借金に苦しんでいる方にとって、自己破産は人生の再スタートを切るための有効な手段の一つです。
しかし、自己破産にはどのような手続きが必要で、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。また、手続きを依頼するなら弁護士と司法書士のどちらがよいのか、よくわからない方も多いでしょう。
そこで、弁護士と司法書士、それぞれの業務範囲と費用相場を知ることで、自分に合った方法を選択できます。
この記事では、自己破産の基礎知識から、弁護士・司法書士の役割、費用の相場まで詳しく解説していますので、借金問題でお悩みの方はぜひ参考にしてください。
自己破産の基礎知識
自己破産は、借金返済が困難になった際に新たなスタートを切るための法的手続きです。その流れ、メリットとデメリットを理解することが重要です。
次から詳しく見ていきましょう。
自己破産とは
自己破産は、法的に借金を免除する手続きの一つです。具体的には、裁判所に申し立てを行い、借金の返済義務を全て免除してもらうのです。この手続きは、個人が借金返済に行き詰まった場合や、企業が経営破綻した場合などに取られることがあります。
しかし、自己破産は単に借金が帳消しになるだけではありません。まず、免除されるまでの過程には、財産の清算も含まれています。つまり、自宅や車などの高価な財産がある場合、それを売却して債権者に分配されることもあるのです。
逆に、必要最低限の生活用品や職業に必要な道具などは保護されるため、生活が一気に困窮することは少ないでしょう。
また、自己破産後は、新たな生活をスタートさせるためのリハビリ期間ともいえます。信用情報に自己破産の情報が登録されるため、一定期間は新たな借入が難しくなるからです。
そのため、自己破産はあくまで最後の手段ではありますが、多重債務から脱却するための道筋として利用されています。
自己破産の手続きの流れ
自己破産の手続きは、基本的に申し立てから始まります。まず、借金が返済不可能であることを証明するための書類を準備し、裁判所に提出するのです。
次に、裁判所は提出された書類を検討し、破産手続きの開始を決定します。この時点で、債権者からの取り立ては一時的に停止されるため、精神的な負担も軽減されるでしょう。
その後、裁判所は破産者の財産を調査し、必要であれば財産を売却して債権者に分配します。これには一定の期間がかかりますが、通常3~6ヶ月で解決するケースが多いようです。ここでのポイントは、誠実に全ての財産を開示し、裁判所の指示に従うことです。
免責審尋では、裁判官が破産者に対して事情を確認し、本当に借金返済が不可能であるかを最終的に判断します。この過程が終了すると、免責許可決定が下され、正式に借金返済義務が免除されるのです。
この一連の流れを経ることで、自己破産が成立します。
自己破産のメリットとデメリット
自己破産の最大のメリットは、借金返済義務が全て免除される点です。その結果、債権者からの取り立てが止まり、経済的な負担が軽減されるでしょう。
また、多くの借金問題から解放されることにより、精神的なストレスも軽減され、新たなスタートを切るためのチャンスが生まれます。
さらに、生活必需品や職業に必要な道具は保護されることから、最低限の生活を維持できるため安心です。
しかし、デメリットも無視できません。まず、信用情報に自己破産の情報が登録されるため、約7年間は新たな借入が難しくなってしまいます。自己破産情報は審査に不利となり、住宅ローンやクレジットカードの利用にも影響を及ぼすでしょう。
また、高価な財産がある場合は、それを売却して借金返済に充てなければならないため、生活水準が一時的に低下する可能性があります。
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弁護士と司法書士の業務範囲の違い
自己破産手続きを進める際、弁護士と司法書士のどちらに依頼するかは大きなポイントです。それぞれの役割と業務範囲の違いを理解することで、適切な選択ができます。
ここからは、その違いについて詳しく説明していきましょう。
弁護士の役割
弁護士は、自己破産手続き全般を代理することが可能です。具体的には、裁判所に対する申し立てから、裁判官とのやり取り、債権者との交渉まで、全ての手続きを依頼者に代わって行います。
弁護士が手続き全般を担ってくれることで、依頼者は手続きに関する深い知識を持たなくても問題なく自己破産を進められるでしょう。
司法書士の役割
司法書士は、自己破産の申立書類の作成を代行する専門家です。
弁護士のように裁判所での代理人となることはできないため、裁判所への出頭や裁判官とのやり取りは、依頼者自身が行う必要があります。これは、自己破産手続きにおける弁護士と司法書士の大きな違いといえます。
ただし、司法書士は法的知識を持ちながらも、費用が弁護士よりも安価であることが多いのが一般的です。そのため、コストを抑えながらも法的サポートを受けたい方にとって、司法書士の選択は有力といえます。
