最近、「自己破産」という言葉が独り歩きしているような状況にあります。
例えば、自己破産をすると選挙権が失われたり、就職すらできなくなるといった話が出てくることがあります。
特にご高齢の方はこういったことをよくご家族に仰ることがあり、本当に自己破産が必要な人が決心をできなくなってしまうようなことがあります。
結論から言えば、選挙権が失われるような自己破産は戦前の話ですし、就職できなくなるという話は自己破産手続き中の限られた期間内特定の職種及び業務に就くことができないという「就業制限」の話が独り歩きしているようなものです。
当記事では、自己破産をした時に海外旅行に行けなくなるのかどうかや、都度許可を取らなければならないのか、そして自己破産手続き中~自己破産手続き完了後に海外旅行および海外渡航をされる際に注意すべきポイントなどを解説していきます。
【結論】自己破産しても海外旅行に行ける!
また、クレジットカードが強制解約されていたり、利用停止されているため、旅行そのものがしにくいといった問題もあります。
しかし、自己破産はパスポートの取得には影響しませんし、クレジットカードについても家族カードを利用すれば破産申立による信用情報の悪化の影響を避けることができます。
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自己破産の際に海外旅行に行く際の注意点
先ほど自己破産をしても海外旅行に行くこと自体は可能であるというお話をさせていただきました。
とはいえ、状況によっては自己破産手続き中に海外渡航を行う際、一定の制限を受けるケースや、制限はないものの実質的に海外旅行に行く際に難儀されてしまうケースもあります。
そこでここでは海外旅行に行く際の注意点をまとめてご紹介していきます。
注意点1.クレジットカードが使えない
自己破産をすると、「自己破産をした」という記録が信用情報機関に残ります。その情報が残っている期間中は、クレジットカードの作成や新たなローンや借入れをすることができなくなります。
自己破産をすると、金融機関からの信用を失うため、5〜10年間、クレジットカードは使えなくなるのです。
注意点2.裁判所の許可が必要なケースがある
自己破産手続き中に海外渡航を希望する場合は裁判所の許可が必要なケースがあります。
管財事件になった場合、破産手続き中の旅行及び海外渡航に裁判所の許可が必要になります。
一方、同時廃止の場合は、自己破産手続き後でも居住地を離れることが可能です。破産手続き中の期間がなく、即免責決定となるためです。
注意点3.私財や貯金が差し押されられるため旅費の確保が課題
自己破産手続き後に旅行する場合は費用の確保が課題になります。
自己破産で差し押さえの対象となる資産には、自動車や住宅などの高額資産があります。これらの資産は破産管財人によって売却される可能性があります。
自由財産(衣類や家具などの生活必需品、99万円までの現金)は没収されず、債務者が持ち続けることができます。この自由財産を旅費にあてることは可能です。
また破産者本人がクレジットカードを持てないため、家族のクレジットカードを利用したり、家族カードを作る、またはデビットカードを利用するなどする必要が出てきます。
自己破産をすると一般的にクレジットカードの類は一切利用できなくなります。 これはクレジットカード会社各社がショッピング枠という債権を有しており、自己破産は基本的に全ての債務を解約することになりますから、クレジットカードについては原則、[…]
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自己破産中に海外旅行に行けないケースは?
上記をまとめると、自己破産後に海外旅行に行けないケースはほぼないということがわかります。
とはいえ、実質的に自己破産手続き中及び自己破産手続き完了後に海外旅行が制限されてしまうケースもあります。
ここでは自己破産手続きに関連して海外旅行に行くことができないレアなケースをいくつかご紹介していきます。
【前提】基本的に海外旅行・渡航を制限されることはない
破産申請中の場合は住居を離れることが制限される場合があります。免責決定が確定して手続きが終了すれば、制限はなくなり、自由に海外旅行ができるようになります。
そのため、自己破産申請後は海外旅行が自由に可能であるといえます。
ケース1.管財事件に該当する場合
管財事件や少額管財事件の場合、債務者の海外旅行が制限されるケースがあります。
破産管財人が選任される自己破産手続きのことです。破産管財人は、債権者の間に入り、財産の調査・管理・処分・債権者への配当などを行います。
借金の総額が大きい場合や「免責不許可事由」がある場合などは、「管財事件」となる可能性が高くなります。
ケース2.ESTAが必要な場合
日本国籍の方も、米国に渡航する際にESTAを申請する必要があります。
2010年9月8日申請分より、ESTAでの申請が有料化されたため、申請時に21ドルの申請料金を支払う必要があります。この費用はクレジットカードで支払う必要がありますが、プリペイドカードでも支払いが可能です。
また、支払いに関しては誰のクレジットカードを利用しても問題ありません。破産者がクレジットカードを利用できない場合、家族や友人に自分のクレジットカードで支払ってもらうことも可能です。
自己破産と海外旅行のよくある質問Q&A
最後に自己破産と海外旅行に関連してよくある質問を、まとめてQ&A形式でご紹介していきます。
当事務所にもよく寄せられるご質問となっていますので、自己破産手続きを検討されている方でなおかつ、今後海外旅行や海外への渡航を予定されている方はよくご覧ください。
Q1:自己破産を検討しています。今持っているパスポートは失効しますか?
