「生活費が足りなくて困っている」
こんな悩みを抱えている方は少なくないでしょう。
債務整理の最中はさまざまな制限がかかります。特に、お金を借りることについては厳しい状況に直面することがほとんどです。
ただし、まったく方法がないわけではありません。
この記事では、債務整理中にお金を借りる方法や注意点、そして安心して生活するための資金繰りのコツをわかりやすく解説します。
債務整理中でもお金を借りることはできるのか?
債務整理中の新たな借入れは簡単ではありません。債務整理中には、原則として借り入れが制限されるからです。
ここでは、債務整理中にお金を借りたいと思った場合に知っておくべきことを解説します。
債務整理とは
そもそも債務整理は借金の返済に困った時の法的な解決方法です。返済が滞りがちになる、督促の電話が増える、生活費を切り詰めても返済が追いつかないといった状況に陥った時の「合法的な解決策」として機能します。
私達が暮らす日本では借金問題を抜本的に解決する手段として「任意整理」「個人再生」「自己破産」といった選択肢が法律あるいは関連する法令・法規で定められています。
こうした制度は、債務者の生活再建と債権者の利益保護のバランスを取りながら、社会全体として健全な経済活動を維持することを目的として運営されています。では、それぞれかいつまんで概説していきます。
任意整理は債権者と協議しながら借金を整理する手続きで、基本的には裁判外での手続きとなります。
具体的には弁護士や司法書士が代理人として債権者と交渉を進め、将来的にかかってくる利息をカットしたり、返済回数や期間を調整する形で債務者がこれ以上の多重債務状態(督促を受け続ける状態)に陥らないような交渉をまとめます。
手続きが比較的柔軟で、信用情報への影響も小さい点が特徴です。任意整理では月々の返済額を現実的な金額に調整できますし、場合によっては元金の一部減額も可能です。
また、手続き開始後は債権者からの取り立てが止まり、代理人である司法書士や弁護士が間に入って交渉を行うため、精神的な負担も大きく軽減されます。
任意整理では対応しきれないほどの債務総額を負っている場合や、債権者が多数存在する場合は、裁判所を通じて債務を整理する「個人再生」手続きが有用です。
安定した収入がある人向けの制度で、原則として給料の3分の1程度を3年から5年程度支払えば、残りの借金が免除されます。
個人再生の大きな特徴は、住宅ローンがある場合でも債務を整理しながら、住宅を手放さずに済む点です。一般の借金は減額の対象となりますが、住宅ローンは従来通りの返済を続けることができます。このため、家族で暮らす住まいを確保しながら、他の借金を整理することが可能となります。
自己破産は裁判所に申し立てを行い、借金の支払いが困難な状況を立証して、債務を免除してもらう手続きです。借金の免除を受けられる一方で、一定期間は新規の借入れができなくなったり、資格制限を受けたりするデメリットもあります。
ただし、自己破産手続き開始後に新たに得る給与や年金などの基本的な歳入は「新得財産」といって保護されます。
また、日常生活に必要な家財道具や、仕事に必要な道具なども「自由財産」として手元に残すことができます。最近では、現金についても一定額までは手元に残せる「自由財産拡張」も整備されています。
債務整理の選択にあたっては、収入や財産の状況、今後の生活設計などを踏まえて、最適な方法を選ぶ必要があります。
例えば、毎月の収入が安定している場合は個人再生が適している可能性が高く、収入が不安定で返済の見通しが立たない場合は自己破産が選択肢となるかもしれません。
判断材料としては、借金の総額はもちろんですが、返済の遅れの有無、督促の頻度、債権者との交渉経緯なども重要です。また、家族構成や将来の収入見込み、資格の必要性なども考慮に入れる必要があります。
司法書士や弁護士に相談すれば、個々の状況に応じた最適な方法の提案・助言が受けられます。一般的に自己破産に対応できる専門家(弁護士もしくは司法書士)は数多くの債務整理を手がけており、様々なケースに対応してきた経験があり、そして経験に基づいて、具体的な解決策を提示してくれるはずです。
また、特筆しておきたいのは「自己破産について」です。特に自己破産については「人生の破綻」「社会的な信用の完全な喪失」といった誤解や偏見が根強く残っています。しかし、制度の本来の目的は「経済的な再出発」の機会を与えることにあります。
実際に自己破産の手続きを行った多くの人が、その後の生活を立て直すことに成功しています。借金の重圧から解放され、新しい人生を歩み始められるのです。確かに一定の制限はありますが、それは一時的なものであり、むしろ、借金問題を先送りにして状況を悪化させてしまうことの方が、はるかに深刻な問題となります。
