借金問題の中の一つに、過払い金というものがあります。
ちなみに、自己破産をすると過払い金が請求できないという話を聞くこともあります。一方、問題なく請求できるとするブログ記事などもあります。
そこで今回は、自己破産をすると過払い金は請求できるのか、できないのかについて、わかりやすくご紹介します。それぞれの注意点や対処法についても、ご紹介していきます。
自己破産すると過払い金請求はできない!?
自己破産を行うと過払い金請求は難しいのでしょうか。一般的に、自己破産前の方が過払い金請求はしやすい傾向にあります。
自己破産前と自己破産後に分けて過払金請求について解説していきます。
自己破産前の過払い金請求について
自己破産前の過払金請求について解説します。
自己破産前であれば、過払金請求は問題なく行えます。
過払い金が発生しているかどうかは司法書士や弁護士に調べてもらうことができます。調査の結果、過払い金があれば請求してもらう流れが通常です。
自己破産後の過払い金請求について
自己破産後の過払い金請求について解説します。
結論から述べると、ルール上は可能ですが、実際に請求できるケースは限られています。
大きな理由は時効です。過払い金が請求できる権利は借金の完済や支払い停止から10年が経過すると消滅します。
2007年以降に自己破産をした場合は、事前に過払い金調査が行われている可能性が高いため、すでに請求されていたり、ないことが確認されている場合がほとんどです。
自己破産後に過払い金が請求できる具体的な条件としては、同時廃止事件があります。これは借金返済の停止から10年以内であることが必要です。
同時廃止事件は、破産者に財産がなく、破産管財人を専任する必要がない場合に、自己破産の手続きが同時に終了するものです。このような場合には、過払い金の調査が行われていないため請求することが可能です。
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自己破産における過払金請求の注意点
自己破産における、過払金請求の注意点について解説します。
信義則違反・権利濫用による否定
自己破産後に過払い金の返還要求を行う場合、信義原則違反・権利濫用として否定されることもあります。
契約する当事者はお互いに相手の信頼を裏切らないことを求められている「信義誠実の法則(民法1条2項)」に違反しているとされ、その権利を認めないことです。
通常は、自己破産の時点で過払い金を清算すべきであり、免責後に要求することはこの原則に違反するという貸金業者側の主張です。
権利を行使する際に、その正当な範囲を超えているとされ、権利を否定することです。
自己破産時に過払い金を清算すれば、その金額は債権者に配当されていたはずであり、元々債務者が受け取れる金額ではなく、自己破産後に要求することは権利濫用という主張です。
これらの貸金業者側の主張は、裁判所が過払い金を検査する指導のあとに自己破産を行った場合には、認められることもあります。
しかし、過払い金を重視していない時代の自己破産については、同様の主張は認められず、これらの主張を否定する裁判例もあります。
自己破産時の借金に相殺される可能性がある
近年では裁判所からの要請によって、自己破産申立てと同時に過払い金の調査が行われることが多くなっています。
そのため、過払い金の調査をすぐに行い、破産申立書作成費用や生活費、税金などに充てることが一般的です。
しかし、過払い金の合計額が一定額を超える場合は、破産債権者(通常は貸金業者)に配当することが必要となります。
この場合、過払い金を自己破産申立費用に充てることができなくなりますので、多くの専門家が自己破産申立前に過払い金を回収することを推奨しています。
過払金の時効に注意が必要
過払い金の請求には時効があります。
しかし、過払金の発生条件であるグレーゾーン金利については、法改正がおこなわれ2010年6月18日に撤廃されました。
そのため、2010年6月17日以前に、出資法の利息上限で借金をしていた人が過払金請求の対象となりますが、制度改正から10年以上経過しているため、時効を迎えている可能性も低くありません。
自己破産では過払金の請求権も財産として扱われる
クレジットカード会社やローン会社などに対する過払い金請求権も破産者の財産として扱われます。
過払い金の回収額が20万円を下回る場合、同時廃止事件となります。ただし、管財事件か同時廃止事件になるかは他の条件によっても異なるため注意が必要です。
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自己破産と過払い金の基本
自己破産と過払い金について、簡単に解説していきます。
自己破産とは
「自己破産」とは、借金の支払いができなくなった際に行える債務整理の一つです。
借金を抱えている場合、債務者は支払いに追われていることがありますが、自己破産を選択すると借金から解放され人生の再起を図ることができます。
このような状況になる理由はさまざまであり、多重債務状態に陥ってしまったり、収入が減少してしまったり、財産が減少してしまったりすることが原因となります。
自己破産を選択することは、債務者にとっては重大な決断であり、自分自身がどのような状況にあるのかを正確に把握し、その上で慎重な判断をすることが大切です。
金融機関や専門家に相談することも検討すると良いでしょう。
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過払い金とは
「過払い金」とは、消費者金融やクレジットカード会社などから借りた金に対する利息の支払いが、利息制限法で設定されている上限金利を超えて行われた場合に、その利息のうち余分に支払ったものを指します。
この「過払い金」は、「過払い金返還請求」を行うことで返金される可能性があります。
過去にはグレーゾーン金利を採用して貸付を行っていた貸金業者も少なくありませんでした。
平成18年に最高裁判所でグレーゾーン金利は無効と判断されたため、今後は正確な上限金利を基準に利息の支払いが行われることになります。
残りの借金の額よりも過払い金として返ってくるお金が多かった場合、手元にお金が残るため、生活再建の第一歩とすることも可能です。
ただし、過払金には時効もあるため、注意が必要です。
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借入先が破産した場合の過払金請求
破産となった場合、請求先がなくなってしまうため、過払金請求そのものができない可能性があります。
企業が倒産する時は個人が自己破産や個人再生を選ぶのと同様に、民事再生や破産などの法的整理の手続きがとられます。その手続き内で、債権者に対して配当や一部の債権の支払が行われます。
過払い金の請求権も債権の一つなので、借入先の業者が民事再生や破産などをした場合は支払いを受けることが可能なケースもありますが、その金額は通常過払い金請求をした時に得られる金額よりかなり低くなることがほとんどです。
しかし、破産前に貸金事業が譲渡されている場合などは、譲渡先に対して過払い金請求をすることが可能な場合もあります。
消費者金融など、たとえCMなどで有名な企業であっても、いつ倒産・破産するかはわかりません。
そのため、最悪の場合も頭にいれておき、金融機関が正常に営業している間にできるだけ早く過払い金返還請求を済ませることが大切です。
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自己破産の有無に関わらず過払い金請求は可能
自己破産を行うかどうかに関わらず、過払い金が発生している場合は請求が可能です。
一度専門家に依頼して、過払金の調査をしてみると、思わぬ過払い金が隠れている可能性もあり、さらに過払い金が入ってくることで、借金が減額され、自己破産が不要になることも考えられます。
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まとめ
今回は、自己破産をすると過払い金が請求できないのかという言説について、わかりやすくお伝えしてきました。
結論をおさらいすると、自己破産の有無に関わらず過払い金請求それ自体は全く問題なく可能です。
ただし、自己破産後に過払い金請求を行うことはなかなか難しいという現状があります。
自己破産の前に、一度、自己破産を含めて専門家に過払い金の調査ともご依頼されてみるというのがやはりよろしい方法となるでしょう。
状況によっては、過払い金が思わぬ形で入ってくることにより、自己破産を免れ、債務整理の中でも特に制限が軽いとされる任意整理等の方法で借金問題を解決に導ける可能性も出てくるわけです。
複合的な借金問題の解決については、当事務所のようなベテラン司法書士が在籍する司法書士事務所にご相談いただくのがよろしいでしょう。
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