令和7年4月22日、大阪地裁が「先払い買取業者」に対して賠償命令を下しました。司法が「先払い買取」を実質的に闇金業者と認定した画期的な判決といえます。
当サイトでも紹介しているように、今回問題となった「先払い買取業者」は、その契約の態様の違法性が高く、金融庁・警察もマークしている危険な業者です。今回は、実際の判決を例に、業者の手口と、万が一利用してしまった際の対処法を紹介します。
令和7年4月22日大阪地裁から先払い買取業者に賠償金の支払いを命じる判決
先払い買取業者に対し、貸金業法違反の実質的な貸付けであるとして、民事事件初の賠償命令が出されました。今回の判例は、今後の被害者救済に大きな意味を持つでしょう。
実際の判決内容と、その意義について詳しく見ていきましょう。
先払い買取業者に賠償命令
大阪府・兵庫県の男性複数名が「実質的なヤミ金」だとして、先払い買取業者に対して訴えを起こした裁判が、令和4年に行われていました。そのうち大阪府の一人の男性は、業者に対して約80万円の賠償を求めており、4月22日に判決となっています。
訴訟では、大阪地裁が業者側に約73万円の賠償を命じました。皆川更裁判官は「実質的な貸付けに当たり、高利率で貸金業法に違反している」と述べ、買取業者の業態が実質的には金銭の貸付けであると認定しました。
男性は令和2年頃から約2年間でサービスを23回利用し、違約金と買取額の差額は年利に換算すると305~686%に上ると主張していました。裁判所は男性の主張を認め、先払い買取業者の行為を違法であると断定する判断を下したのです。
民事事件で先払い買取業者に賠償が命じられたのは初めて
「買い取り・現金先払い」をうたう業者に商品の写真を送り現金を得た結果、高額な違約金を求められた事例で、民事裁判で賠償が認められた初のケースです。今回問題となった業者は、提訴を受けて2023年に閉鎖しており、悪質な業者が賠償責任を問われた重要な判例となりました。
判決は今後の同様の事件が発生した際の、司法判断の基準となります。法律トラブルは、最後まで突き詰めると法廷で決着を付けることとなるため「裁判になったら勝てないかもしれない」という事実は、有効な交渉のカードとなるのです。
この判例は、先払い買取業者の被害に苦しむ人の救済に大きく役立つでしょう。それだけ司法が明確に「違法」と判断した意義は大きいのです。
先払い買取の違法認定で新たな闇ビジネス誕生の可能性も
裁判所は、先払い買取業者の行為を「実質的には貸金業」と認定し、貸金業登録なしに高金利で貸付けを行う違法行為であると明確に判断しました。これを受けて、今後先払い買取から新たに違法なビジネスに移行する可能性があります。
金銭的に困窮していると、さまざまな闇ビジネスに狙われやすくなります。家計を強く維持し、どのような違法業者とも縁を持たずに済むようにしましょう。「おかしいな」と思ったら、違法業者に詳しい司法書士に相談することも大切です。
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判決に登場する先払い買取業者とは
今回判決に登場した先払い買取業者とは、どのような業者なのでしょうか。どのように消費者を騙し、金銭を搾取しているのか、その手法を詳しく見ていきましょう。
中古品買取やチケットショップを装う「新型闇金」の一種
一言で言うなら、先払い買取業者は中古品買取やチケットショップの振りをしている違法業者です。
金券やパソコンなど物品の写真を業者に送って査定を依頼し、買い取り額の先払いを受ける仕組みを装っています。特徴的なのは「最短10分で現金が手に入る」「商品写真を送るだけですぐに現金が手に入る」などの甘い誘い文句です。一見合法的に見えますが、実態は古典的な高金利貸付と変わりません。
高額なキャンセル料を要求し実質的な貸付けを行う
先払い買取では、代金支払後に取引をキャンセルし、買取代金(貸付金)に手数料を上乗せした「キャンセル料」を支払わせることが前提となっています。
キャンセル料と買取代金の差が実質的な利息であり、年利換算だと1000%を超える超高金利に設定されていることも珍しくありません。
あくまで「買取のキャンセル料」として請求するため、一見すると貸金業法の規制外に見えますが、実質は高金利の貸付行為に他なりません。
古物商許可を取得した上で営業していることもあり悪質性が高い
先払い買取の中には、中古品販売のための古物商許可を取得しているところもあります。一見正規の業者に見えるため、利用者が警戒心を解きやすく、被害に遭いやすいのです。
合法的に運営している他社の屋号と番号を無断で使用し、なりすまし営業をしていることもあります。古物商許可を取得していない場合は論外ですが、取得しているからと言って安心とは言えないのが現実です。
闇金業者が「復業」として運営しているケースもある
従来の闇金業者が取り締まりを逃れるために新たな手口として「先払い買取」という形態を採用しているケースがあります。系列業者同士での情報共有を行い、一度利用した人に複数の業者から勧誘が行われることもあります。
