借金の返済に行き詰まったとき、「任意整理」という選択肢が頭をよぎるものです。
しかし、すべての借金問題に任意整理が適しているわけではありません。借金額が少ない場合や利率が低い場合など、せっかく任意整理をしても、思ったほどの効果が得られないケースもあります。
毎月の返済に追われて、生活そのものがギリギリになってしまっている…そんな状況から、一刻も早く抜け出したいと考えるのは自然なこと。かといって、焦って任意整理に踏み切ってしまうと、かえって損をしてしまうこともあるのです。
今回は、任意整理が向いていないケースと、もし任意整理が難しい場合にはどうすればいいのか、その対処法について詳しく解説します。
任意整理とは？
借金問題に悩む方が最初に検討する手段として「任意整理」があります。これは、裁判所を通さずに直接債権者と話し合いをして、借金の負担を軽くしてもらう手続きのことです。他の債務整理の方法と比べて、手続きが簡単で進めやすい方法として知られています。
任意整理の基本的な仕組みと、メリット・デメリットを知っておくことで、自分の状況に合っているかどうかの判断がしやすくなるでしょう。
任意整理の概要
任意整理では、「これから先にかかる利息」や「遅延損害金」をなくしてもらうように債権者と交渉して、借金全体の額を減らすことを目指します。
現在の支払いよりも負担が軽くなるように、貸金業者やクレジットカード会社と利息のカットや分割回数について話し合い、無理のない返済計画を立てていきます。一般的な分割期間は3年から5年程度です。
裁判所を通さないため、手続きは比較的シンプルかつ短期間で進みます。やりよう次第では、家族や職場に知られずに済ませることも可能です。
任意整理のメリット
任意整理の一番のメリットは、返済の負担がぐっと軽くなることです。毎月の返済額が下がるので、生活の立て直しにもつながります。
貸金業者や金融機関からの督促・取り立てがストップするため、精神的な負担もかなり減ります。ギャンブルや浪費などが原因の借金であっても、任意整理は可能です。
手持ちの財産を処分せずに済むケースが多いのもポイントです。場合によっては連帯保証人や保証人に迷惑をかけずに済みます。他の債務整理に比べて、費用も良心的です。
任意整理のデメリット
任意整理を行うと、信用情報機関に事故情報が登録されます。いわゆる「ブラックリストに載る」という状態です。約5年間は新しくローンを組んだりクレジットカードを作ったりすることが難しくなってしまいます。
借金の元金は基本的にそのままなので、借金額が大きすぎたり、もともとの金利が低かったりすると、「思ったより減ってない…」と感じてしまうかもしれません。
その他にも、保証人や連帯保証人がいる借金を任意整理の対象にすると、債権者から保証人に請求がいく可能性が高いです。自分だけでなく周囲にも迷惑がかかってしまうかもしれない点は、覚えておきましょう。
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任意整理が意味のないケース
任意整理は多くの借金問題に対応できる心強い手続きのひとつです。しかし、どんな状況にも効果的というわけではありません。任意整理をしても思ったほどのメリットが得られないケースもあるため、自分の状況を見極めることがとても大切になってきます。
以下のようなケースでは、任意整理のメリットを十分に得られない可能性があります。
借金額が少ない場合
借入額が少ないと利息の金額も少なくなるため、任意整理をしてもあまり意味がありません。
これを減らすために専門家に数万円の費用を払うのは、効率が良いとは言えないでしょう。借金額がそれほど多くない場合は、任意整理に頼らず、自力で返済を続けることをおすすめします。
借金の利率が低い場合
そもそも利率が低く、あまり利息が発生していない借金の場合、任意整理にはあまり向いていません。任意整理は「利息をカットして返済の負担を軽くする」ことが目的であるため、元々の利息が少なければ効果も小さくなります。
奨学金など、低金利の借入は任意整理の交渉自体が難しいこともあるので、注意が必要です。
一時的に返済できないだけの場合
急な出費で一時的に返済が難しくなっているだけ、というような場合も、すぐに任意整理に踏み切る必要はありません。
冠婚葬祭での一時的な出費や、病気・ケガによる入院など明確な理由がある場合は、債権者に直接事情を説明することで、返済期間を延ばしてもらえることも。
任意整理をすると信用情報機関に「事故情報」が登録され、数年間は新たな借入れができなくなります。そういったデメリットを考えると、返済に困ったからといってすぐに任意整理を行うのは、もったいないと言えるでしょう。
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任意整理を検討したほうがいいケース
反対に、「これは任意整理を考えてみてもいいかも」という状況ももちろんあります。任意整理で日々の生活がぐっと楽になると、将来の不安も減っていくでしょう。タイミング次第では、任意整理が生活の立て直しにつながることもあります。
借金額が年収の3分の1に近い場合
