一般的な口座凍結と自己破産によるものの違いは、自己破産では債権の相殺が行われるという点です。一般的な口座凍結では単に取引が停止されるだけですが、自己破産の場合は口座残高が借金の返済に充当されます。
自己破産による口座凍結は、一時的なものです。通常1~3ヶ月程度で解除され、解除後は通常通り口座を使用できるようになります。しかし、信用情報に自己破産の記録が残るため、一部のサービス利用に制限がかかる場合があります。
一般的な口座凍結は、債務不履行などの特定の理由によって行われることが多いです。自己破産の場合は法的手続きの一環として行われるため、解除の見通しがつきやすい点が異なります。
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自己破産で口座が凍結される前にやっておくべき事
自己破産の手続きを開始する前に、口座凍結に備えた準備をしておくことが大切です。事前の対策により、生活への影響を最小限に抑えることができます。
預金の引き出しや振込先の変更、新しい口座の開設などを事前に準備しておきましょう。財産調査の対象となる点にも、注意が必要です。自己破産を検討している方は、以下の点を参考に準備を進めてみましょう。
やっておいたほうがいいこと
自己破産の手続き前に、借入先の銀行口座から預金を引き出しておくことをおすすめします。引き出した資金は生活費として使用でき、相殺を回避することが可能です。
その他にも、クレジットカードの支払口座の残高を0にしておくことも大切です。受任通知後にクレジットカードの支払いができなくなると、延滞情報が信用情報に記録される可能性がありますので注意しましょう。
凍結されない口座も財産調査の対象
自己破産の手続きでは、借入のない口座も財産調査の対象となります。すべての口座について、取引履歴の提出が求められることを認識しておきましょう。
財産調査では、浪費や隠し財産がないかを確認します。財産隠しは悪質な行為とみなされ、免責が認められません。
借入のない口座であっても、自己破産を申し立てたタイミングの残高をすべて裁判所に報告する義務があります。正確な情報開示が求められますので、口座の状況を把握しておきましょう。
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自己破産手続き前に口座の設定を変更する
自己破産の手続き前に、給与や年金の振込先を変更することをおすすめします。凍結の影響を受けない口座に変更することで、生活資金の確保が円滑に進みます。
また、光熱費などの自動引き落としも、口座凍結を避けるために変更しておきましょう。引き落としができないと、サービスの停止につながってしまいます。
その他にも、新たに別の銀行口座を開設することで、口座凍結の影響を最小限に抑えることができます。借入のない銀行で口座を開設し、必要な資金を移しておくと良いでしょう。
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まとめ
自己破産により銀行口座が凍結されることはありますが、全ての口座が対象になるわけではありません。主に借入先の銀行口座が凍結の対象となり、凍結は一時的なものです。
口座凍結による影響を最小限に抑えるためには、事前の準備が重要です。預金の引き出しや振込先の変更、新しい口座の開設など、適切な対策を講じることで、日常生活への支障を減らすことができます。
自己破産は借金問題を解決するための効果的な手段の一つですが、進め方によっては思わぬトラブルが生じることもあります。口座凍結に関する不安や疑問があれば、専門家に一度相談してみてはいかがでしょうか。
当事務所では、自己破産に関する相談も随時受け付けています。一人で悩まず、専門家に相談することで解決へと繋がるでしょう。
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当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています(司法書士業務の範囲内に限る)。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。
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