昨今、詐欺の被害に遭われたことによって借金苦に陥る方が急増しています。
特に最近は物価高の影響や円安傾向が続くなど、日本の経済が今後どうなるのかといった部分で悲観的な考えを持たれる方も多くいらっしゃいます。
そうしたところにまるで「光明」が差したかのように「毎月4%の配当が出る。それも何もしなくてもよく、お金を預けるだけで配当収入を得ることができる」といった甘いささやきをする不逞の輩が増えてきています。
2023年2月初旬、東京都内の投資コンサルティング会社「フリッチクエスト(FRich Quest)」の社長である森野広太容疑者および早川直道容疑者ら数名が、警視庁によって逮捕されました。
警視庁が報道各社に発表した逮捕容疑によれば、容疑者らは「毎月4%の配当金が得られる」などとして実体のない投資商品への出資金を募ることにより、もって5,680万円を日本国内の複数の男女から詐取せしめた容疑がかかっています。
また極めて悪質なことに、犯人らは「出資金を用意する気持ちはあるが、現実問題としてお金を用意できない」といった人に消費者金融などを紹介することによってお金を借り入れさせ、その借り入れたお金を出資金に充てさせていたということも明らかになっています。
こうした被害に遭われる方が多いという状況を鑑み、今回はフリッチクエストによる詐欺の全容を解説するとともに同様の投資詐欺の予防策や、万が一こうした投資詐欺に遭遇してしまった場合の対処法を分かりやすくご紹介していきます。
特に投資詐欺で作った借金についてお困りの方はぜひ参考にしてみてください。
フリッチクエスト代表が逮捕|出資していた人の借金はどうなる?
投資コンサルティング会社「フリッチクエスト」の代表らが警視庁によって逮捕されたことは、冒頭でお伝えした通りです。
結論から申し上げますと、こういった詐欺グループは逮捕摘発された段階ですでに手元に資金がないケースが多く、また、資金があったとしても被害弁済を満額で受け取れるかどうかはまた別の話になります。
借金をしてこうした不貞の輩にお金を渡してしまっていた場合、その借金の返済は原則として被害者の方に責任が生じることになってしまいます。
これは日本の民事現行法上、致し方のないことでもあります。
また、それとは別に実務上支払いが滞ることによって個人信用情報等にも悪影響を及ぼす可能性が高いことから、詐欺の被害は詐欺の被害として、またご自身の借金問題は借金問題として適切に対処していく必要があると言えます。
※こうした被害にあわれた方が借金をどのように対処すべきかについてはこの記事の後半で詳しく解説しております
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報道にみるフリッチクエストの詐欺についての情報
一部報道によるとフリッチクエストは2016年3月から6年間で全国延べ3300人ほどからおよそ200億円をだまし取っていたとみられており、警察では余罪の追求も含めて捜査を進めている状況にあります。
ここでは報道されている内容等をもとに、どういった手口でお金を騙し取っていたかについて解説していきます。
手口1:ターゲットに接近し意気投合
なお実際に被害に遭われた方に取材を行った産経新聞の記事によれば、26歳の女性看護師の方はこのフリッチクエストの社員から
などと投資を持ちかけられ、結局600万円もの大金をだまし取られていたということが明らかになっています。
手口2:嘘の理由で消費者金融等からお金を借りさせる
この時、手口としてすぐにお金を用意できない女性に対して消費者金融と銀行など合計7社から600万円を借りるように指南していました。
その際、金融機関等には結婚式の費用と話すと借りやすいなどと嘘の理由でお金を借りさせるように持ちかけたということも明らかになっています。
手口3:頃合いを見て配当を停止
配当については出資を行って以降合算すると合計で360万円程度の配当があったものの、それ以降は令和3年年末を最後に配当がストップし、後刻開催された説明会の中で「当局の介入がありお金を出すことができなくなった」と説明があったということです。
手口4:再契約による法的リスクの回避
さらに悪質なことに犯人グループ側はこうした出資契約に関して再契約を持ちかけ、20年間の毎月分割による出資額の一部弁済を契約書面に落とし込んでいることにより、民事上の責任や刑事上の追求を逃れようとした疑いもあります。
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【予防策】投資詐欺を回避するには?
