病気やケガで入院した際の医療費支払いに困り果てている方は少なくありません。入院費用が数百万円に達することもあり、生活が立ち行かなくなるケースも珍しくないのが現状です。
深刻な病気で長期入院となれば、医療費だけでなく収入の途絶も重なり、二重の苦しみを味わうことになります。
本記事では医療費の未払いと自己破産について、実務経験に基づく具体的な解説を行います。状況を改善するための役立つ情報をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
医療費の未払いが原因で自己破産できる?
医療費は一般的な借金とは性質が異なるため、自己破産手続きにおいても特有の扱いがあります。
ここでは、医療費を主な理由とする自己破産について、実際の判例や専門家の知見に基づいて詳しく解説します。
医療費は自己破産で免責の対象となる
医療費は基本的に自己破産による免責の対象です。病気やケガの治療費は生きていくために必要な支出であり、無駄遣いとは見なされないからです。裁判所も医療費の免除については理解を示す傾向があります。
ただし美容整形などの美容医療費については、生活維持に必要とは言えないため、免責が認められない場合があります。具体的には二重まぶた手術やニキビ痕の治療など、健康保険適用外の施術費用は慎重な判断が必要です。
破産管財人からも医療費の内容について詳しい説明を求められることがあります。治療の必要性や緊急性について、診断書などの客観的な証拠を提示できる準備が必要です。
自己破産手続きの流れと注意点
破産手続きを開始するには「支払不能」状態にあることを証明しなければなりません。収入や財産、生活費などの詳細な資料提出が求められ、その内容によって破産が認められるかが決まります。医療費が払えなくなった理由も重要な判断材料となります。
破産手続開始決定から免責許可決定まで数カ月かかることが一般的です。予納金の納付や免責不許可事由に該当しないことの証明など、いくつかの要件を満たす必要があります。予納金は裁判所によって異なりますが、一般的に15万円から30万円程度必要です。
書類作成や手続きに不備があると申立てが却下される可能性があります。医療費の発生状況や支払い履歴、治療経過なども正確に記載することが求められます。専門家のサポートを受けることで、こうした問題を避けることができるでしょう。
医療費が原因で自己破産を余儀なくされるケースは多い
深刻な病気やケガで長期入院となり、その間の収入が途絶えて生活費にも事欠くようになることは決して珍しいケースではありません。特に国民健康保険の加入者は、社会保険と比べて給付が限られ、負担が大きくなりがちです。
医療費を工面するために消費者金融からお金を借りるケースもありますが、これが借金の悪循環を生み出すことがあります。高額療養費制度を利用しても自己負担分が重く、借金が膨らみ、最終的に自己破産を考えざるを得なくなってしまうこともあります。
がんや難病と闘いながら経済的にも追い詰められる方は少なくありません。こうした状況に一人で悩まず、早めに専門家に相談することをおすすめします。
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自己破産と医療費の関係
医療費の支払い能力を失っても、必要な医療を受けられないわけではありません。医療を受ける権利は憲法で保障された基本的人権の一つであり、経済状況によって制限されることはありません。
自己破産後の医療機関との関係について詳しく見ていきましょう。
自己破産後でも医療機関で治療を受けられる
医師法第19条第1項で定められた「応召義務」により、医療機関は正当な理由なく診療を拒否できません。自己破産の経歴は診療拒否の正当な理由にはならないため、必要な医療は今までどおり受けることができます。
過去の医療費が自己破産で免除されても、新しい診療については通常通り対応してもらえます。医療機関は患者の経済状況に関わらず、必要な医療を提供する義務があるからです。
もし自己破産を理由に診療を拒否されたり差別的な扱いを受けたりした場合は、保健所や医療安全支援センターに相談できます。深刻な問題があれば、弁護士や司法書士に相談して法的な対応を検討することも可能です。
自己破産後に借入制限が生じる
自己破産すると信用情報機関に記録が残り、約5~7年間はローンやクレジットカードが使えなくなります。この期間中は医療費も現金払いが基本です。
突然の出費に備えて、可能な範囲で貯金をしておくことが大切です。また、生活福祉資金貸付制度などの公的支援を利用できる場合もあります。詳しくは福祉事務所や社会福祉協議会に相談してみましょう。生活保護の条件に当てはまれば、医療扶助を受けられる可能性もあります。
医療ローンを利用していた場合は要注意
医療ローンも自己破産後は利用できなくなります。今後の治療費の支払い方法について、早めに対策を考えましょう。
病院のソーシャルワーカーに相談すると、利用できる支援制度について教えてもらえます。入院費用や通院の交通費なども含めた総合的な計画を立てることが大切です。可能であれば、家族や親族に状況を説明して協力を求めるのもよいでしょう。
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医療費が支払えない場合の自己破産以外の対処法
自己破産は債務整理の最終手段です。他の選択肢も含めて検討することで、より良い解決策が見つかる可能性があります。
状況が深刻化する前に、利用できる制度や支援策を把握しておくことが重要です。
公的支援制度を活用する
高額療養費制度を利用すれば、医療費の自己負担額を大幅に抑えられます。年齢や所得に応じて自己負担限度額が細かく設定されているため、自分の区分を確認してみましょう。
「限度額適用認定証」を事前に取得しておけば、病院の窓口での支払いも上限額までで済みます。この認定証は加入している健康保険の窓口で申請でき、1~2週間ほどで発行されます。
無料低額診療事業を行っている病院では、経済状況に応じて医療費を減免してもらえることがあるでしょう。生活保護基準の1.5倍程度までの収入なら、医療費の減額や免除を受けられる可能性があります。
他の債務整理方法を検討する
任意整理なら、債権者と話し合って返済条件の変更や一部債務の減額ができます。医療費だけでなく他の借金も含めて全体的な返済計画を立て直せるのが特徴です。複数の借入先があっても、まとめて交渉することで解決策が見つかることもあります。
個人再生は、将来の収入から返済する方法で、自己破産よりも信用情報への影響が小さいです。安定した収入がある人は債務を大幅に減らせる可能性があります。
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医療機関との直接交渉や分割払い
多くの病院では医療費の分割払いに対応しています。未払い分についても相談すれば柔軟に対応してくれることが多いです。病院に医療ソーシャルワーカーがいる場合は、支払いについての相談に乗ってもらえます。
具体的な支払計画を提案し誠実に交渉すれば、状況に合った分割払いの期間や金額で合意できる可能性が高まります。話し合いの内容や合意事項は必ず書面にして、後でトラブルにならないようにしましょう。
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まとめ
医療費の支払いに困ったら、自己破産だけでなくさまざまな選択肢があります。支払い遅延は督促や延滞金につながり、状況悪化の原因となります。問題が大きくなる前の早期対応が重要です。
当事務所では司法書士業務の範囲内で債務整理全般に対応しています。どの手続きが最適かは、一人ひとりの状況を踏まえてご提案させていただきます。一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください。
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当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています(司法書士業務の範囲内に限る)。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。
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