借金を返済するために別の金融機関からお金を借りる。そして新たにできた借金を返済するためにまた別の金融機関からお金を借りる。このような「借りては返す」の繰り返しで日々の生活や事業を続けている状態を「自転車操業」と言います。
ペダルを漕ぎ続けなければすぐに止まってしまう自転車のように、絶えず新たな借入先を探し続けなければ生活が成り立たなくなる危険な状況です。今回は自転車操業の状態とはどのようなものか、またそこから抜け出す方法について詳しく解説していきます。
自転車操業とは?
自転車操業とはどのような状態を指すのか、基本的な内容と、なぜ自転車操業に陥ってしまうのか、その理由を見てみましょう。
自転車操業の概要
自転車操業とは、借金を返済するために別の金融機関から借入をする「借金と返済」を繰り返している状態を意味します。
借金を返済するために別の金融機関から借入して返済し、借入した金融機関の借金を返済するために、また別の金融機関で借入する行為を繰り返している状態です。ペダルを両足で漕ぎ続けていないと止まってしまう自転車に例えた表現で、その場しのぎの借入と返済を繰り返している状況を指しています。
多くの場合、複数の消費者金融やカードローンを利用し、A社の返済日に合わせてB社から借り入れ、B社の返済日にはC社から借り入れるという形で、常に借金が循環している状態です。
自転車操業に陥ってしまう理由
自転車操業に陥る理由は、借入した分の返済ができる経済的な余裕がないからです。
返済の分に使ったお金がなくなると生活が困難になるため、新たな金融機関からお金を借りなければならない状況に追い込まれてしまいます。
自転車操業に陥っている人に共通する特徴の一つが、現在の収支状況を把握できていないことです。こうした人に複数の借金があると、「まだ大丈夫」と思っていても知らず知らずのうちに自転車操業に陥っている可能性が高いのです。毎月全く貯金できていない方は黄色信号と言えるでしょう。
特に、給料日前になると生活費が足りなくなる、クレジットカードの支払いのためにカードローンを利用するといった状況が続くと自転車操業に繋がってしまいます。
自転車操業からなかなか抜け出せない理由
自転車操業は、返済が行き詰ってしまう時期を先送りにしているだけで、根本的な解決にはなっていません。
この状態に慣れてしまうと、月に3度以上の返済日を乗り切ることだけを考えてしまい、家計をきちんと把握して返済に備える習慣がつかなくなってしまいます。こうした状態が続いていると、いくら返済しても借金が膨れ上がってしまい、やがて行き詰まってしまいます。
一度この悪循環に入ると、心理的にも「何とかなる」という甘い考えに支配されがちで、問題の先送りが習慣化してしまう場合が多いのが実情です。
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自転車操業のリスク
一時的に資金繰りの問題を解決したように見えても、実際には多くの危険が伴います。借金が増え続けるだけでなく、精神的な負担や信用情報への悪影響など、様々な問題を引き起こすかもしれません。
借金がどんどん増えるリスク
前述したとおり、自転車操業を繰り返していると借金がどんどん増えていきます。ボーナスなどで借入を完済できるような状態ではない限り、自力での脱出は難しいでしょう。
自転車操業の状態だと、資金繰りが不安定で借金が増加しやすく、個人の財務状況や生活を危険にさらしてしまいます。適切な対策を取らなければ、手遅れになる可能性も高いです。
消費者金融やカードローンの金利は年率15〜18%程度と高いため、元金の返済に手が回らなくなると、利息だけで借金総額が膨らみ続ける恐れがあります。
精神的・健康的リスク
自転車操業に陥ると、借金がなかなか減らないという辛い状況になるでしょう。
無理して働き続けると体調を崩してしまいます。特に一人で事業を営んでいる自営業者などは、自分が働けなくなると収入が途絶えてしまう恐れがあります。常に心に大きな負担を抱える生活を送ることになるでしょう。
最悪の場合、睡眠障害やうつ症状などの精神疾患を引き起こす可能性もあり、収入が減少するという悪循環に陥りやすくなります。
信用情報に傷がつくリスク
返済が遅れれば、信用情報機関に事故情報として登録されるかもしれません。
自転車操業を続けていると、利息で借金の返済額が増え続け、新たな借入れができず返済サイクルが滞ってしまい、ブラックリストに載る恐れがあります。総量規制により、貸金業者は債務者の税込年収の3分の1を超えて貸してはならないという規則があるため、いずれは貸金業者から融資を断られるようになります。
信用情報に傷がついてしまうと、住宅ローンやマイカーローンなどの審査にも影響するため新たな借入れが困難になるでしょう。
