近年、どの携帯キャリア会社でも、いわゆる携帯キャリア決済をサービスとして提供しています。
それに伴って、昨今の厳しい経済情勢も背景にあるためか、このキャリア決済の現金化に手を出す人が増加傾向にあります。
しかし、キャリア決済現金化に手を出すことは、大きな危険性を孕んだ行為であることに注意しなければいけません。
そこで今回は、携帯キャリア決済現金化の危険性について、キャリア決済の特性を踏まえつつ、詳しく解説していきます。
【注意喚起】携帯キャリア決済枠を現金化し、多重債務に陥る事例が増えています
結論から言えば、携帯キャリア決済枠の現金化を発端として、多重債務に陥るケースが増加しています。
多重債務へと至る道筋はいくつかありますが、キャリア決済現金化は、そのキャリア決済自体の特性や、その普及度などから、今後とも大きな注意を必要とする発端であると言えます。
特に、複数回線を有している利用者がキャリア決済現金化に手を出すパターンでは、多重債務に陥る可能性がさらに高いものとなります。
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キャリア決済現金化とは
ここではまず、キャリア決済現金化とはどのようなものか考える前提として、まずキャリア決済現金化をしようとする人が出てきてしまう背景に着目して、説明していきます。
ポイントは以下の3点です。
- 毎月の料金に合算できる後払い決済枠
- 個人信用情報にかかわらず、携帯料金の支払い状況によって利用可能
- 高額な枠がつくケースも多い
ポイント1:毎月の料金に合算できる後払い決済枠
まず、キャリア決済とはなにかについてみていきます。
キャリア決済とは、携帯電話(スマホ)の毎月の料金に合算できる後払い決済枠のことです。
この「後払い(支払い時には現金は払わなくてよい)」というところが大きなポイントになってきます。
後払いならば、とりあえず手元に現金がなくても、なんらかの商品を購入することができます。その上で、購入した商品を現金化できれば、手元に現金を得ることができる、というわけです。
ポイント2:個人信用情報にかかわらず、携帯料金の支払い状況によって利用可能
キャリア決済について、次の大きなポイントは、個人信用情報にかかわらず、携帯料金の支払い状況によって利用可能になる点です。
ポイント1で少し触れましたが、キャリア決済におけるお金の動きの性質はクレジットカードのそれと似ています。
クレジットカードにおいては、それが利用可能であるかどうか(新規に作れるかどうかなど)は、CICなどが保有する信用情報によります。
収入の有無や過去の債務履歴などによっては、クレジットカードの利用ができないこともあります。
これにより、キャリア決済およびその現金化は、多重債務を抱えているような方でも利用可能になる(※)、というわけです。
※:厳密には、個人信用情報がまったく考慮されないわけではありません。TCA(電気通信事業者協会)による不払い者情報の交換により、該当する人物は携帯電話の新規契約やキャリア決済ができないケースもあります。
ポイント3:高額な枠がつくケースも多い
キャリア決済の3つめの大きなポイントは、高額な枠がつくケースも多い、という点です。
枠自体が低額であれば、現金化の対象として注目されることもないかもしれませんが、キャリア決済の枠は思いのほか高額です。
例えば、大手三大キャリアのキャリア決済の上限額は次のようになっています。
- Docomo:~10万円
- au:~10万円
- SoftBank:~10万円
なおこれらは、「契約者又は利用者の年齢が20歳以上であり、かつ一定期間以上の回線契約と良好な支払い状況の場合に適用される上限額」となっています。
一定期間以上、良好な支払い状況にある回線契約さえあれば、高額の決済が可能というわけです。
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キャリア決済が使えるもの・サービス
では、キャリア決済を使って購入できるものやサービスにはどのようなものがあるのでしょうか?
ここではこれについて主なものをみていきます。ここから見えてくるのは、いかに近年キャリア決済が身近なものなっているのか、ということです。
デジタルコンテンツの利用代金
まず、キャリア決済が使えるサービスとして、デジタルコンテンツの利用代金が挙げられます。
大手動画配信サイトのNetflixは、これまではキャリア決済はできませんでしたが、2022年10月から「auかんたん決済」のみですが、キャリア決済に対応しました。
大手通販サイトの支払い
キャリア決済は、ネット通販と大変相性がよく、キャリア決済を利用できる大手通販サイトもいくつかあります。
一部の通信事業者のキャリア決済のみ利用可能というサイトもあります。例えば、無印良品では、NTT docomoのd払いのみ利用可能です。
フードデリバリーサービス
新型ウィルス流行禍において注目を集めてきたフードデリバリーサービスのいくつかでも、キャリア決済が利用可能です。
ただし、この業種の中でもっとも名前の知られているUber Eatsでは、キャリア決済はできません。
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キャリア決済でギフト券・金券類は購入できない?