当事務所でも、債務整理の相談を随時受け付けています。借金問題は誰にでも起こりうることです。決して一人で悩まず、まずは専門家に相談することから始めてみてはいかがでしょうか。
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原則として借入れはできない
債務整理の手続きを始めると、信用情報に「債務整理中」という情報が記録されます。
金融機関は、債務整理者を「信用リスクが高い」と判断することが少なくありません。過去に借金で問題を抱えた経験がある人は、再び返済が難しくなる可能性があると見なされるからです。
この情報は、完済後も5年から10年間記録され続けるため、この期間中は新たな借入れが非常に難しくなります。
どうしても資金が必要な場合は、借入れ以外の方法を考える必要があります。
借入れできた場合の注意点
債務整理中でも、まったく借入れができないわけではありませんが注意は必要です。
債務整理者に積極的に貸し付けを行う、法外な金利を要求する闇金業者が存在するからです。
正規の金融機関は、信用情報機関に登録された債務整理の情報を確認するため、貸し付けを避ける傾向にあります。
つまり、債務整理中に簡単に借入れができた場合、その業者が闇金業者である可能性を疑う必要があるのです。
違法な貸し付け業者から借りると、返済が難しくなるだけでなく、厳しい取り立てや脅迫を受けるリスクも生じます。
サラ金とヤミ金、一見似ているようで実は全く違う存在です。サラ金は貸金業法に基づいて営業する合法な消費者金融業者ですが、ヤミ金は無登録で違法な高金利を請求する悪質な業者のことを言います。 ヤミ金被害に遭ってしまった場合、独りで立ち向かお[…]
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債務整理中でもお金を借りたい場合の対処法
債務整理中にお金が必要になることもあり得ます。
ここでは、債務整理中にお金が必要になった場合に利用できる安全な借り方や、使える公的支援制度について説明します。
保険の契約者貸付制度の利用
生命保険や損害保険に加入している場合、「契約者貸付制度」を利用できる可能性があります。これは、加入している保険の解約返戻金(将来受け取れるお金)の範囲内で、保険会社からお金を借りられる制度です。
この制度の長所は、債務整理中でも利用できる可能性があることです。また、審査が比較的緩いという特徴もあります。
ただし、利用できる金額は加入している保険の種類や契約内容によって変わります。また、貸付金には利息がかかり、返済が滞ると保険契約が失効する可能性も。
利用を考えている場合は、まず加入している保険会社に問い合わせ、具体的な条件や手続きを確認しましょう。
生活福祉資金貸付制度の活用
「生活福祉資金貸付制度」は、国が支援する貸付制度です。経済的に困っている人を対象に、低金利または無利子で資金を貸し付けています。
債務整理中でも、収入が一定基準以下であることや、世帯に高齢者や障害者、子どもがいることなど一定の条件を満たせば利用可能です。
総合支援資金(生活支援費、福祉費、教育支援費、一時生活再建費など)、不動産担保型生活資金、教育支援資金など、貸付の種類も様々です。
生活福祉資金貸付制度の利用を検討する場合は、お住まいの地域の社会福祉協議会に相談してみましょう。
その他の方法
債務整理中にお金を借りる方法として、家族や知人に頼るという選択肢も考えられます。
ただし、お金の貸し借りは人間関係に大きな影響を与える可能性があるため、慎重に進める必要があります。
お金を借りる場合は、借用書を作り、いつまでに、どのように返済していくのか、具体的な返済計画を立て、相手にしっかりと伝えることが大切です。返済計画を立てることで、相手も安心して貸し出すことができるでしょう。
街金
街中で目にする「即日融資」「他社NGの方もご相談ください」「いまの状況を審査します」といった広告文句ですが、これは正規業者による「債務整理中の人向けの広告」といってしまっても決して過言ではないでしょう。
債務整理中で資金繰りに困った時、思わず足を止めてしまいそうな誘い文句かもしれません。ここでは少々、街金(いわゆる街金融業者)について詳しく解説してみます。
まず街金とは正規の貸金業者であり、貸金業法に基づいて営業している金融機関です。大手ほどの知名度ではなく、また対応も大手に比べるとややフランクであったり、多重債務状態でも貸付を行ったりと独自基準を持つため、誤解を受けやすい存在です。
しかし、法定金利の範囲内で融資を行い、金融庁や都道府県の監督下にある正規業者となります。ここで大手消費者金融と街金の違いについて触れておきましょう。
