自己破産は、借金問題を解決するための最終手段ですが、手続きにはさまざまな調査が伴います。自己破産を検討している方にとって、「どこまで調べられるのか」という点は非常に気になるところでしょう。
特に、資産や収入、家族の状況など、どのような情報が必要になるのか、どこまで詳細に調査されるのかを理解することは重要です。
本記事では、司法書士の視点から自己破産手続きにおける調査内容を完全解説し、スムーズな手続きを進めるためのポイントをわかりやすくご紹介します。
自己破産をすると何を調べられるか
自己破産の申立てを行うと、裁判所から選任された破産管財人による調査が始まります。破産管財人は法律の専門家で、通常は弁護士が務めます。
調査の主な目的は債権者への公平な配当を行うことと、破産者の適切な免責判断を行うことです。具体的にどのような調査が行われるのか、詳しく見ていきましょう。
財産の調査
破産管財人が最初に行うのが財産調査です。預貯金口座、不動産、自動車、貴金属や美術品(20万円以上のもの)、保険、有価証券、債券といった資産が主な調査対象となります。破産者本人の申告だけでなく、金融機関や不動産登記簿なども確認されます。
財産調査の目的は債権者に配当できる財産を特定することです。ただし、生活に必要不可欠な最低限の財産(自由財産)は手元に残すことができます。調査対象となる財産の範囲は広範囲に及びますが、それは公平な処理を行うためなのです。
破産管財人は提出された資料を丹念に確認していきます。場合によっては、実地調査を行うこともあるでしょう。この過程で不自然な財産の移動などが見つかれば、さらに詳しい調査が行われる可能性があります。
借金の調査
次に行われるのが、借金の調査です。債務者が提出した債権者一覧表と、債権者から提出された破産債権届出書の整合性が確認されます。これは漏れなく全ての債務を把握するためです。
さらに、過去1~2年分の預金通帳の明細も調べられ、不自然な入出金がないかチェックされます。例えば突然の多額の出金があれば、その理由を説明する必要があるかもしれません。
借金の調査は債務の全体像を把握するだけでなく、破産に至った経緯を理解するためにも重要です。破産管財人は単に数字を追うだけでなく、債務者の置かれた状況全体を理解しようと努めます。
借金の理由の調査
借金の理由も重要な調査対象です。主に破産管財人による聴取を通じて調べられます。ここでのポイントは、免責不許可事由に該当しないかどうかです。
例えば、浪費や賭博による借金、詐欺的な行為による債務などは、免責が認められない可能性があります。破産管財人は状況を正確に把握するため、債務者から詳細な事情を聴取することになります。
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債務者の現状認識や今後の生活再建への意欲を確認する目的で、経緯や今後の計画を記した文書(いわゆる反省文)の提出が求められる場合もあります。これは債務者を非難するためのものではありません。むしろ、再生に向けた支援のための資料として活用されます。
自己破産を申し立てる際には、債務者がこれまでの経緯や反省の意を示す「反省文」の提出が求められることがあります。この反省文は、債務の原因や自身の行動についての反省を記載するもので、裁判所が債務整理の手続きを進める際の参考とされます。 正[…]
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自己破産で財産隠しをするリスク
自己破産の調査を前に不安になり、財産を隠そうと考える人もいるかもしれません。しかし、財産隠しは絶対に避けるべきです。そのリスクについて詳しく見ていきましょう。
財産隠しの危険性
故意に財産を隠す行為は、法律上重大な問題となります。まず、免責不許可事由に該当し、債務からの解放が認められなくなる可能性が高くなります。つまり、自己破産の本来の目的が達成できなくなってしまうのです。
さらに深刻なのは刑事罰の可能性です。財産隠しは破産詐欺罪に問われる可能性があります。最悪の場合、懲役刑に処せられることもあるのです。一時的な財産隠しのつもりが、取り返しのつかない結果を招いてしまうかもしれません。
破産管財人による調査は非常に綿密です。財産隠しは必ずと言っていいほど発覚します。わずかな利益のために大きなリスクを負うことは決して賢明ではありません。正直に全てを申告することが、最終的には自分のためになるのです。
財産隠しが発覚した場合の影響
財産隠しが発覚した場合、まず自己破産の申立てが却下される可能性があります。つまり債務整理の機会そのものを失ってしまうのです。債務者の誠実性が疑われ、裁判所の信頼を失ってしまうからです。
仮に申立てが認められたとしても、免責が認められない可能性が非常に高くなります。結果として借金の返済義務が残ったままになってしまいます。つまり自己破産のメリットを一切享受できなくなるのです。
財産隠しの事実は債権者にも知られることになります。信用を失った状態で債務整理を進めることは極めて困難です。一時的な財産隠しが、長期的な不利益をもたらすことを覚えておきましょう。
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自己破産で残したい財産がある場合どうすればいいか
自己破産を考える中で「この財産だけは手元に残したい」と考える人も多いでしょう。実は、そのような希望にも一定の対応が可能です。具体的な方法を見ていきましょう。
専門家への相談
まず大切なのは弁護士や司法書士など、自己破産の専門家に相談することです。素人判断で財産を隠そうとするのは最悪の選択肢です。専門家なら法律の範囲内で最大限の対応を提案してくれます。
専門家への相談は決して高いハードルではありません。多くの事務所では、経済的に困窮している人への配慮として、初回相談を無料で受け付けています。まずは気軽に相談してみることをおすすめします。
自由財産とは?
自己破産においても一定の財産は手元に残すことができます。それが「自由財産」です。生活に必要最低限の家財道具や、仕事に必要な道具は自由財産として認められます。
具体的には日用品、通常の衣服、通勤用の自転車などが該当します。仕事で使う工具なども、高額でなければ自由財産として認められるでしょう。また給与の一部も、生活に必要な範囲で自由財産として認められる可能性があります。
自由財産の範囲は法律で明確に定められていますが、個々の状況によって判断が異なる場合もあります。専門家のアドバイスを受けながら、自分の状況に合わせて判断していくことが大切です。
「自由財産拡張」の可能性
通常の自由財産以上の財産を手元に残したい場合は「自由財産拡張」の申立てを検討してみましょう。これは裁判所の判断により、生活に必要な財産を追加で残すことができる制度です。
例えば高齢者や障害者の場合、医療機器や介護用品なども自由財産として認められる可能性があります。子育て中の人なら、子供の教育に必要な物品なども考慮されるでしょう。
自由財産拡張の申立ては、専門的な知識が必要です。自己破産に強い司法書士へ相談して進めるようにしましょう。専門家のサポートを受けながら、自分の状況に合わせた最適な申立てを行うことが大切です。
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まとめ
自己破産における調査は、確かに厳密です。債務者を追い詰めるためではなく、公平な処理と新たな出発のために必要なプロセスなのです。正直に全てを申告し、専門家のアドバイスを受けながら進めていけば、必ず道は開けます。
経済的困難は誰にでも起こり得ます。自己破産は、困難から抜け出すための一つの選択肢に過ぎません。大切なのは勇気を持って一歩を踏み出すことです。一人で悩まず、専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
新たな人生のスタートを切るための支援は、司法書士などの専門家にご相談ください。当事務所では、司法書士業務の範囲内で債務整理全般に対応しています。いつでもご相談を受け付けておりますので、ぜひ一度お問い合わせください。
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当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています(司法書士業務の範囲内に限る)。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。
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