昨今の経済情勢の悪化、長引く新型コロナウイルス禍、そして流動化する世界情勢などを背景に、様々な立場の人が経済的に苦境に立たされるケースが増えてきています。病気療養中の人たちや、高額医療を必要とする人たちも例外ではありません。
借金を抱えるなど経済的に行き詰ったときの解決策である債務整理には、自己破産をはじめとしたいくつかの選択肢があります。
そこで今回は、医療費が原因でも自己破産は可能かどうかについてまず説明したのちに、医療費でも免責対象とならないケースや、お金がなくても医療費を払うための制度、そして自己破産以外での医療費が払えないときの対処法について解説していきます。
【結論】医療費が原因でも自己破産は可能
医療費が高額すぎて、支払うことができない場合にも、自己破産は可能なのでしょうか。
一部の方は、貸金業者や金融機関からの借入ではないため、自己破産はできないと考えるかもしれません。
なお、医療費は、債務者が病院に対して負っている支払義務であり、法律上では「診療報酬債権」と呼ばれます。
ただし、医療費の中でも病気や怪我ではなく、美容整形等の場合は自己破産できないこともあります。
美容整形の場合、生命・健康を維持するために不可欠とまでは言い難いため、免責不許可事由にあたる浪費と考えられる可能性もあります。ただし、裁量免責が認められるケースもあります。
そして、医療費が原因で自己破産をしても、医療を受ける権利は剥奪されず、健康保険も利用できるということも覚えておいてください。
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医療費でも免責対象とならないケース
上でも少し触れましたが、医療費の内、生命維持に必要といえない場合は免責の対象外となる可能性があります。
以下、詳しく解説していきます。
ケース1.美容整形の場合
医療費の中でも、美容整形によるものは、免責対象とならない可能性があります。
免責不許可事由の中に、「浪費」が原因で負債を抱えたという項目が存在します。美容整形は怪我や病気等、生命維持に必要不可欠な医療行為ではない為、浪費に該当する可能性がある点に注意が必要です。
ケース2.自己破産を見越して高額な治療を受けた場合
自己破産直前に、自己破産することを見越して借入する行為は免責不許可事由に該当する恐れがあります。
自己破産を見越して高額な治療を受ける行為も、同様です。
ケース3.前回の免責から7年以内の場合
原因が医療費であるかどうかに関わらず、2回目以降の自己破産の申立ての時点で、前回の免責許可決定確定日から7年が経過していない場合には、免責不許可事由にあたります。
なおこの場合も、裁量免責ができる可能性があります。つまり、前回の免責許可決定確定日から7年が経っていなくても、免責が許可される可能性はゼロではありません。
ただし、前回の自己破産で免責が許可された時点で、生活を改め、経済的な更生に努める必要があります。本来であれば、再度の自己破産を避けるようにしなくてはいけません。
それにもかかわらず、再度の自己破産申請をしたということで、厳しい目で見られる可能性があります。
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お金がなくても医療費を払うための制度
経済的に困難な家庭でも医療を受けられるように、国や自治体によって、さまざまな医療費の補助制度が準備されています。
住んでいる場所によっても、制度の詳細は異なるため福祉課などで詳細を確認しましょう。
制度1.高額療養費制度を利用する
月始めから月末までにかかった医療費の自己負担額が高額な場合、高額療養費制度を利用することで払い戻しを受けることができます。
自己負担額の上限は、所得や年齢によって異なります。また、払い戻しまでの期間は受診した月から3か月程度かかります。
制度2.高額医療費貸付制度を利用する
上でも述べたように、高額療養費制度では払い戻しまでに、受診した月から約3か月かかってしまいます。
この払い戻しまでの間に必要な高額医療費を貸付する制度が高額医療費貸付制度です。この制度では、高額療養費支給見込額の8割相当額を無利子で貸付を行います。
制度3.限度額適用認定証を利用する
限度額適応認定証を保険証と一緒に病院へ提出すると、高額な医療費が自己負担限度額まで下がります。
高額療養費制度では、払い戻しまでに時間がかかるため、一時的に借金が必要となってしまうケースも少なくありません。