大手消費者金融は全国展開する企業で、テレビCMなども放映し、信用調査も厳格です。一方、街金は地域密着型で、融資判断も比較的柔軟です。
大手では絶対に門前払いとなるような案件でも、街金なら融資できる場合があります。また、大手は原則として債務整理中の融資には応じませんが、街金では「喪中」と呼ばれる債務整理中の貸付を行うケースもあります。
正規の街金業者は貸金業登録番号を持ち、利息制限法に定められた上限金利(15%から20%)を順守して営業しています。契約書の作成や書面交付など、法定の手続きもきちんと行います。
ただし、債務整理中の方が街金から新規の借入れを行うことは極めて困難です。一部の街金では先述の「喪中」融資を行うケースもありますが、これはかなりレアなケースといって良く、実際にはこのご時世下において、債務整理中の方に積極的に貸付を行う業者はそう多くはありません。
また仮に債務整理中の貸付が認められたとしても、貸付額は非常に限定的です。多くの場合、初回貸付で10万円程度が上限となり、返済実績を重ねない限り増額は望めませんし、その「返済実績」もまた通常の枠組みではなく、やはりどこか特別な枠組みで審査されることになるため相当な苦労を伴うことになると言ってよいでしょう。
むろん審査も厳格で、安定した収入があることはもちろん、在籍確認も非常に慎重に行われます。勤務先への在籍確認の電話も、結果的に複数回かかることは決して珍しくありません。
さらに返済に関しても厳格な管理が行われます。正規業者として当然の対応とはなるわけですが、債務者にとってはやはり、かなりのストレスとなります。
例えば通常の信用状況ならば1回の返済遅れであれば見逃してもらえたり、特に連絡がないというケースでも、こうした喪中での貸付になれば、返済当日の15時を過ぎたらすぐに会社や自宅へ電話がかかってくる可能性が高いのです。
支払いが2回~遅れた場合も同様に、こちらは勤務先への電話連絡が入る可能性も高くなります。会社にローンの返済が遅れていることを知られることは、社会的信用を大きく損なう可能性がありますし、状況によっては人事的に大きなダメージとなる可能性も十分にあります。
このように街金は正規業者とはいえ、債務整理中の利用者に対してはかなり厳しい対応となります。貸付リスクが高い相手に貸すのですから、これは当然の対応と理解することもできますが、債務者の立場から考えると非常に「甘くない」現実があると言ってよいでしょう。
一方で、このような状況につけ込むのが闇金です。闇金は無登録で営業する違法業者であり、利息制限法も貸金業法も無視して営業しています。「即日融資」「ブラックOK」「債務整理中でも貸せます」といった広告で客を誘い、法外な金利で貸付を行います。
それだけでなく、取り立ても執拗を極め、平穏な生活が一転して地獄のような日々となってしまいます。職場にまで取り立てが及び、せっかくの再出発の機会も台無しになってしまうのです。
街金と闇金の違いは一見分かりにくい場合もありますが、貸付条件を見れば明らかです。正規業者である街金は必ず法定金利を順守し、正式な契約書を作成します。一方、闇金は契約書すら満足に作成せず、口頭での約束だけで貸付を行うケースも少なくありません。
さて、ここまでを総括して、債務整理中の方が新規借入れを行う際の最大の問題は、既存の債務整理手続きへの影響です。個人再生や自己破産の手続き中の無断借入れは、債務の調整が認められなくなるリスクもあり、場合によっては別途、法的な問題に発展する可能性もあります。
司法書士事務所では守秘義務があり、相談内容が外部に漏れることは一切ありません。「こんなことを相談したら怒られるのでは」と心配する必要はないのです。むしろ、一人で抱え込んで状況を悪化させるよりも、早めに相談する方が賢明です。
実際の生活で予期せぬ出費に困ることは、誰にでもあります。実際、役所の職員は立場上、借金に関して厳しい物言いになりがちです。しかし司法書士はご依頼主様の再出発を応援する、いわばパートナーであり代理人です。
一時的な収入減少や予期せぬ支出増加に対する対処方法についても、そうした見地・立場から実践的なアドバイスを得ることができるでしょう。場合によっては、現在の債務整理計画の見直しや、返済計画の調整なども検討可能です。
特に緊急の資金需要がある場合、一人で判断するのではなく、まずは専門家に相談することをお勧めします。生活福祉資金貸付制度など、債務整理中でも利用できる公的な制度も存在します。
何度でも申し上げますが、司法書士への相談は、決して敷居の高いものではありません。当事務所では相談を無料で受け付けており、気軽に相談できる体制を整えています。また、相談内容の秘密は完全に守られますので、安心して相談することができます。