投資先の素性・情報を徹底的に調査する
投資会社や人物の背景情報を徹底的に調査することが重要です。
これは、彼らの評判、資格、財務履歴を調べることを含みます。会社や活動の正当性を確認しましょう。
詐欺師の常套句を押さえておく
これらのフレーズは、人々を投資に誘い込むためによく使われます。リスクなしで高いリターンを約束したり、投資が政府機関によってバックアップされていると言ったりします。
なお、今回のフリッチクエストが使用していたかどうかに関わらず、投資詐欺では以下のようなフレーズが常套句としてよく使用されますのでまとめておきます。
フレーズ | 隠された意図 |
---|---|
「確実な利益を保証します」 | 不安を感じさせず、かつ投資へのハードルを下げたいが実際は確実な利益幅を保証していないため、どれほど儲かるか不明。極論1円でも儲かればウソはないことになるケースも。 |
「今しかない、大きな利益を得るチャンス」 | 緊急性を感じさせ、急いで行動させる。考えるスキを与えない。 |
「〇〇党の議員が絡んでいます」 | 心理学における「ハロー(後光が指すの意)効果」を悪用している。権威ある人物が絡んでいることを告げ、思考ハードルを下げる。実際に絡んでいることはほぼ無い。 |
「他の人も参加しています」 | 日本人には特に使われるフレーズであり「右に倣え」を地で行くフレーズだが被害が後を絶たない |
「私も投資しています」 | 根拠がないにも関わらず信頼感を作り出し、投資をするハードルを下げる。実際に詐欺師が投資していた事実があったとしても、それが利益保証につながる訳では無いことに注意 |
あまりにも良さげな投資には裏があると心得る
あまりにも良さげに見える投資は、たいてい裏がある、ということに注意してください。
もし「言語化出来ないが、あまりにも話が良すぎる」と感じたら、それは詐欺である可能性が高いといえます。
投資に「絶対」は無いと知る
投資に「絶対」は無いという事を覚えておいて下さい。
常にリスクがあり、リターンが保証されている投資はありません。投資をする前に、その投資について十分に調べ、リスクを理解するようにしましょう。
被害に気づいたらすぐに対応をとる
投資詐欺の被害に遭ったら、迅速に行動することが重要です。
関係機関に連絡し、資金を回収するための手続きを行ってください。捜査に役立つよう、投資に関する記録や書類はすべて保管しておきましょう。
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【対処法】投資詐欺で借金を背負ってしまったら?
それでは、こういった投資詐欺によって不幸にも借金を背負ってしまった場合にはどういった対処法が取れるでしょう。
ここでは現実路線で実効性のある対処法について、いくつかのパターンをご紹介していきます。
自力で返済する
まずは、自分で借金を返済してみるという選択肢があります。
そのためにはまず月々の収支を正確に計算し、予算を立て、時にはFPの様な緻密な計算が必要になることもあります。
さらに無駄な出費を控える、交際費を極限まで削るなど、やはり相当な努力が必要です。
また状況によってはカード会社やローン会社などの「債権者」へ連絡し、返済計画について交渉する必要があります。
これは精神衛生上大変に神経を使うことですから、可能であれば司法書士へ交渉を任せてしまう、という考え方も重要です。
ところで、詐欺に遭われた方はまるで、ご自身に罰を与えるかのようにこうした苦行とも言うべき行動に出られるケースもあります。
ご自身を取り巻く環境がすでに大変な状況というケースも多いので、ご自身を責めず、今後に向けて1日も早く、心から、そして「腹の底から」笑える、笑顔になれるようになることが最大のリカバリーであると考えても良いでしょう。
また、こうしたことが詐欺師へ一矢報いることでもあるという考え方にシフト・チェンジしていくことも大切です。
「明けない夜はない」というように、解決できない借金問題はない、というのが我々、債務整理関係に強い、あるいは様々な現場を見てきている人間の共通見解です。 しかし一般の方の多くは借金問題で大変に苦しみ、中には救済措置や専門家の介入が必要な[…]
返金要請を行う
投資詐欺の被害に遭った場合、適切な専門家に相談することでお金を取り戻すことができるケースもあります。
詐欺師の中には「(逮捕リスクが上がってしまうから)専門家から返金要請があれば応じてしまったほうが効率がよく、トータルでも利益が大きくなる」との打算的な考えから、すんなりと返金要請に応じるケースもあります。
任意整理を行う
債務整理という考えもあるでしょう。
債務整理には大きく3種類の方法があり、まず選択肢として検討したいのが、この任意整理という方法です。
任意整理は、債務者が債権者と直接交渉し、無理のない方法・期間・金額で債務を返済するといった合意を成立させる方式による債務整理を指します。任意整理の主なメリットは、裁判上の手続きを介さず、家庭や仕事に悪影響を与えないことです。
