借金の返済に行き詰まり、将来に不安を感じている方にとって、「個人再生」は生活再建の強い味方となる制度です。借金を大幅に減額し、計画的に返済することで経済的な立て直しを図ることができるでしょう。
そして、手続きを進めるうえで欠かせないのが「債権者一覧表」です。一覧表は、誰にいくら借金があるのかを正確に把握し、裁判所や債権者に伝えるための重要書類です。
本記事では、個人再生における債権者一覧表の概要や作成時の注意点、誤記があった場合の訂正方法までを詳しく解説します。
個人再生の債権者一覧表とは?
個人再生を申し立てる際、債務者が提出する書類の中で重要と言えるのが債権者一覧表です。借金がどこにいくらあるのかを明らかにする書類であり、裁判所は一覧表に基づいて債権者への通知を行います。
正確な債権者情報がなければ、再生計画案の作成も認可も不可能です。債権者一覧表は個人再生手続きの中心ともいえる重要な書類です。
債権者一覧表の概要
個人再生手続きを申し立てる場合には、申立書と共に債権者一覧表を裁判所に提出する必要があります。
債権者一覧表とは、借入先である債権者の氏名や住所、債権額などをまとめたもので、申し立て後に裁判所が債権者へ通知を送るためにも使われます。
記載内容については裁判所ごとに用意された様式に従って記入すれば問題ありません。書式に若干の違いがあっても、記載すべき基本情報は共通しています。
債権者一覧表に記載すべき情報
債権者一覧表には、債権者の氏名または会社名、住所、郵便番号、電話番号など、基本的な連絡先情報を記載します。加えて、各債権についての金額と、債権が発生した経緯も明確に記載する必要があるでしょう。
担保が設定されている債権者については、担保の対象となる別除権の目的と、担保による弁済が見込まれる額を差し引いた不足見込み額も記載項目に含まれます。
また、住宅ローンがある場合にはその旨を記載し、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を設ける意向がある場合も明示する必要があります。
債権者一覧表の提出タイミングと提出先
債権者一覧表は、個人再生の申し立てを行う際に、申立書とともに所轄の裁判所へ提出しなければなりません。
一覧表は裁判所用に1部作成するだけではありません。すべての債権者に通知が届くように、債権者の数と同じ枚数の副本も提出しなければなりません。副本は、裁判所から各債権者へ手続き開始の通知を行うために使われます。
債権者一覧表が提出されなければ個人再生手続きは始められないため、必要書類としての優先順位は非常に高いものです。複数の借入がある場合は、記載漏れがないよう慎重に確認する必要があるでしょう。
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債権者一覧表の見本
債権者一覧表の作成方法を具体的に理解するために、一般的な様式や記載例、記入時の注意点を見ていきましょう。書式は裁判所ごとに異なる場合がありますが、基本的な記載事項は共通しています。以下は、神奈川県弁護士会が提供している書式集になります。
神奈川県弁護士会は神奈川県唯一の弁護士会です/総合法律相談…
実際の書式を入手したら、記入例を参考にしながら正確に情報を記載していくことが大切です。不明な点は裁判所の窓口や専門家に相談しましょう。
債権者一覧表の一般的な様式と記載例
債権者一覧表の書式は裁判所によって若干異なることがありますが、記入方法はほとんど同じです。基本的には、債権者から提出された債権調査票に基づいて作成します。
特に債権譲渡があった場合には、現在の債権者を正確に把握することが大切です。古い情報のままだと通知が届かず、手続きに支障をきたす恐れがあるでしょう。
例えば、代位弁済により債権が移転していたり、サービサー(債権回収会社)が債権回収の委託を受けている場合などです。特殊な状況が含まれる場合には、記載例を参考にしながら対応する必要があるでしょう。
記入項目には「債権者の氏名・住所」「現在額」「発生原因」などがあり、正確に記載することが求められます。債権者の名称は略さず正式な名称を使い、住所は最新の情報を確認して記載しましょう。
債権者一覧表に記載する債権の種類と具体例
債権者一覧表には、再生手続き開始前に発生した「再生債権」を記載します。
例えば、消費者金融や銀行からの借入、クレジットカードの利用残高、自動車ローン、住宅ローンなどです。延滞中の公共料金や税金も該当する場合があるでしょう。
保証債務も記載が必要で、奨学金の保証人になっている場合なども見落とさないよう注意が必要です。再生債権の総額が5,000万円を超えると、小規模個人再生の対象外になるため、正確な金額の把握も大切といえるでしょう。
債権者一覧表を記入する際の注意点