自己破産手続きを行ったからといって失効したり停止することも、まずありません。
そもそもパスポートは旅券法という法律に基づいて国民に発給されるものですが、この中に「自己破産によってただちに発給制限を受ける」といった規則は存在しません。
ただし旅券法に基づいて、自己破産中に別のことで発給停止になるケースも非常に稀ながら出てくる可能性もあるので、状況を一度法律の専門家にご相談されることをおすすめいたします。
具体的には刑事事件関係の問題があったり、その他外務省等から個別にパスポートの発給について具体的な連絡がある場合などが該当します。
Q2:海外旅行を行うとき、自己破産したことを伝える必要がありますか?
海外旅行を行うときにやりとりを行う必要がある相手と言えば旅行代理店や税関などが考えられますが、特に自己破産をしたことをこちらから伝える必要はないのです。
ただし、旅行保険など次にご紹介するような内容に関係する場合は、状況によって自己破産の事実を伝えなければならないケースも実務上出てくるでしょう。
とは言え、自己破産の履歴があるからといって海外旅行で何ら不利益を被ることはないので安心して出国できます。
なお、管財事件になっている場合は旅行が制限される場合もあるため、この場合は一度法律の専門家や裁判所等へお問い合わせの上、詳細を決定されることをおすすめいたします。
また、渡航制限や旅行制限が課されている状況でいわゆる強行突破時に海外渡航を行った場合、自己破産手続きに悪影響を及ぼす可能性が極めて高いことから、決して行なってはいけません。
Q3:自己破産後、旅行保険を利用できますか?
なお旅行保険といえば一般的にクレジットカードに海外旅行保険が付帯しているなどのケースが最近は多くなってきています。
自己破産手続きを行っていると当然のことながらクレジットカードが解約となっていますので、自動的にクレジットカードに付帯している海外旅行保険は利用できないことになります。
よって独自に海外旅行保険の申し込みを行うなどの必要があります。
このとき、保険会社によっては自己破産手続き中の旅行保険引き受けを拒否するケースもゼロではないため、一度詳細をお問い合わせになることが重要です。
Q4:自己破産した場合、空港で問題が発生する可能性はありますか?
これは日本の空港でも海外の空港でも同様です。
また、現在のところ日本と国交のある国と地域において「日本で自己破産手続きを行ったことが直ちに入国拒否の理由になる」としているところは確認されておりません。
Q5:自己破産をしても滞在ビザは取得できますか?
ただし、米国におけるグリーンカードのような永住権の取得を検討されている場合には、個人の資産等の問題によって自己破産手続きを行うと、結果的に永住権が取得できないケースも考えられます。
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まとめ
今回は自己破産と海外旅行の関係性についてお伝えしてきました。
結論から言えば、自己破産手続きをしたからといって、即座に海外旅行ができなくなると言ったことはありませんのでご安心いただければと思います。
ただし管財事件に該当する自己破産手続きの場合、一時的に自己破産手続き中の海外旅行や海外渡航が制限されるケースがあります。
また自己破産によってクレジットカードが使えない他、資産が没収されるなどによって、いわゆる「路銀」(旅行費用のこと)の工面に難儀されるケースは否定できません。
とはいえ、こちらもご家族やご友人からの資金援助によって海外旅行を実現することができる可能性もあります。
ESTAなどについても最近はデビットカードやプリペイドカード・家族カード等の利用で問題なく手続きできるケースがほとんどですから、安心して手続きを行えます。
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