債務整理中の資金繰りでお困りの方は、街金への申し込みを検討する前に、まずは当事務所にご相談されてみてはいかがでしょうか。
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債務整理中にお金を借りるとどうなるのか
債務整理中にお金を借りることは、軽く考えるべきものではありません。
新たな借り入れが、債務整理にどのような影響を与えるのかを理解した上で判断しましょう。
原則は借入れできない
債務整理中の新たな借入れは基本的に認められていません。
裁判所を通じた自己破産や個人再生といった手続きでは、借金の減額や免除を目的としているため、新たな借入れは認められません。新たな借り入れは、債務整理の趣旨に反し、手続きの妨げになる可能性があるためです。
任意整理の場合でも、新たな借入れは債権者との信頼関係を損ない、和解が不成立になる可能性があります。
債務整理中は生活の立て直しに専念することが大切です。
和解成立後の借入れについて
任意整理の場合、債権者との和解がすべて成立した後は、新たな借入れが可能になるケースもあります。しかし、信用情報機関には債務整理の記録が残っているため、借入の審査は非常に厳しくなることを覚えておきましょう。
一般的に、任意整理の完済から約5年が経過すると、信用情報機関の記録が削除され、借入れがしやすくなります。
それまでは、信用情報に傷が残っていることを念頭に置き、慎重に行動することが大切です。
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債務整理中の資金繰りの対策
債務整理中に生活が苦しくなることもあるでしょう。しかし、適切な資金繰りを心掛けることで、安定した生活を送ることは可能です。
ここでは、債務整理中の資金繰り対策を3つ解説します。
支出の見直し
債務整理中の支出の見直しは、家計を改善するために非常に重要な要素です。まず、日々の生活費を把握し、無駄な出費がないか確認しましょう。
買い物する場合は、本当に必要なものかどうかを見極め、無駄な購入を減らすことが大切です。
家賃や光熱費などの固定費も見直しの対象となります。例えば、携帯電話のプラン変更や、利用していない継続課金商品の解約を検討してみましょう。
固定費の見直しは、一時的な効果だけでなく、長期的に家計を改善する上で大きな効果を発揮します。
収入の増加を図る
債務整理中であっても、収入を増やすことは可能です。無理のない範囲で収入を増やす努力を続けることで、少しずつ債務整理後の生活再建に取り組めます。
現在の収入に限界がある場合は、転職も検討してみましょう。より良い条件の仕事に就くことで、収入を増やす機会が広がります。
また、自分に合った副業を探してみるのも良い方法です。インターネット上には、経験がなくても始められる様々な副業情報が掲載されています。
公的支援制度の利用
債務整理中に家計のやりくりが厳しいと感じたら、公的支援制度の利用を検討しましょう。債務整理中であっても一定の条件を満たせば利用できます。
代表的な公的支援制度には、以下のようなものがあります。
- 生活福祉資金貸付制度
- 住居確保給付金
- 生活保護
その他にも、独自の支援制度がある自治体もあります。まずは住んでいる自治体の窓口に相談し、どのような制度が利用できるか確認してみましょう。
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まとめ
債務整理中に、新たな借入はできません。しかし、どうしてもお金を借りる必要がある場合には、いくつかの解決策もあります。
加入している保険の契約者貸付制度や、生活福祉資金貸付制度といった公的支援制度の利用を検討しましょう。
簡単に借り入れをするのではなく、まずは支出の見直しや収入を増やす工夫をしましょう。
それでも解決が難しい場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
専門家の助言を受けることで、それぞれの状況に合った適切な解決策が見つかるでしょう。
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当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています(司法書士業務の範囲内に限る)。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。
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