発生原因の欄には、債権調査票や契約書を参考に記入します。契約日などが不明な場合は、債権の種類のみでも問題ありません。
異議の留保の欄には、債権額や担保の評価に異議がある場合「あり」、異議がなければ「なし」にチェックを入れます。訴訟中など、債権者との争いがある場合は「あり」を選びますが、「なし」にしてしまうと異議を出せなくなるため、基本的に「あり」を選びましょう。
確定判決などの債務名義をすでに取得されている場合は、裁判所名や事件番号を記載。住宅資金貸付債権などの詳細は「別紙記載のとおり」として、別紙に内容を明記します。
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債権者一覧表の訂正方法
債権者一覧表に記載漏れや誤りがあった場合は、できるだけ早く対応することが大切です。手続きが進行するにつれて訂正が難しくなるため、早期の確認と対応を心掛けましょう。
ここでは、作成した債権者一覧表に記載漏れや誤りがあった場合の対処方法を解説します。
債権者一覧表に記載漏れがあった場合のリスク
債権者一覧表に再生債権を記載しなかった場合、重大な影響を及ぼすことがあります。故意でなくても重大な過失と判断されると、再生計画が認可されない可能性もあるでしょう。
債権者一覧表から漏れていた債権も、認可決定が出る前に訂正することで減額されますが、当初の予定と異なる再生計画を検討せざるを得なくなるため、支払期間などが長くなってしまうリスクがあります。
手続きの効率性が損なわれる場合もあるでしょう。リスクを避けるためにも、記載漏れがないよう慎重に確認することが大切です。
債権者一覧表の訂正方法の具体的手順
債権者一覧表に記載漏れや誤記があることに気づいた場合は、早急な対応が求められます。個人再生手続の開始決定前であれば、「上申書」を裁判所へ提出し、訂正済みの債権者一覧表をあわせて提出することで修正が可能です。
上申書には、訂正の理由とあわせて、追加・訂正する債権者の氏名や住所、借入時期、現在の残高、借金の原因、担保や保証人の有無などの詳細を記載します。書式に明確な決まりはないことが多いため、必要な情報を正確かつ丁寧に記載することに注意しましょう。
手続き開始決定後に判明した場合でも、再生計画案の提出前であれば訂正の申し立てが認められる可能性があります。ただし、計画案提出後の訂正は難しくなるため、できるだけ早期に見直しを行うことが重要です。
専門家に依頼している場合は、連絡をすれば必要書類の作成や訂正手続きも代行してもらえるため、専門家の力を借りることで安心して対応できるでしょう。
債権者一覧表は司法書士に作成してもらうべき理由
債権者一覧表は、個人再生手続きの基盤となる非常に重要な書類です。再生計画の認可や債権者への通知に直結するため、一つのミスや記載漏れが手続き全体に大きな影響を及ぼしかねません。正確かつ漏れなく作成することが求められるでしょう。
とはいえ、債権者の情報をすべて把握し、正しい形式で記載するのは専門知識が必要であり、一般の方にとっては非常に負担が大きい作業です。
しかし、司法書士に依頼すれば、債権者一覧表だけでなく、関連する全書類の作成や確認も任せることができ、手続きを円滑に進められるでしょう。司法書士は債権調査のノウハウや実務経験が豊富なため、見落とされやすい債権や保証債務もしっかり把握できます。
債権者一覧表を個人で作成するのは簡単ではありません。それに加え、申立書などの作成もしなければならないとなると、大変な負担になるでしょう。手続きをより確実に進め、借金を大幅減額させるためにも、書類作成は司法書士に任せるのがおすすめです。
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まとめ
債権者一覧表は、個人再生手続きにおける最重要書類の一つであり、正確かつ漏れのない作成が手続き全体の成否を左右します。債権者情報や債権額、発生原因を正確に記載し、提出先や副本の準備にも注意を払う必要があるでしょう。
記載漏れや誤記があった場合、再生計画の不認可や追加支払いといった重大な不利益を招く可能性があるため、早期発見・早期訂正が不可欠です。訂正には上申書や訂正申立てなどの手続きが必要となり、内容の正確さが求められるでしょう。
こうした煩雑で重要な書類は、自身で対応するよりも、実務に精通した司法書士に依頼するのが安心です。司法書士のサポートを受けることで、記載ミスの防止や円滑な手続き進行が可能となるでしょう。
当事務所でも個人再生のご相談を随時受け付けています。どうかお気軽にご予約をお取りください。現在の状況にもっとも適したアドバイスをさせていただきます。
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