上でも少し述べたように、キャリア決済は、クレジットカードのショッピング枠と同じような性質を持っています。
キャリア決済が浸透し始めた今から10年ほど前は、一部の事業者で直接ギフト券や金券類を購入することができました。そのため、抜け穴的にキャリア決済でギフト券を購入して、現金化を行うケースもありました。
一方で、一部の大手通販サイトやデジタルコンテンツの販売事業者のサイトの中には、一部の商品として換金性の高いギフト券や金券類が陳列されており、これらをキャリア決済を使って、現金化のために購入することが可能な場合もあります。
※業者によっては業者がキャリア決済の現金化の方法を直接的に教唆したという事実を避けるためか、全く別のブログサイトを用意しておき「詳細はこちらのブログ記事に書かれている」などとして案内をするケースもあります。
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キャリア決済現金化が危険な理由
ここでは、キャリア決済現金化が危険な理由について詳しくみていきます。
携帯電話が強制解約になる可能性がある
まず第一に、キャリア決済現金化が携帯電話の強制解約につながる可能性です。
なお厳密には、携帯電話のキャリア決済現金化が直接的な強制解約の原因になるわけではありません。
多重債務に陥る可能性がある
キャリア決済現金化に手を出す人は、いわゆる自転車操業状態に陥っているケースが多くみられます。これは、本来の融資やローンの商品利用でまかなえるような状況でないにも関わらず、強制的にお金を借り入れる形で資金繰りをしているという状況です。
家族に迷惑がかかる可能性がある
キャリア決済現金化について、最も注意しておきたいポイントは、携帯電話回線については、名義が家族名義であったり、支払いを一括でまとめるために利用者と契約者の名義が実際には異なるというケースが多々ある、ということです。
こういった回線でキャリア決済の現金化を行うと、請求が全て契約者又は支払先に指定されている人物へ行くことになります。状況によっては、本来の契約者であるご家族に迷惑がかかる可能性があります。
つまり、家族の誰かがキャリア決済現金化に手を出すことが発端となって、家族全員の回線が使えなくなることもありうる、ということです。十分に注意しましょう。
裁判沙汰になる可能性がある
近年、携帯キャリア各社は、支払いが遅れたユーザーでなおかつその支払い遅れが長期にわたる案件について、積極的に裁判を起こす傾向にあります。
携帯キャリア会社から裁判を起こされなくても、弁護士事務所から督促や請求が来るケースが多々あり、結果的に社会的信用を失う恐れもあります。
【要注意】複数回線での現金化によって多額の借金を負う可能性がある
キャリア決済現金化については、「複数回線での現金化によって多額の借金を負う可能性がある」ということも注意しておきたいポイントです。
携帯電話の契約では、運用期間に応じて決済枠が決まることになるため、それぞれの回線で月10万円など高額なキャリア決済枠が残っているケースがあります。
一般的に、人は資金繰りに窮すると使えるものはすべて使おうとする精神状態になってしまいがちです。そのため、場合によっては休眠状態にあった携帯回線のキャリア決済枠も全て現金化してしまうケースがあります。
携帯キャリア各社では、基本的には分割払いや支払い遅れに関する相談を受け付けてくれません。支払いが遅れれば、即座に裁判手続きに移行されても文句が言えない状況といえます。
こうした事案で、一気にその家族全体が多重債務状態となり、さらにそこから連鎖的に違法金融からの借入に手を出してしまうフェイズに進行し、結果、日常生活を送れない状況に陥るケースも多々みられます。
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まとめ
今回は、キャリア決済現金化に手を出すことによって、どのような危険性があるのかについて、キャリア決済の特性なども踏まえつつ、解説してきました。
キャリア決済現金化に手を出そうとしている人、手を出してしまった人、どちらにも今必要なことは、任意整理をはじめとする債務の整理です。
そしてそのような債務整理は、関連する制度や法律に詳しくない方だけでは、実現が難しいものです。債務整理に強い司法書士・弁護士を擁する法律事務所へのご相談をおすすめします。
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