任意整理は借入額が多いほど効果が大きくなり、発生する利息が多いほど減額効果も高まります。貸金業法で貸金業者からの借入は年収の3分の1が上限と定められているため（総量規制）、借入が年収の3分の1に近いほど任意整理の効果を得られるでしょう。
借入額が多く、毎月の返済額が収入に対して高い割合を占めている場合、任意整理によって大きな負担軽減が期待できるでしょう。
毎月の支払いが多く生活が苦しい場合
毎月の支払いが多くて生活が苦しい人は、任意整理をすることで現状から抜け出せる可能性があります。
任意整理は債務整理の中でも減額効果が控えめである代わりに、手続きの費用やデメリットが少ないため、「あと少し返済が楽になればやっていけるのに」と感じている人にとっては、ぴったりの選択肢かもしれません。
月々の支払いに追われて生活が立ち行かないような状況にあるなら、任意整理を考える価値は十分あると言えるでしょう。
高金利の借金がある場合
特に注目したいのが「高金利の借金がある人」です。任意整理は、利息が多く発生している借金であればあるほど、大きな減額効果が期待できる手続きです。
特に2010年頃まで（改正貸金業法完全施行前）にキャッシングを利用していた場合、グレーゾーン金利での貸付期間があれば、引き直し計算で元金自体も減額できる可能性があり、過払い金が発生しているケースもあります。
過払い金は、利息制限法で定められた利率（借入額が10万円以上100万円未満の場合18％）より高い利息の借金が対象です。ショッピングローンや車のローン、住宅ローンなど、もともと低金利で組まれている借金には過払い金は発生しません。
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任意整理ができないケース
状況によっては、任意整理そのものが不可能なケースもあります。任意整理ができない理由と対処法を理解しておくことで、借金解決に向けた道筋が見えてくるでしょう。
利息免除しても3～5年で完済できない場合
利息をゼロにしたとしても、原則3年（最長でも5年）以内に元金分を完済できる支払い能力がなければ、任意整理を行うことができません。
例えば借金の元金が1000万円で、毎月返済できる金額が5万円だけだとすると、5年かけても300万円しか返済できないため、任意整理は不可能となります。
このような場合は、任意整理ではなく、より大きな負担減につながる可能性のある個人再生や自己破産を考えるべきでしょう。
安定収入がない・無職の場合
債務者が無職・無収入の場合も、任意整理は難しく、自己破産の手続きを進めるしかありません。任意整理はあくまで「借金は返していく」という前提で成り立つ手続きであるため、安定した収入が求められます。
3～5年間の収入がしっかりと担保できない方、例えば近々定年を迎える方など、直近で収入の減少が見込まれる場合は、任意整理以外の方法を考えなくてはいけません。
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一度も返済していないケース
債務者が取引開始から一度も返済していない場合、貸金業者は債務整理に応じてくれないことがあります。貸金業者の立場からすると、一度も返済していない場合に債務整理に応じれば無償で貸し付けたも同然となり、商売として成り立ちません。
取引期間が非常に短い場合も同様に、任意整理の交渉が難しい可能性が高いため注意が必要です。
任意整理ができない場合の対処法
最初に相談した事務所では無理だと言われたけど、別の事務所では対応できた、なんてことは珍しくありません。取引期間が短くて任意整理できないと言われた場合、返済をもう少し続けて実績を作れば、任意整理が可能になることもあります。
借金の額が大きくて、自力での返済がどうしても無理そうなときは、自己破産や個人再生という方法も視野に入れるといいでしょう。
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まとめ
任意整理は借金問題を解決する一つの手段ですが、すべての状況にぴったり合うというわけではありません。借金額が少ない、利率が低い、一時的な返済困難といったケースでは、任意整理では思うようなメリットが得られない可能性があります。
借金額が年収の3分の1に近い、毎月の支払いで生活が苦しい、高金利の借金があるといった場合は、任意整理がおすすめです。利息免除しても短期間で完済できない、安定収入がない、一度も返済していないといった場合は、任意整理自体ができないこともあります。
借金問題は一人で抱え込まず、専門家に相談することが解決への第一歩です。状況に合ったベストな方法を見つけることで、借金から解放されるきっかけになるでしょう。当事務所では借金問題に関する相談も随時受け付けています。まずはお気軽にご相談ください。
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当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています（司法書士業務の範囲内に限る）。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。
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