連帯保証人になったものの、実際に支払い請求がきた場合に拒否できるかどうか気になる方も多いでしょう。連帯保証人の義務や権利について理解しておくことは、今後の対応を考える上で重要です。
今回は、連帯保証人の支払いを拒否できるのかという点に加え、支払いが難しい場合に取れる対処法についても詳しく解説します。
連帯保証人は支払い拒否できる?
連帯保証人になった場合、実際に支払い請求がきた際の対応について理解しておくことが大切です。法的な権利や義務を知ることで、適切な判断ができるようになるでしょう。
連帯保証人は原則として支払い拒否ができない
連帯保証人は、主債務者と同等の返済義務を負うため、請求がきた場合支払いを拒否することはできません。
通常の保証人とは異なり、連帯保証人は非常に重い責任を負う立場にあります。
連帯保証人には、「催告の抗弁権」や「検索の抗弁権」が認められていません。催告の抗弁権とは、「まずは主債務者に請求してください」と主張する権利のことで、検索の抗弁権とは「主債務者の財産を先に差し押さえてください」と求める権利を指します。これらの権利がないため、債権者は最初から連帯保証人に対して直接請求することが可能です。
主債務者が支払えなくなった時点で、連帯保証人もすぐに支払い義務が発生するため、逃れることは困難です。債権者としては確実に回収したいため、支払い能力のある連帯保証人に対して請求することが多くなります。
連帯保証人が支払い拒否できない理由は契約内容にある
連帯保証人は、契約書にサインをした瞬間から借金の返済について主債務者と連帯して法的責任を負うことになります。債権者は、その気になれば主債務者より先に連帯保証人へ請求することも可能で、実際にそのような事例は珍しくありません。
再三の請求を無視し続けると、最終的には裁判や差し押さえなどの法的措置を受けることになるため注意が必要です。債権者も回収のために、様々な手段を講じることになり、支払い拒否をし続けることで、状況がさらに悪化するおそれがでてくるでしょう。
例外的に支払い拒否ができるケース
連帯保証契約が詐欺や脅迫によって結ばれた場合、無効を主張できる可能性があります。
【例外的に支払い拒否できるケース】
- 契約内容について虚偽の説明を受けていた場合
- 脅迫を受けて仕方なく署名したような場合
- 本人の承諾なく勝手に連帯保証人にされていた場合
- 印鑑や署名を無断で使用された場合
さらに、請求が時効を迎えている場合は、支払い義務を免除される可能性があるため、契約時期を確認することが重要です。
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連帯保証人で支払いができないとどうなるか?
連帯保証人として支払いができない状況に陥った場合、債権者から様々な法的措置を受ける可能性があります。事前にこうしたリスクを把握しておくことで、いざという時に適切な対策を講じることができるでしょう。
財産や給料が差し押さえられる可能性がある
返済できないまま放置していると、債権者によって財産や給料を差し押さえられるリスクがあります。債権者は回収のために法的手段を講じることも多く、裁判所を通じた強制執行を申し立てるケースも少なくありません。
債権者が訴訟を起こし、勝訴判決を得れば、強制執行により財産の差し押さえが可能となる仕組みです。
差し押さえの対象には、不動産や預貯金、自動車などが含まれ、生活に大きな影響を及ぼすおそれが出てくるでしょう。給料についても、手取り額の4分の1まで差し押さえが法律で認められているため、経済的に困窮するリスクが高まるので注意が必要です。
信用情報に事故情報が記録される
支払い不能状態が続くと、信用情報機関に事故情報が登録され、いわゆる「ブラックリスト入り」となってしまいます。信用情報機関は金融機関同士で共有されているため、一度事故情報が登録されると影響は広範囲に及ぶでしょう。
この状態になると、今後数年間にわたってローンやクレジットカードの利用・新規申込ができなくなる可能性があるため、日常生活に支障が出ます。住宅ローンや自動車ローンなどの大型ローンはもちろん、携帯電話の分割払いなども困難になる場合もあるでしょう。
また、保証人の立場でも信用情報機関に事故情報を登録されるおそれがあるため、主債務者だけでなく連帯保証人も同様のリスクを負うことになります。事故情報は通常5年程度は信用情報機関に記録されるため、長期間にわたって影響を受けてしまうのです。