しかし、限度額適用認定証を窓口に提示することで、自己負担の上限額を窓口で支払うだけで済むので一度高額な医療費を支払う必要がありません。
制度4.傷病手当金を利用する
傷病手当金とは、病気や怪我によって会社から給料が支給されなかった場合に、その一部が全国保険協会から支給される制度です。この制度は、病気や怪我で休業中の生活を保障するために設けられています。
一般的には月収の2/3の額が支給され、傷病手当金が支給される期間は支給を開始した日から通算して1年6ヵ月です。支給対象は会社員等の健康保険加入者になります。
適用には以下の条件を満たす必要があります。
- 業務外の事由による病気や怪我の療養のための休業であること
- 仕事に就くことができないこと
- 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
- 休業した期間について給与の支払いがないこと
なお、業務上・通勤災害によるものは労災保険の給付対象となるため、傷病手当金の適用対象外です。
制度5.生活保護を利用する
病気の場合、満足に仕事ができず収入も確保できていないケースも少なくありません。このような場合、生活保護の利用を検討してみることも一つの手段です。
生活保護を受給することで、医療費は自治体から直接病院に支払われるようになります。そのため、窓口で支払いをする必要はなくなります。また、薬についても、費用負担なく処方してもらうことができるようになります。
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自己破産以外での対処法
ここでは、医療費が払えない場合における、自己破産以外での対処法について解説します。
まずは支払いについて、病院に相談してみるのが対処法のひとつです。しかし、これは根本的な解決には至らない可能性が高いといえます。
自己破産以外の債務整理を検討することも有効な対処法です。
対処法1:分納や支払い猶予を病院に相談する
医療費が支払えない場合、病院側から早期の退院または他の病院への転院を勧められたり、家族に支払いを請求される可能性があります。ただし、そのようなケースであっても、即日退院を強制されたり、診療を拒否されることは少ないといえます。
しかし、支払いができないことで、今後の治療を心情的に続けていきにくく感じることもあります。自己破産以外の債務整理を検討し、支払いができるように根本的に解決することが望ましいでしょう。
対処法2:任意整理を利用する
自己破産以外の債務整理として、任意整理を利用することができます。
任意整理とは、借金の支払いの負担を軽くするために、貸金業者などの債権者と交渉し、利息のカットや分割回数について交渉する手続きです。また、今後の返済計画について、債権者と和解を結び、和解した計画を元に返済を続けて、借金の完済を目指すものです。
任意整理は裁判所を通さない手続きとなるため、自己破産や個人再生に比べて、期間が短く、費用も安くできる傾向にあります。
しかし、貸金業者や金融機関からの借入れのせいで医療費が支払えないという場合は任意整理も有効です。また、医療費以外の債務について任意整理をすることにより、医療費の支払ができるようになる場合もあります。
対処法3:個人再生を利用する
個人再生とは、裁判所を通して借金を5分の1〜10分の1程度まで減額する方法です。減額した額を原則3〜5年間の分割で返済していきます。元金を含めて減額できるため、大幅な減額が期待できます。
また、個人再生であれば、借金を整理しつつ、自宅を残すことができます
医療費そのものというより、医療費を捻出するために作ってしまった借金を減額する方法の一つとして、個人再生を利用することができます。
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まとめ
心身の健康に不安を抱えた状態では、生活の立て直しもままなりません、立て直すために借金問題を解決しようとしても、自己破産の申立や、自己破産以外の選択肢の検討は、法律に明るくない個人では困難なことが数多くあります。
医療費が原因の借金問題にお悩みの方は、法律の専門家である司法書士に相談することをおすすめします。
まずは一度、司法書士業務の範囲内で債務整理全般に対応している当事務所までお気軽にご相談ください。
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