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自転車操業から抜け出す方法
自転車操業から抜け出すためには、現状を正確に把握し、具体的な対策を考える必要があります。家計の見直しや専門家への相談など、状況に応じた対策を考えましょう。
収支を見直して家計を改善する
借入と返済の金額、生活費の内訳、節約できる項目の洗い出しなどを明確にします。
家計簿をつけるなどして収支を正確に把握し、無駄な支出がないかを確認した上で、固定費の削減を検討することが大切です。副業をして収入を増やすのも効果的ですが、心身の不調を招いては本末転倒なので、節約も増収も無理のない範囲内で検討しましょう。
例えば、携帯電話の料金プランの見直しや不要なサブスクリプションの解約など、日常生活の中で削減できる支出を見つけることで、返済に回せる資金を増やすことが可能です。
節約と並行して収入増加も検討しましょう。副業や不用品の売却などで臨時収入を得て、返済に充てることで借金を早めに減らすことができます。過労で健康を損ねないよう注意は必要です。
おまとめローンで借金を一本化する
複数の業者からの借金を借り換えによって一本化できるおまとめローンを利用すれば、返済先の管理が楽になります。
低金利の金融機関に債務を一本化することで金利を下げることができれば、毎月の返済額を減らすことが可能となり、自転車操業から抜け出しやすくなります。ただし、返済期間が長期化すると返済総額はかえって増えてしまうこともあるため、余裕があるときには繰り上げ返済も行い、早期完済を目指しましょう。
銀行系のカードローンや信用金庫のおまとめローンなど、金利の低い商品を探すことが重要で、条件によっては年率5〜10%程度まで下げられる可能性があります。
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債務整理による借金問題の抜本的解決を検討する
借金問題の専門家である司法書士に債務整理を依頼することで、利息を除外できたり、債務を大幅に減額・免除することも可能です。自転車操業の状態に陥っている方は債務整理を検討しましょう。自力での返済が難しいのであれば、早めに専門家を頼るのが賢明です。
債務整理では、毎月の支払額を減らしたり、無くしたりできる可能性があります。一時的に信用情報に影響が出るものの、借金問題を根本から解決し、新たな生活を始めるための有効な手段です。
債務整理には、主に任意整理、個人再生、自己破産の3種類があります。
任意整理は、債権者と直接交渉して利息の削減や元金の分割払いなどを行う方法です。比較的信用情報への影響が小さく、マイホームなどの財産を手放さずに済む利点があります。
個人再生は、裁判所を通じて債務を大幅に減額し、残りを3〜5年で分割返済する制度です。住宅ローンがある場合でも、条件を満たせば住宅を手元に残せる「住宅資金特別条項」を利用できる点が特徴です。収入が安定している方に向いています。
自己破産は、裁判所に申し立てを行い、債務を全額免除してもらう制度です。99万円以下の現金や生活に必要な財産以外は処分されますが、借金を白紙にできる債務整理方法です。収入が少なく、返済の見込みがない場合に検討される選択肢となります。
どの方法が自分に合っているか分からない方は、専門家に相談してみましょう。
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まとめ
自転車操業は、借金を返済するために別の借金をする悪循環に陥った状態です。一見すると当面の返済をしのげるように見えますが、実際には借金総額が増加し続け、精神的・健康的な問題や信用情報への悪影響など、様々なリスクを伴います。
この状態から抜け出すためには、まず家計の収支を正確に把握し、不要な支出を削減することから始めてみませんか。それでも困難な場合は、おまとめローンで借金を一本化して金利負担を減らしたり、最終的には債務整理による抜本的な解決を検討しましょう。
借金問題を一人で抱え込んでいるという方は、専門家の意見を聞いてみませんか。早めの対策が、将来の安定した生活への第一歩となります。ライタス綜合事務所では、自転車操業に陥ってしまった方の相談も随時受け付けていますので気になる方はお気軽にご相談ください。
借金返済にお困りなら今すぐご相談ください
当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています(司法書士業務の範囲内に限る)。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。
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