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認定司法書士の特例
認定司法書士は、140万円以下の案件に限り、法律相談や交渉、訴訟を行えます。つまり、認定を受けた司法書士は、通常の司法書士より一歩進んだ法的サポートを提供できるのです。
ただし、地方裁判所での代理権はありませんので、自己破産手続き全般を代理することはできません。
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自己破産にかかる費用の相場
自己破産を考える際に、最も気になるのは費用ではないでしょうか。弁護士や司法書士に依頼する場合の相場を知っておけば、計画的に手続きを進められます。
ここでは、各専門家に依頼する際の費用に関する情報をお伝えします。
弁護士費用の相場
弁護士に自己破産の手続きを依頼する際の費用は、手続きの種類によって大きく変わります。
まず「同時廃止事件」の場合、手続きが比較的簡単で破産管財人が選任されないため、費用も抑えられ、約30万~50万円が相場となっているようです。
次に「少額管財事件」では、破産管財人が選任されるものの、手続きが簡略化される一方、費用は50万~60万円程度に上ります。
そして「通常管財事件」では、さらに複雑となり破産管財人の調査が必要なため、相場は50万~80万円と高くなる傾向にあります。
司法書士費用の相場
司法書士に自己破産の手続きを依頼する場合の費用は、弁護士に比べてやや低価格に設定されています。
「同時廃止事件」では、約20万~30万円が相場とされています。一方、「少額管財事件」の場合は、20万~50万円程度が見込まれるようです。
法テラスの利用
法テラス(日本司法支援センター)は、法的問題を抱えている人々のために設けられた公的な支援機関です。自己破産手続きを進めるにあたって、弁護士費用や司法書士費用の負担が大きい場合、この法テラスを利用すると大いに助かるでしょう。
法テラスでは、収入や資産が一定以下の条件を満たしていれば、弁護士や司法書士の費用を立て替えてもらえます。これは「民事法律扶助」と呼ばれる制度で、利用するには所定の審査が必要です。
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よくある質問
自己破産を検討する際によくある疑問について解説していきます。
自己破産をすると家族に影響がありますか?
自己破産を行うことで、家族に直接的な法的影響が及ぶことはありません。家族の財産や収入が差し押さえられる心配はないため安心してください。
ただし、保証人を立てている場合は、返済義務が生じる可能性があるため注意が必要です。
いずれにしても事前にしっかりと話し合い、適切な対応策を講じることが重要だといえます。
自己破産をすると仕事に影響がありますか?
自己破産をしたからといって、その事実が会社に知られたり、職業に影響を及ぼしたりすることは基本的にはありません。
ただし、破産手続き中に資格制限を受けることから、以下のような一部の職業には就けなくなります。
- 弁護士
- 公認会計士
- 税理士
- 司法書士
- 警備員 など
自己破産を検討する際には、勤務先の就業規則や関連法規を確認し、必要に応じて信頼できる専門家に相談することを強くお勧めします。
また、就業先に自己破産の話をするかどうかも、慎重に考えるべき問題です。
自己破産の手続き中に必要な書類は何ですか?
自己破産の手続きに必要な書類の一例は以下のとおりです。
- 自己破産申立書
- 陳述書
- 住民票・戸籍謄本
- 給与明細など収入がわかる書類
- 預貯金通帳の取引明細のコピー
- 源泉徴収票・課税(非課税)証明書
- 居住地がわかる証明書
- 資産目録
- 債権者一覧表
- その他、必要な書類
ただし、状況や手続きによりますので、詳細は当事務所までお問い合わせ下さい。
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まとめ
自己破産は借金の返済が困難な場合の最終手段として検討される方法です。手続きには一定の期間と費用がかかりますが、弁護士や司法書士に依頼することで円滑に進められるでしょう。
弁護士は自己破産手続き全般を代理できるのに対し、司法書士は申立書類の作成が中心です。
費用面では司法書士の方が安くなる傾向にありますが、事案によっては弁護士に依頼した方が良い場合もあるため、事前に十分な相談をすることをおすすめします。
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当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています(司法書士業務の範囲内に限る)。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。
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