反社会的勢力が関与しているケースでは、個人レベルでの解決はほぼ不可能です。専門家の助けを借りることが解決への近道となるでしょう。
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先払い買取業者の手口
先払い買取業者は、悪質性が高くその実態はほとんどヤミ金業者そのものです。どのように違法な金利で貸付を行い、被害者を追い詰めるのか、その実態を紹介します。
年利換算で数百%~時には数千%にのぼる高利で貸付けを行う
大阪地裁の判決では、違約金と買取額の差額は年利に換算すると305~686%に上ると認定されました。こうした超高金利の貸付けは、先払い買取業者では珍しくありません。
「LINEだけで手続きを完結できる」「ブラックでもOK」などと手軽さをアピールし、高金利であっても利用させる手口を使っています。金融機関から借入ができない状況の人々を狙い、法外な金利で金銭を搾取するビジネスモデルなのです。
返済できない場合は脅迫を伴う取り立てを行う
支払いが滞ると、執拗な電話やメッセージの送信による取り立てを行いプレッシャーをかけます。職場などへの脅迫を伴う取立てを行うなど、被害者の名誉を傷付ける取り立ても好んで行い、社会生活に大きな影響を与えることも少なくありません。
借りた額よりも何倍も多額のお金を搾り取られるケースがほとんどで、被害が長期化しやすいです。一度利用してしまうと、返済のために別の業者からも借りる「多重債務」に陥るリスクも高くなります。
申し込み時に過剰な個人情報を取得し周囲にまで嫌がらせを行う
申し込みの際に住所や勤務先、家族の連絡先など多くの個人情報を要求し、返済が滞った際の取立てに利用するのは、先払い買取業者の常とう手段です。取得した個人情報が他の闇金業者に流出するリスクもあり、複数の業者から勧誘や取立てを受けることもあります。
ときには配偶者や親戚の職場、子どもの学校にまで取立ての連絡が行われることも。プライバシーが侵害され、社会的信用を失うリスクがあるため、特に注意が必要です。
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先払い買取業者と関わってしまった際の対処法は?
もし先払い買取業者を利用してしまった場合、どのように対処すべきでしょうか。
法的な観点から見た対処法や、専門家に相談する方法について解説します。
実質的に違法な貸付けであれば法的に無効で返済義務はない
先払い買取業者によって、違法な高金利での貸付けが行われている場合は貸金業法違反であり、民法の不法原因給付に該当する可能性もあります。違法な金利での契約は無効となるため、法的には返済義務がありません。
今回紹介した大阪地裁の判決でも、先払い買取業者の行為が違法であることが認められており、男性が請求した金額のほぼ全額の賠償が命じられています。
ただし、「無効だから」と業者からの取り立てを無視したり、放置するだけでは解決には繋がりません。専門家の力を借り、適切に対処することが必要です。法的には支払う必要がないとはいえ、業者は容易に引き下がらないのが現実です。
悪質な取り立てを受けた際は警察に相談できる
違法な取立て行為を受けた場合は、警察に相談することができます。警察への相談時には、業者とのやり取りの証拠(メッセージやメールのスクリーンショット、通話録音など)を保存しておきましょう。
ただし、警察には「民事不介入」の原則があり、早期の解決は期待できないこともあるため、専門家への相談と並行することが大切です。警察への相談は、特に脅迫を伴う取立てを受けた場合に検討すべき選択肢となります。
早期解決を望むなら司法書士の無料相談を利用
闇金問題に強い司法書士や弁護士に相談することで、督促の停止など専門家から業者へ交渉してもらうことができます。多くの司法書士・弁護士事務所が無料相談に対応しており、LINEなどで気軽に相談可能です。
専門家は法的知識と交渉ノウハウを持っており、問題解決に向けて適切な対応を取ってくれるでしょう。
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まとめ
大阪地裁の画期的な判決により、先払い買取業者の行為が違法であることが司法に認められました。
もし既に先払い買取業者と関わってしまった場合でも、返済は拒否できる可能性があります。ただし個人での対応は危険が伴うため、違法業者の対応に詳しい専門家へ相談するようにしましょう。
当事務所では先払い買取業者に関する相談も随時受け付けています。まずは一人で悩まず、専門家に相談されてみてはいかがでしょうか。
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委任契約後は闇金業者に対してスピーディに受任通知を送付し、最短即日中に取り立てを停止します。当事務所はご依頼者様のご要望を第一に闇金業者と交渉します。お気軽にご相談ください。
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