また、債務者がどの債務を整理の対象にするかを選択できるため、保証人がいる債務を除外したり、家や車などの資産を残したりすることも可能であるなど、メリットが多い方法と考えてよいでしょう。
任意整理による債務整理手続きにおいては、一般的な期間として、3ヶ月から6ヶ月を見込む必要があります。この後から返済が開始となることには注意が必要です。
また、複数の債権者が絡んでいる場合は、すべての交渉が完了するまでに6ヶ月以上かかることもあります。
最終的に任意整理を行った債権者と和解に至った後は、順次合意した金額・期間で返済を開始していくことになります。完済までには、おおよそ5年程度かけるようなイメージで司法書士などが交渉にあたることになります。
債務の額としては「今後5年間で完済出来る金額」であれば十分に任意整理で対応可能というケースが多数派です。
個人再生手続きを行う
債権者の数が多く、また任意整理の枠組みによっても今後返済がなかなか現実的に難しいという場合には、裁判所が介入する「個人再生手続」を行う必要があるケースもあります。
個人再生については裁判所が介入し、再生委員等の再生計画認可が関わることによって一定の法的拘束力を持つ手続きという形になります。
こちらでは債務の額を裁判上の手続きによって一定額まで減額・圧縮し、それらを提出した再生計画に基づき数年間をかけて返済をしていくという方法となります。
元本のカットや圧縮はほぼ不可能とされている任意整理と比較しても、法的な力で元金そのものを圧縮していく効果があります。
また自己破産よりも制約が少なく、例えば住宅ローンなどの生活に直結するような債務については手続きの対象から除外するといった特則も一部利用できるなど、任意整理と自己破産手続きの中間に位置するような効力の債務整理方法となります。
自己破産手続きを行う
自己破産は破産法に基づく日本における債務整理の中で最も効力が強く、伴う制約も多い手続きです。
原則、免責許可決定が出ればすべての債務が帳消し(免責)となりますので、債務整理としては最強の方法でもあります。
ただしそれゆえに制約も多く、基本的に財産を手放し、換価し、それらを債権者で平等に分けることになったり、自己破産手続き中に特定の債権者へ便宜を図ることが禁止されています(偏頗弁済の禁止)。
状況によっては自己破産手続きが完了するまでの間旅行・転居が制限されたり、そもそも事情によっては免責が降りずに自己破産できない、といったケースもあるなど全体的な難易度は高い方法でもあります。
とはいえ、詐欺被害に遭われてしまい、自助努力ではもはや対処のしようがない、といった場合は経済的な再起を図るため、こうした方法を取らざるをえない(却って、取った方がよいケースもありますが)こともあります。
債務整理の方法 | 概要 | 特徴 |
---|---|---|
任意整理 | 現在の債務につき督促や取り立てを停止し(※当事務所なら最短即日停止OK)、向こう5年程度をかけて完済できるように返済金額・スケジュールを任意で交渉する。基本的に代理人が交渉を行う。 | 裁判所の手続きを伴わず、家族や仕事に悪影響を及ぼさないことが多い。 特定の債権者を手続きから除外したり、家や車などの資産を残したりできる。 |
個人再生 | 裁判上の手続きによって再生計画にのっとり、債務の元本を含め一定水準まで減額が可能。法的拘束力あり。 | 再生委員が再生計画を承認しなければならない。住宅ローンなど一部の債務を除外できるケースあり |
自己破産 | 債務整理の中で最も強力な手段で、免責許可決定が降りれば原則としてすべての借金が免責(帳消し)される。 | 制約が多く、手続き中は破産法に基づく移動制限や就業制限がつくケースあり |
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まとめ
今回は「フリッチクエスト」が200億円もの大金を全国の男女からだまし取っていたという悪質な投資詐欺案件が発覚し、警視庁が逮捕摘発を行った事態を受け、投資先において借金に苦しむ方のための対処法・そもそも投資詐欺の被害にあわないための対処法等についてご紹介していきました。
むしろこうした事案は早めに対処を行うことが肝要であり、まさしくスピード勝負といって過言ではありません。
当事務所ではこうした緊急性のある事案も含め、24時間365日いつでも受付が可能な相談窓口を設置して借金苦にお悩みの方からのご相談を受付しております。
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当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています(司法書士業務の範囲内に限る)。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。
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