主債務者からの回収は困難な場合が多い
連帯保証人が肩代わり弁済した場合、主債務者に返済を請求することは法的に可能で、これは「求償権」という正当な権利ですが、実際に回収できるかどうかは別問題です。
主債務者が失踪、破産、経済的困難に陥っているケースが多く、現実的な回収は難しいのが実情でしょう。連帯保証人に請求がくる時点で、主債務者は既に支払い能力を失っている場合がほとんどだからです。
結果として、連帯保証人自ら多額の借金リスクを背負う結果となるため、連帯保証人になる際は慎重な判断が必要です。主債務者からの回収ができない場合、連帯保証人が全額を負担することになってしまいます。
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連帯保証人としての支払いに困った際の対処法
連帯保証人として支払いに困った場合でも、適切な対処法を講じることで状況を改善できる可能性があります。重要なのは、問題を放置せず、できるだけ速やかに行動することが大切です。
債権者と返済条件の交渉を行う
一括返済が困難な場合でも、分割払いや返済期間の延長について債権者と交渉することは可能です。債権者としても、回収不能になるよりは、確実に回収できる方法を選ぶ傾向があるため、交渉に応じてくれる場合があります。
事情や経済状況を説明することで、柔軟な対応を受けられるケースもあります。収入状況や家計の状況を具体的に示すことで、現実的な返済計画を提案できるでしょう。
もし交渉がうまくいかない場合は、専門家に相談することが有効な手段で、専門家のサポートを受けることで、有利な条件で交渉を進められる可能性があります。専門家が介入することで、債権者も真剣に交渉に応じることが多くなります。
債務整理を検討する
返済が困難な場合は、債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)で返済負担を軽減することが可能です。それぞれの手続きにはメリットとデメリットがあるため、自身の状況に応じて最適な方法を選択することが重要です。
自己破産すれば、返済義務自体を免れることもできるため、完全に借金から解放される可能性があります。ただし、財産の処分が必要になる場合があるため、慎重な検討が必要です。
また、信用情報への影響や手続きの負担など、注意点があるため慎重に検討する必要があります。債務整理を行うと一定期間は新たな借入れができなくなるため、将来的な影響も考慮して判断することが大切です。
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司法書士に相談する
債務整理を検討するなら、司法書士に相談するのが適切です。司法書士は債務整理の専門家として、連帯保証人に関する問題についても豊富な知識を持っています。
司法書士に債務整理を依頼すれば、債権者との交渉も代行することが可能で、個人では難しい交渉も、法律に基づいた交渉により代行してくれるため、より有利な条件で解決できる可能性が高まるでしょう。
また、問題を複雑化させないためには早期相談が大切で、時間が経過するほど選択肢が限られてしまいます。連帯保証人の問題がある場合は、早期に専門家に相談することを強くお勧めします。
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まとめ
連帯保証人は原則として支払い拒否ができず、主債務者と同等の返済義務を負う立場です。しかし、例外的に詐欺や脅迫による契約、本人の承諾なく連帯保証人とされたケース、時効などの場合などは、支払い義務を免れる可能性があります。
支払いができない場合は、財産の差し押さえや信用情報への登録など、深刻な問題に発展するおそれがあるため注意が必要です。
当事務所では、連帯保証人に関する相談も随時受け付けております。一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
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当事務所は任意整理・個人再生・自己破産に対応しています(司法書士業務の範囲内に限る)。どの手続きが良いか分からない場合、ご依頼者様の状況を見てご提案しますのでご安心ください。
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